2021年度プログラム

東京音楽大学では、2019 年度、2020 年度に引き続き「日本とアジアの伝統音楽・ 芸能のためのアートマネジメント人材育成 ~「伝統×伝統」、「伝統×現代」、「伝統×地域」のクロスオーバーによる新たな価値の創出を目指して~」を実施いたします。
2021年度はⅠ~Ⅲのプロジェクトを展開します。

日本とアジアの伝統音楽・芸能の地域における展開に向けた事例調査と発信・共有

2019年度の「伝統×伝統」、2020年度の「伝統×現代」に続き、2021年度は「伝統×地域」をテーマに、各地域の民俗芸能等や住民の音楽活動の状況を踏まえた公演等を企画・運営するためのアートマネジメント人材育成プログラムの開発を目指します。

スケジュール

調査

  • 調査1.公立文化施設の自主事業調査(9月)
    全国の公立文化施設を対象にアンケート調査を実施しました。
  • 調査2.事例の詳細調査(11月~)
    現地調査を含む事例の詳細調査を実施します。

調査結果の発信

  • 発信1.プラットフォーム【TCM-JAM】での公開(11月~)
    調査1と調査2の結果について、Ⅱのプラットフォーム【TCM-JAM】にて公開します。
  • 発信2.事例の公開報告会と意見交換会(2022年1月予定 ※内容の詳細と受講生募集は決定次第お知らせします)
    受講生を募集し、様々な事例について各地の状況にあわせた展開という観点に重きを置いて発信します(公開報告会)。あわせて、講師の先生と受講生が意見交換をしながら課題の抽出・共有、新たな展開の可能性を見出す機会を設けます(意見交換会)
「伝統×地域」をテーマとしたⅠのプロジェクトとあわせて、3か年の集大成として、
以下の二つのプロジェクトを実施します。

「東京音大日本とアジアの伝統音楽・芸能のためのアートマネジメントプラットフォーム【TCM-JAM】」の公開

日本とアジアの伝統音楽・芸能に関する情報を共有し利活用できるネットワークの構築を目指し、伝統音楽・芸能に関する基礎的な情報、公演やアートマネジメントに係る情報の「蓄積」と「発信」、多様な閲覧者同士の「交流」を軸とした総合サイトです。

スケジュール

2021年11月~β版試用開始
2022年2月~正式版公開

「日本とアジアの伝統音楽・芸能のためのアートマネジメント ハンドブック」の制作

これまでの2か年における基礎講座、実践セミナー、企画制作研修のトピックに新たなトピックも加えて再構成し、政策や法制度、支援機関、ファンドレイジング、多様に広がる活動の実践例、コーディネーターの役割やネットワーク構築の可能性等について、一冊で学ぶことができるハンドブックを刊行します。

スケジュール

2022年2月 刊行・【TCM-JAM】にてPDF版を公開

目次

  • はじめに福田裕美(東京音楽大学)
  • 冒頭インタビュー伝統音楽・芸能のアートマネジメント ーこれまでとこれからお話:徳丸吉彦(お茶の水女子大学)文責:加藤富美子(東京音楽大学)
  • アートマネジメントにおける日本とアジアの伝統音楽・芸能

第1部 伝統音楽・芸能のマネジメントの概要

1政策・法律・制度

  • 文化財政策における伝統音楽・芸能の位置づけ宮田繁幸(東京福祉大学,元・文化庁)
  • 伝統音楽・芸能のマネジメントにおける現状と課題高島知佐子(静岡文化芸術大学)
  • 「舞台公演」と著作権法についてー実演家の権利を中心に君塚陽介((公社)日本芸能実演家団体協議会)

2伝統音楽・芸能の推進と支援

  • 近年の文化政策の動向―文化芸術基本法の成立,文化庁移転・組織再編,文化財保護法改正永井義美(東京音楽大学)
  • 芸術はだれのもの?ー主体性と資金と支援をめぐって金城厚(東京音楽大学)
  • 全日本郷土芸能協会の取り組み小岩秀太郎((公社)全日本郷土芸能協会, 縦糸横糸合同会社)
  • 地域における助成金活用の取り組みー乙女文楽の実践塚田千恵美((公財)現代人形劇センター)

第2部 多様な発信と場の広がり

1劇場・音楽堂からの発信

  • 対談「渋谷能」の制作 ー「渋谷能」の講座よりお話:宇田真理子(セルリアンタワー能楽堂)友枝雄人(シテ方喜多流)・成田達志(小鼓方幸流)
    文責:加藤富美子(東京音楽大学)
  • 伝統を踏まえた邦楽公演の新しい見せ方町田龍一(元・(公財)日本製鉄文化財団 (紀尾井ホール))

2地域に根ざした活動

  • 公立ホールにおける邦楽公演の実例本田恵介((公財)熊本県立劇場)
  • 地域に根ざす劇場の伝統芸能支援—継承と創造木原義博・福間一・山﨑祐子(島根県芸術文化センター「グラントワ」 いわみ芸術劇場)

3あらたな創造

  • 現代音楽と能青木涼子(能声楽家)
  • ジャワガムラン ー創作公演の基本知識と事例紹介樋口文子(なみ)(東京音楽大学)
  • 未来につなげる伝統芸能の創造ー淨るりシアターの試みと「アジア芸能の未来」を通して福田裕美(東京音楽大学)執筆協力:松田正弘(淨るりシアター)

4アウトリーチ・ワークショップの実践

  • 伝統音楽・芸能のアウトリーチ・ワークショップをとらえるために伊志嶺絵里子(東京藝術大学、他)・赤木舞(昭和音楽大学,他)
  • 伝統音楽・芸能のアウトリーチ・ワークショップ実践のための論点整理福田裕美(東京音楽大学)
  • 学校における伝統音楽とアウトリーチ・ワークショップ加藤富美子(東京音楽大学)
  • グランシップ伝統芸能普及プログラム北岡慶子(静岡県コンベンションアーツセンター グランシップ (公財)静岡県文化財団)
  • 地域に向けた民俗舞踊講座宮城整(民俗舞踊家)
  • 楽器を使用したワークショップ直川礼緒(日本口琴協会)
  • モノを通してコトを学ぶー博物館の総合型ワークショップ嶋和彦(元・浜松市楽器博物館)

5映像・動画による発信

  • 国立民族学博物館における芸能の映像記録作成と活用福岡正太(国立民族学博物館)
  • オンラインを生かして伝統音楽を現代につなげる―「箏をめぐる現代~オンラインで魅せる楽器」を通して加藤富美子(東京音楽大学)・伊志嶺絵里子(東京藝術大学、他)

6海外における伝統芸能

  • 女流義太夫の海外公演実施の経験から太田暁子(東京音楽大学)
  • 海外における日本音楽ーブラジルに見られる尺八の国際化について渕上ラファエル広志(東京音楽大学)
  • 伝統音楽・芸能の場の広がりーインドネシアを例に木村佳代(東京音楽大学)

第3部 コーディネーターの役割、ネットワークの構築

  • 民俗芸能のコーディネーターの役割小岩秀太郎((公社)全日本郷土芸能協会, 縦糸横糸合同会社)
  • 国内・海外の地域伝統芸能の招聘公演を支えて 61年目の指針中坪功雄(伝統芸能(株)ナカツボ・アーツ)
  • 創造的な復興と地域フェスティバルの設計図—現代の視点で芸能の魅力を引き出すために坂田雄平(宮古市民文化会館)
  • 対談:アジアの伝統音楽・芸能公演の現在と未来 ー私と公の間からお話:久保田広美((株)マノハラ)・長谷川時夫(NPO法人日印交流を盛り上げる会)
    文責:小日向英俊(東京音楽大学)
  • 日本とアジアの芸能ネットワークづくりーオンライン芸能村小日向英俊(東京音楽大学)執筆協力:神野知恵
  • おわりに福田裕美(東京音楽大学)
  • 事業の記録

日本とアジアの伝統音楽・芸能の地域における展開に向けた事例調査報告 および、3か年の活動報告会

日時 2022年3月19日(土) 10時~12時 オンラインにて
内容 第1部:地域調査・アンケートデータ分析報告
第2部:3か年の振り返り
報告者 福田裕美 小日向英俊 加藤富美子 金城厚(以上本学教員)
コメンテーター

坂田雄平様
宮古市民文化会館館長補佐・プロデューサー、三陸国際芸術祭プログラムディレクター

大井優子様
公益社団法人日本芸能実演家団体協議会 実演芸術振興部
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