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美しく豊かな響きを追い求めて。
個性の輝き、そして協調へ。

ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ハープ、クラシックギターの6つの専門楽器の実技指導に特化した「弦楽器」コースでは、弦楽器独特の美しく豊かな響きを追求するとともに、それぞれの感性と知識によって楽曲の様式や作曲者の意図をとらえ、どのように表現するかを探求します。また、合奏などの授業において「聴(みみ)」を育て、他と協調し、連帯感を培います。

「弦楽器」コースの大きな特長は、授業としてオーケストラが毎週必ず組み込まれていること。弦楽器奏者としての基礎と技術を、1年次からしっかりと学びます。毎週のオーケストラ授業、第一線で活躍する演奏家による直接指導、学生だけで編成する3つのオーケストラなど、4年間の学びを通して養われるのは、音楽のプロとして必要な実践力。基礎から実践までフォローする理想的な学びの場が、ここにあります。

2024年度 主なカリキュラム

専攻・コースの特徴

Features

オーケストラ&室内楽の授業が充実。

1~2年次必修の「管弦楽または合奏」と「弦室内楽」では、アンサンブルの基礎を学びます。さらに、1年生の弦楽器のみで構成する「Bオケ」、2~4年生を中心にした管弦楽の「Sオケ」「Aオケ」という3つのオーケストラが組まれ、また室内楽(弦楽四重奏)の授業も4年間受講可能。演奏者同士が互いに触発され、自主的な表現をもちながら調和と創造を経験することで、人間的にも成長できます。

弦室内楽の授業は講師希望制(3~4年次)。

「弦室内楽」の授業はグループを組み、希望する2名の担当教員のもと年間10回以上のレッスンを受講できます。古典派、ロマン派、近代、現代の作品の中から教材を取り上げ、各グループおよび学生の能力に応じた授業計画を策定。自主性を尊重したカリキュラムで、より実践的な学びにつなげます。

6種の楽器を基礎から専門的に学ぶ。

コンサートマスター経験者を含む現役演奏家が直接指導を担います。演奏技能の向上はもとより、音楽活動経験の豊富な教員たちの姿勢を学べる点でも貴重な機会です。週1回の個人レッスンでは上手に弾くことのみを目的とせず、作品を理解・解釈し自らのメッセージとして演奏することを追求していきます。国内外招聘音楽家による公開レッスン、公開講座などを受ける機会もあります。

実技紹介

Practical studies
ヴァイオリン

レベルの違う学生同士が
切磋琢磨しながら実践力を鍛錬。

共鳴弦のない4本の弦や弓などが、現在と同じ形になってから300年ほどの歴史をもつ楽器です。ナイロン弦が使われるなど細部の進化はありますが、楽器自体の大筋はほとんど変わらず、演奏するシーンや奏法、曲の題材などが時代とともに変わってきました。気持ちを音色にのせて細かく表現できるため、演奏者ひとりひとりの個性を確立しやすいことが特徴です。その一方で、オーケストラでは周囲の楽器との合奏により、独奏とは違うヴァイオリンの楽しさや魅力を引き出す醍醐味も味わえます。

本学では室内楽を学べる環境が充実しています。特に1〜2年次はレベル分けのないクラスレッスンを採用していることも特徴です。個人レッスンとは異なり、学生たちが代わる代わる弾き合うことで自然と実践力が磨かれていくだけでなく、お互いになにかを感じ、交流が生まれ、演奏家として切磋琢磨していく土壌が築かれていきます。また、火曜日をオーケストラの日と定め、すべてのオーケストラが同じ時間帯に練習。1年生は「Bオケ」からはじまり、最もレベルの高い「Sオケ」などを目指していきます。卒業後の進路はオーケストラへの所属や教職に就くだけでなく、近年はヴァイオリン人口の増加により、街の音楽教室など指導者として活躍できる場も増えています。

ヴィオラ

基礎から徹底的に学び、
正確な音程がとれる技術や感覚を修得。

フランス語でアルトと呼ばれているように、人間の声に近い音域が魅力の楽器です。その歴史は、通奏低音から出発し、伴奏楽器として愛されてきましたが、ロマン派以降、ブラームスやシューマンなどがヴィオラのための楽曲を書き始め、ソロ楽器としても扱われるようになっていきました。その後、近現代になり、曲も演奏家も増えるにつれて、活躍の場はどんどん広がっています。ヴィオラにしか出せない独特な音色が、多くの演奏家を虜にしてきましたが、サイズが大きく、弓が重いにもかかわらず、分数楽器が日本にはほとんどないため、幼少期から演奏することが難しいのが現状です。そのため本学でもほとんどの学生がヴァイオリンから転向する形で学び始めます。

ヴィオラを専門で学べる全国でも数少ない大学のひとつが本学です。形も装備も似たヴァイオリンから転向する学生がほとんどですが、サイズが大きく、弓や楽器自体の重さ、弦の張力や構え方が違うため、音を出す感覚が少し異なります。そのため、入学後はヴィオラの基礎的なテクニック、考え方を一からしっかりと学んでいきます。中でも重要なのが、体のフォームや弓の持ち方、構え方。それらを固めることで、正しい響きを出すための音程がとれる技術、音程感覚を修得していきます。中音域の楽器ではありますが、ほかの楽器にはないヴィオラ独特の高音域や低音域も出すことができるのが魅力。室内楽の授業では、ヴァイオリンやチェロなどほかの楽器とのアンサンブルで奏でながら、ヴィオラ独自の音の表現を目指します。

チェロ

希望する学生・指導者と弦楽四重奏団を結成。
実践力を磨く。

指導陣は教授をはじめ、第一線で活躍中の現役演奏家が揃います。授業では学生の前で実際に演奏しながら指導を行うため、学生はトップレベルの演奏を体感しながら学ぶことができます。室内楽も演奏し、ソロでも活躍する指導者たちの指導は実践的で、そのすべてが未来への礎になっていきます。また、近年、クラシックの演奏はオリジナル譜を重要視する流れにあるため、同じ曲でも自分流に弾くのではなく、作曲家の代弁者として楽曲の意図を汲んだ演奏をするよう指導を行っています。

本学では第一線で活躍する現役演奏家が、実際に演奏しながら指導を行います。1~2年に受講する「弦室内楽Ⅰ」「弦室内楽Ⅱ」の授業では、弦楽四重奏をレッスン形式で指導。1組4人ずつが順番に弾きながらスコアの見方や演奏のバランス、ハーモニーの性格などを修得し、弦楽四重奏の基礎を学んでいきます。3年次からは希望する学生同士で弦楽四重奏団を結成。希望する教授の指導のもと、最低でも年間10回のレッスン形式の授業を行い、実践力を磨きます。4人の学生が力を合わせ、時にさまざまな意見やアイデアを出し合いながら、オーケストラにおける立ち振る舞いも体感していきます。

コントラバス

譜面だけではわからないポイントを学び、
アンサンブルで活躍できる実力を身につける。

最低音を担う大きな楽器ですが、近年は女性の演奏者も増えています。ほかの弦楽器に比べて演奏する音符の数が少ない分、ひとつひとつの音に重要な意味を持つことになります。その豊かな響きは、時にオーケストラ全体を包み込み、オーケストラ全体の流れを変えることもあります。アンサンブル楽器として協調性を意識しながら、同時にソロ楽器として音楽性、技術、個性にも磨きをかける。それこそがバランスのとれた、すばらしい演奏家への近道となるでしょう。

一般的に習い始める年齢が遅い楽器です。その分、特にプロを目指す学生にとっては、卒業までに一定のレベルに達するための努力がほかの楽器以上に必要となってきます。基本的にはソロだけに偏重することなく、アンサンブル力を養うことが大切です。本学では特にオーケストラスタディに力を入れ、実践的な知識や技術を身につけていくことを目指します。例えば、課題曲に対して、作曲家による違いを知ることや、譜面には書かれていない音の処理法、強弱、長さや重さ、軽さなどの『演奏慣習』を指導者の経験をもとに学んでいきます。学生は、学年に関係なく同じ部屋で行動を共にすることが多く、先輩・後輩のつながりが生まれやすいのも本学の特徴です。先輩の演奏を間近で見て吸収していくことは上達の一助になるでしょう。その関係性が卒業後の活動につながることもあります。

ハープ

ほかの学生のレッスンを積極的に見学し、
さまざまな視点を学びの糧とする。

狩猟時代に弓矢の弓を弾いて音を出したことが起源と言われ、そこからさまざまな進化を遂げながら、1810年に現在のダブル・アクション・ペダル・ハープが完成しました。自分の指先で直接音を出すこと自体は、太古の時代から変わらない原始的な楽器です。それゆえ同じ楽器でも弾く者によって音色や音量が変わり、演奏家の個性が際立ちやすいのが特徴です。さまざまな和音によるグリッサンドの美しい響きは、ほかの楽器にはない魅力であり、オーケストラでもかけがえのない存在になっています。

本学では少人数のためすべての学生に指導者の目がしっかりと行き届く環境が整っており、学生独自のペースで個性と音楽性を引き出し、伸ばしていくための指導を行います。オーケストラスタディはもちろん、室内楽の授業では室内楽の授業では同族楽器でアンサンブルを奏でるハープデュオやトリオの演奏、さらにクラシックギターとのアンサンブルも実施。より美しい音色が生まれる経験もできます。技術の向上や将来、指導者になった時のために、ほかの学生のレッスンを聴くことも推奨しています。また、アマチュアを含めたハープ奏者が加入する日本ハープ協会の会員数は、現在500名弱。ほかの楽器に比べて、演奏人口が少ないので、卒業後はオーケストラでの演奏や室内楽、ブライダルでのBGMなど活躍の場に恵まれています。

クラシックギター

演奏の醍醐味は、
思い通りに感情を表現すること。

かつてはソロで演奏されてきた楽器です。しかし、20世紀以降は優れた演奏家の登場によって、楽器に秘められたポテンシャルを引き出すことに成功。作曲家がクラシックギターの価値を認めるようになりました。その結果、ソロだけでなく、アンサンブルの曲も数多く作られるようになり、他楽器と共演する機会も増えています。また、音楽ホールの残響が良くなったことで、より遠くまで音が届くようになり、ソロ演奏でも多くの観客を魅了できるようになりました。時代とともに演奏の楽しみ方や可能性が広がっている楽器のひとつになります。

本学では、音楽全体に関する知識や経験を幅広く身につけながら、演奏技術を学んでいきます。週1回の個人レッスンでは、一人ひとりが弾きたい曲や興味のある曲を練習しながら、例えばひとつのフレーズに対してさまざまな弾き方や表現方法を学ぶなどして、演奏の引き出しを増やしていきます。そして、その中から自分に合うものを取捨選択し、自分のスタイルを確立していくことを目指します。多くの選択肢を知り、技術的にも内面的にも余裕を持って舞台に立てるようになれば、豊かな感情表現を伴った演奏ができる。それこそがギターを弾く醍醐味なのです。指導するのは演奏する作品の魅力を引き出すためのいろいろな解釈の方法です。楽器を上手に弾くための技術だけではなく、より豊かな表現力が身につくよう、感性を磨くことに力を入れています。また、ハープや同じギターとのアンサンブル演奏なども実施。実践的な指導により、ほとんどの学生がプロの演奏家を目指します。

指導教員からのメッセージ

Message

大谷 康子教授

豊かな心で、未来社会に貢献できる人に。  


人に感動をもたらす演奏は、表現する技術が伴ってこそ。この技術の習得とともに、作品の時代背景、作曲家の意図、様式などを学んでいきます。室内楽やオーケストラの授業では、音でのアンサンブルだけではなく、人とのコミュニケーション能力も養われます。校風として個性を大切に、果敢な挑戦を応援します。豊かな人間として社会貢献につながるように願っています。