多くの人間からなるオーケストラを導く指揮者には、多様なものをまとめあげる力が求められます。
さまざまな刺激を受け、自分が今までに考えもしなかったことに思い至ること、技能の巧みさや音響的感動だけを追い求めるのではなく、それぞれの作品が人の心に何をもたらすべく書かれたかを理解すること、さらに自分の音楽を人々に共有するための表現力を獲得すること――あらゆる角度からの学びを経て自分自身の中に新しい化学反応が起こり、人間として成長していくことを通して、指揮者に求められる力を少しずつ体得していきます。
みなさんと一緒に学びあえることを、心待ちにしています。
2024年度 主なカリキュラム
指揮専攻では、指揮者だけでなく、演奏家、レコーディングディレクターや音楽療法士など、実に多彩かつ多才な教員が指導にあたっています。また、社会人に向けた指揮研修講座も開講しており、ここにもさまざまなものの見方や考え方をもつ人たちが集まります。
学生たちが、多様な人々の中で有形無形の学びを得られること。これは他では見られない、本学指揮専攻だけの特徴です。
本学指揮専攻でとりわけ特徴的なレッスンは、指揮の学生や教員、社会人研修生が一堂に会しておこなわれる「指揮・管弦楽コミュニケーション演習(実践レッスン)」です。定期実技レッスンでは2台ピアノを指揮しますが、「実践レッスン」では器楽学生有志や教員が参加するオーケストラの指揮をします。指揮の講師だけでなく、ソリストやプロオーケストラ奏者として国内外の第一線で活躍する演奏家からもアドヴァイスを受けられる、世界的にも珍しいレッスンを実現させています。
毎週おこなわれる個人レッスンでは、基礎的な指揮技術と知識を体系的に修得します。また、オーケストラで演奏される楽器や奏者への理解を深めるため、自ら選択した複数の楽器のレッスンや、より深い楽曲解釈を追究するため、音楽理論、楽曲分析、スコアリーディングなどの指導を受けることもできます。そして年度末には、オーケストラを使った実技試験を実施します。
こうしたカリキュラムによって、多彩な表現力と強固な説得力をもった豊富なレパートリーを築いていけるように指導していきます。