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本学創立115周年特別演奏会 「音楽のチカラで未来をつくろう」に向けて―― 武石みどり学長代行

本学創立115周年特別演奏会
「音楽のチカラで未来をつくろう」に向けて

 

2022年は、東京音楽大学の創立115周年にあたります。本学は、明治40(1907)年に東洋音楽学校として開学して以来、私立音楽大学としてはもっとも長い道のりを歩んでまいりました。創立115周年にあたってこの歴史を振り返るとともに、さらに新しい時代への展望を求め、10月13日と14日の2日間、サントリーホールを会場として、全学を挙げての演奏会を行います。

 

創立年の1907年は、西洋においては不協和音や不規則リズムを伴う「現代音楽」が現れはじめた時期でしたが、日本においては、小学校で開始された唱歌教育が定着し、西洋芸術音楽への関心が大きくなりはじめた頃でした。当時は楽器を習いはじめる時期が遅かったため、学生の演奏レベルは現在よりも低調で、楽譜も楽器も貴重品であり、買えない楽譜は手で書き写すのが当たり前でした。それに比べると現在の学生は、小さい頃から音楽の手ほどきを受け、楽譜や楽器のみならず、音源や映像なども簡単に手に入るような環境で学んでいます。本学の学生が国内や海外のコンクールに積極的に参加し評価されているという状況は、この115年の間に社会の変化に対応して、歴代の学生と教員がより高いものを目指してきた蓄積があってこその成果と言えるでしょう。

 

今回の2日間のコンサートは、多様な編成と演奏曲目による9つの演奏会で構成されています。演奏を学ぶ学生にとって、晴れの舞台で演奏をお客さまに聴いていただくことが一番の勉強になることは言うまでもありません。これは演奏者として舞台に立つ学生だけのためのものではありません。自ら出演しない学生も聴き手として演奏会に参加し、演奏に耳を傾ける機会とすることに、重要な意味があると考えます。個々の演奏がどのようであったかを聴き取るのと同時に、コンサート全体の曲目構成から、舞台転換、舞台マナー、プログラムの作り方にまで目を向けること――すなわち、単に聴き手として受動的に参加するのではなく、コンサート全体をどう創り上げるのかといった作り手としての視点と意識を高めるための教育――の機会としたいと考えます。

 

この2日間をとおして、全学の学生と教員がそれぞれの立場と関心から「演奏」、そして「コンサート」というものについての経験と考えを深め、音楽のチカラを確かめ、次に進むべき道を模索する――そのような場となることが、本演奏会の目指すところです。保護者、関係者、音楽愛好家の皆さま方には、以上のような趣旨をご理解いただき、ぜひ会場にて見守り、応援していただけましたら幸いです。

 
 

学長代行 武石みどり

 
 

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