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【新卒業生から新1年生へ ~熱いぜ、ザ・東京音大生~】第23回 久保ひかるさんを掲載しました

久保 ひかるさん(音楽教育専攻)

新卒業生から新1年生諸君へ

~熱いぜ、ザ・東京音大生~

 

本格的な夏が到来しました。外気も暑いですが、こちらの「熱いぜ」(通称)第23回は、音楽教育専攻を卒業した久保ひかるさんをご紹介します。東京音大への進学は、民族音楽研究所に加えて、邦楽実技を履修できる点が決め手となったそうです。

 

第23回 久保ひかるさん(音楽教育専攻)

【卒業後の進路】

東京音楽大学大学院音楽研究科 音楽文化研究専攻(音楽教育研究領域)

【出身高校】

成田高等学校卒業

 

― まずは、どうして東京音大への進学を決めたのですか?

 

音大を受験することは漠然と決めていました。どの大学にしようか悩んでいた私に、高校の先輩である麻生海督さん(作曲「芸術音楽コース」2020年卒業)が東京音大を勧めてくれたのです。民族音楽研究所に加えて、邦楽実技を履修できる点が決め手となりました。

 

― 「邦楽」がですか?

 

はい。私が習っていた楽器はエレクトーンでした。エレクトーンはヤマハが1959年に発売した楽器。その歴史は比較的に新しく、「古典」の確立していない現代の楽器とも言えます。長年エレクトーンに親しんできた私の演奏楽曲は自作曲が中心でした。一方、これまで出会ってきた他の楽器の奏者たちは、みな「古典」から楽器の習得をはじめている。エレクトーン奏者の私にはない体験をしている点が心のどこかで羨ましくもありました。そんな時に東京音大では邦楽器を履修できると知りました。
西洋の楽器をこの年から、それも音楽大学で学びはじめるのには大変勇気がいることで、正直なかなか決心がつきませんでした。西洋楽器と比較すると奏者がそれほど多くない邦楽器であれば恥ずかしい気持ちをもたずに学びはじめることができるのではないか、そう思ったのが履修に至った理由です。

 

― なるほど。選んだ楽器は薩摩琵琶だとか?

 

邦楽器の中にもいくつか種類があって、どれを履修するかはガイダンス当日まで決めていませんでした。最終的に薩摩琵琶を選んだのは、名前の響きに重みがあったからという直感的なものでしたが(笑)。結果、薩摩琵琶を選んでよかったと思います。
1年次から副科で薩摩琵琶を習って今年で5年目。まったくの初心者という状態からはじめたのですが、先生方の丁寧な指導のおかげで数字譜も読めるようになり、現在、平家物語の『敦盛』の弾き語りに挑戦しています。

 

― すごい。…渋いですね。

 

薩摩琵琶は、室町時代から続くとても長い歴史をもつ日本の楽器です。新しい楽器であるエレクトーンと室町時代から続く薩摩琵琶。どちらも日本で完成した楽器でありながら対極にある存在のように思えて、その両方を演奏することから得た刺激はとても大きなものでした。

 

― 直感が正しかったんですね。ところで、学校生活のなかで一番がんばったことはなんですか?

 

4年次に執筆した卒業論文です。芸術全体に視野を広げ、その中から無声映画時代に活躍した「活動弁士」をテーマに研究を行いました。昨年度は新型コロナウイルス感染防止のため図書館などの利用制限もあって、限られた条件下で論文を仕上げることの難しさ、自分でゴールラインを引く大切さ、そしてひとつのテーマに粘り強く取り組むことの重要さを学びました。
執筆中は本当に辛かったですが、提出を終えた時の達成感は何にも代えがたいものでした。

 


▲ 論文執筆中毎日利用していた中目黒・代官山キャンパスのクリエイティブラボ
 

― 大変だったんですね?

 

はい。思うようにいかない日々が半年近くありました。論文指導の担当の先生から厳しいお言葉をいただくことも何度かあって、心が折れそうになる時期が続いていました。
そんな時期を経て、提出直前の最後の最後に「期待しています」と応援のお言葉をいただきました。それまでに苦しんだ分、その言葉が自分の中で大きなエネルギーへと変わっていったのがわかりました。

 

― 乗り越えたものが大きかった分、力になったと思いますよ。卒業して大学院に進学したそうですね?

 

案外学部での4年間はあっという間に終わってしまいました。大学入学時は、「卒業後は一般就職一択」と思っていましたが、卒業論文を書き上げた時、やっとそのスタートラインに立ったように感じました。悔いを残したくなくて、引き続き2年間大学院で学ぶことを決意しました。
卒業後は音楽に限らず幅広い文化芸術とつながりのある仕事につくことが目標です。

 

― 卒業論文の執筆が久保さんに変化をもたらしたのですね。ところで、東京音大の魅力はなんだと思いますか?

 

西洋音楽に限らず幅広い地域の音楽を学べる点です。私は薩摩琵琶のほかにもガムラン、インドネシア舞踊などに挑戦してきました。これらの履修を通じて、西洋音楽とはまた違う音楽観を得ることができました。
東京音大は、少人数制の大学であるからこそ、専攻・コースに関係なく学科・実技・語学などあらゆる先生方が手厚くサポートをしてくださります。自分が行動を起こせばそれを支えてくれる環境がこの大学にあります。

 

― いい学びをされたのですね。4年間振り返ってみて今、どうですか?

 

東京音大は、優秀な仲間たちがたくさん集う大学。私は普通科からの進学だったため、音楽を得意とする「音楽大学」という環境の中で自我を見失いかけていた時期がありました。しかし、学ぶにつれて、「音楽」の中にもさまざまな分野があるということを知り、自分の得意な音楽や進みたい道が見えてきました。そして、周りと比べて自分を卑下することなく、自分なりに成長できる4年間を過ごせると感じるようになりました。音楽教育専攻に入学し、そこでピアノ・管楽器・箏などあらゆる楽器を専攻する仲間と巡り合うこともできました。勧めてくださった麻生先輩には感謝の気持ちでいっぱいです!

 

― 実感がこもっていますね。それを聞いたら先輩もよろこぶでしょう。最後に、後輩へメッセージをお願いします。

 

私は東京音大での外国語の授業が大好きでした。1年次に履修した、南はるつ先生のドイツ語の授業では、精いっぱいしがみつきながら勉強をしていました。一年間のがんばりを発揮しようと、2年次の春休みに一人でドイツを訪れたんです。本場のドイツ語はとても早口で難しく、もし留学をするならこの言語の壁を乗り越えないといけないことを痛感しました。一方で、授業で習ったことを生かせた時はとてもうれしかったです。
この経験以来、「学ぶこと」に対する姿勢が大きく変わり、意欲的になりました。積極的に授業に参加するにつれ、学校生活もどんどん楽しくなっていきました。
これまでの学校生活と比べて、大学は自由に過ごせる時間が多い。どんなところに自分を変えるターニングポイントがあるかはわかりません。皆さんも自分の興味があること(音楽に関してもそれ以外も!)にどんどん挑戦してみてください。そして、限られた学生生活を存分に楽しんでください!

 


▲ 一人で渡航したドイツ
 

― 薩摩琵琶、論文、ドイツ語。皆さんも久保さんに負けずに、大学4年間でたくさんのターニングポイントを見つけてくださいね。

 

(広報課)