2026.07.25

1. 豪華な教授陣と多様なプログラムに包まれた5日間
―― まずは、アカデミーの全体的な感想とレッスンの雰囲気から教えてください。
• 今回のプログラムは毎日1時間、5人の異なる先生からレッスンを受けられるスタイルでした。同じ曲であっても先生によって多角的な視点からアドバイスをいただけて、フランス音楽に対する考え方がとても広がりました。他の受講生のレッスンを全て自由に聴講できたのも勉強になりました。
• 私はPennetier先生、Girod先生、Rigutto先生、Bresson先生、Strosser先生の5人に指導していただきましたが、本当に贅沢な時間でした。それぞれ音楽表現や演奏法へのアプローチが違って、どれも心に残るアドバイスばかりでした。フランソワーズ・ティナ・教授による「ルーセル」に焦点を当てた特別公開クラスにも参加でき、普段とは違う角度から音楽を深めることができました。
―― レッスン以外にも、素晴らしい演奏の機会があったそうですね。
• モネの作品が飾られている「マルモッタン・モネ美術館」での演奏機会がありました。私は大学でアンサンブルを組んでいる友人と一緒にソロと連弾を演奏したのですが、美術作品に囲まれた空間で音を奏でられたのは忘れられない思い出です。
• 最終日の修了演奏会も、響きが素晴らしいSallet Cortotで行われました。当日に演奏順が発表されてプログラムも作成され、たくさんの観客の前で響かせる緊張感と達成感は素晴らしいものでした。
• 演奏会後のお疲れ様パーティーでは、国籍を超えて演奏の感想を言い合ったり、連絡先を交換したりして親交を深められました。

2. 「現地で響かせたからこそ」生まれた変化
―― フランスの地に身を置いたことで、演奏や音楽観にどのような変化がありましたか?
• 帰国後の本学でのレッスンで、先生から「前回フランスから帰ってきたときも思ったけれど、大胆に演奏できるようになるよね」と言われたんです。 実は「大胆に演奏すること」は長年の課題だったのですが、自分でも気づかないうちにその壁を乗り越えられていました。フランスの街の香り、言葉のリズム、現地のピアノの音色に包まれたことで、自分の中の固定観念や遠慮が消えて、自然と演奏が変わったのだと感じています。
• 私も「音」に対する価値観が劇的に変わりました。歴史ある校舎や響きの豊かなレッスン室で弾くことで、音の余韻や空間の使い方への意識がより深まりました。帰国後のレッスンでも「空間の使い方や音の響きが身についた」と褒めていただき、現地で肌で感じることの凄さを実感しました。
3. パリでのリアルな生活:カルチャーショックからW杯まで
―― レッスンを離れたパリでの生活はいかがでしたか? ハプニングや面白かった出来事はありますか?
• 挨拶文化の違いには驚きました。 フランスではお店に入る時やバスに乗る時、挨拶(Bonjour)をしないとすごく失礼になります。帰国直後、うっかり日本のコンビニで店員さんに「おはようございます」と元気に挨拶してしまい、一人で恥ずかしくなって笑ってしまいました。
• あとは語学が完璧でなくても飛び込んでみようと思って、地元のカフェで現地の人と一緒にサッカーのワールドカップ観戦をしたんです。 隣の人が飲み物を奢ってくれたりして、最高の思い出になりました。
• アカデミーでは連絡手段として「WhatsApp」のグループチャットが使われていたのですが、スケジュールの変更共有だけでなく、学校側が撮影してくれた記念写真なども送られてきて、世界中の参加者と一気に距離が縮まりました。

4. 今後参加する後輩たちへ
―― 実際に現地を体験した皆さんから、今後参加する後輩へのアドバイスをお願いします。
① 持ち物・暑さ対策
• とにかく「持ち運びができる携帯扇風機」や「冷却タオル」は必須です! 校舎や練習室にエアコンがないため、夏場はこれがないと練習に集中できません。
• レストランがかなり高額なので、インスタントの日本食はあるだけ重宝します。街中に給水スポットがあるので軽い水筒もあると便利です。また、現地で1週間の交通パス(Navigo Découverte)を発行する場合は顔写真が必要なので、日本から持参するとスムーズです。
② アプリ・事前準備
• アカデミー内の連絡でよく使う「WhatsApp」は、日本の電話番号で事前認証が必要なので、渡航前にアカウントを作っておくのがおすすめです。
• 現地ではなぜかChatGPTが使えず、私はGeminiにとても助けられました。

5. おわりに
―― 最後に、今回の研修を振り返って一言お願いします。
• 素晴らしい先生方のご指導やパリの空気感に触れられたことは一生の宝物です。
• ヨーロッパ特有の音楽文化や環境を全身で体験できたことは、確固たる財産になりました。この留学で得た豊かな音の感覚を忘れず、今後の演奏に活かしていきます。