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基礎講座関連企画

1960年代から日本の各地を訪ね、豊かな民俗文化を数々のフィルムに収めてきた故・姫田忠義と民族文化映像研究所。
今年没後10年を迎えるにあたり、初期代表作品である「奥会津の木地師」を東京音楽大学にて上映。

開催日

2023年9月9日(土)
14:00開始(13:30開場)

会場

東京音楽大学池袋キャンパスB500

地図はこちら

定員

50名

参加費

無料

民族文化映像研究所とは

1976 年創立(活動は1960年代より)、略称は民映研。日本の基層文化を記録・研究する事を目指して出発した民間の研究所。

長い歴史の中で培われた自然との深い対応と共生の姿を「基層文化」と捉え、日本列島を基軸に人々の生活行為を見つめることで、それを明らかにしようとしてきた。

高度経済成長期を経た日本列島で、眼の前で失われゆく伝統的な暮らしや民俗をフィルムに写し取り、フィルム作品119本、ビデオ作品150本にのぼる膨大な数の記録映画を残す。

それらは、もはや二度と撮影することができない人類の遺産と言える。

姫田 忠義記録映像作家・映像民俗学者

1928年(昭和3年)兵庫県神戸市生まれ。1954年に民俗学者の故・宮本常一と出会い、その影響を受けて日本全国を歩きフィールドワークを始める。

1950年代後半より、映像を手段とする記録作業を開始。2013年7月29日に84歳で死去。

代表作に『アイヌの結婚式』『イヨマンテ』『越後奥三面―山に生かされた日々』など。 1989年にフランス政府より芸術文化勲章オフィシエ叙勲。

プログラム

記録映画
「奥会津の木地師」

  • 1976年
  • 55分
  • 自主制作
  • 文部省特選
  • 日本映画ペンクラブ推薦
  • 1976年キネマ旬報文化映画ベストテン3位
  • 福島県南会津郡田島町針生

日本列島には、近年まで移動性の生活をする人々が活躍していた。山から山へ移動して椀などの木地物を作る木地師も、そのなかにあった。
これは、昭和初期まで福島県南部の山間地で盛んに移動性の活動をしていた木地師の家族による、当時の生活と技術の再現記録である。
この地域はブナを中心にした落葉広葉樹林帯である。木地師たちは、ブナを材料とした椀を作っていた。
まず木地屋敷を作る。屋根も壁も笹で葺く、掘立て造りである。家の中には、囲炉裏のある座敷とフイゴやロクロ台などを置く広い土間がある。屋敷ができあがると山の神を祀り、フイゴまつりをする。山の神まつりで藤八さんが唱えた唱え言は、古代のタマフリではないかとみる人もある。谷から水も引いてきた。
椀作りが始まる。男たちは、山へ入りブナを倒し、伐り株に笹を立てて神に祈る。そして、その場で椀の粗型荒を作る。倒したブナに切り込みを入れて山型を作り、マガリヨキでそれをはつり起こしていく。女たちが荒型を木地屋敷に運び、椀の外側を削って整形するカタブチ作業、中を刳るナカグリ作業と続ける。男たちが、手引きロクロで椀に仕上げていく。できあがった椀は馬の背で町へ運ばれていく。
人の力で回される手引きロクロは、奈良時代に大陸から導入されたものだという。映画に登場する方たちは移動性生活をやめ、手引きロクロの作業もしなくなってすでに50年余りたっていた。しかしその身体には、千年を越す技術の伝統が見事に息づいていたのであった。
ここには、自然の中に同化しつつ力強く生きてきた、簡潔な昔の人の生きざまがそのまま再現され、土のかおりまでありのままに記録されている。

トーク
「民映研の映像から紐解く庶民の暮らし ~姫田忠義没後10年を迎えて」

姫田 蘭映像製作・一般社団法人民族文化映像研究所理事

1965年(昭和40年)姫田忠義の次男として生まれる。

現在は音楽を主体とする映像製作を行っている。またドキュメンタリー製作や演劇などの舞台収録などでも活動。

会場地図

東京音楽大学 池袋キャンパス B館 500教室