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2024年度夏期「バイエルン州立青少年オーケストラ・合宿プログラム」参加者にインタビューしました

「バイエルン青少年オーケストラ合宿・演奏会」は、ドイツ・バイエルン州が主催し、バイエルン放送交響楽団のメンバーが主たる指導者となって行われる演奏旅行をかねた合宿プログラムで、オーケストラ演奏を通じて学生が国際感覚を身につける貴重な機会となっています。本学とバイエルン青少年オーケストラは2014年より提携し、夏・冬それぞれ2週間の合宿プログラムに毎年学生を派遣しています。
今回、2024年度の夏合宿にコントラバスで参加した、池田十渚さんにお話をお聞きしました。


 
 

池田 十渚 さん
(器楽専攻弦楽器コントラバス1年)

 
 

―まずは、今回参加されたご感想をお聞かせください。
『本場ヨーロッパでクラシック音楽を学んでみたい』という強い思いから、参加を希望しました。合宿はイタリア・エッパンでの1週間の集中練習から始まり、その後ドイツ・オーベルストドルフへ移動しながら、教会、広場といったさまざまな会場で演奏会を行うツアー形式でした。エッパンでの集中レッスンはとても密度が濃く、充実したものでした。

 

―どのような内容だったのでしょうか?
演奏する4曲について、バイエルン放送交響楽団のメンバーから直接指導を受けながら、それぞれの曲に集中的に取り組みました。パートごとの練習とオーケストラ全体での合奏練習を通して、技術や表現の細かい部分まで丁寧に教えていただき、自分の演奏に対して具体的なアドバイスをもらえたことが大きな収穫です。また、現地でお借りしたコントラバスはフルサイズの5弦タイプでした。
 
私が普段使っている楽器は4分の3サイズの4弦。渡航前に、貸し出される楽器が5弦かもしれないと聞き、大学所有の5弦コントラバスをお借りし練習していったのですが、やはり慣れるのに時間がかかりました。青少年オーケストラのメンバーは5弦を弾く人も4弦を弾く人もいましたが、みなさん10代にもかかわらず体格がしっかりしていて、奏でる音色が太く感じられたことも印象的でした。

 

―ほかに海外という環境で音楽を学ぶことで演奏や音楽に対する考え方で影響を受けたことはありましたか?
ドイツ語や英語でのやり取りが必要な環境でしたが、指導者や同じパートの仲間たちとコミュニケーションを取りながら学んだことで、語学力と音楽表現の両方が磨かれました。また、印象的だったのは、レッスン中に意見の交換が積極的に行われることです。
 

現地のみなさんを見て感じたのは、音楽には正解がなく、意見の相違は個人的な感情とは無関係という前提があることです。意見の衝突を避けるのではなく、『異なる意見に耳を傾けることで視野が広がり、考えに深みが増し、より良い演奏に繋がる』という共通認識を持っていると感じました。また、『指揮者も演奏者も主体者として、共に音を組み立てていく』という姿勢が伺えました。
日本では受動的に学ぶことが多いように感じていますが、自分の意見を発信する文化を体感することができました。

 


▲ 先生方のコンサートのお写真

 
 

―集中レッスンを経てのヨーロッパ各地での演奏会はいかがでしたか?
最初は本場の観客の前で演奏することに少し緊張もありましたが、現地の方々の温かい拍手や応援に支えられ、演奏に集中できるようになりました。演奏会場は、イタリア・エッパンやドイツ・オーベルストドルフといった自然豊かな地域の教会や広場など。教会での演奏は、音が大きく反響して空間全体に広がる神聖な響きがあり、一音一音が深みを持って聴こえました。
 
一方、広場での演奏は、音が空へと抜けていく開放感があり、自由でリラックスした雰囲気の中、観客と距離感の近い演奏ができました。日本のホールでの演奏経験しかない私にとって、どちらも新鮮な驚きでした!また、青少年オーケストラのみなさんとのバス移動も含めたツアー形式の演奏旅行は、まさに音楽を通じた「旅」となり、絆も深まったと感じています。
 


 

▲ 教会でのコンサート風景と教会の内部の様子

 


▲広場でのコンサート風景
 
 
―現地の方々との交流も楽しかったようですね。みなさんとの思い出を聞かせてください。
青少年オーケストラのみなさんとは、休憩時間に一緒に食事をしたり、スーパーへ買い物に行ったりしました。特に、滞在先のエッパンの町の散策が楽しかったです。近くにはジェラート屋や小さなカフェがあり、美しいヨーロッパの街並みの中で映画のようなひと時を過ごしました。夜には、寮で同じ部屋の友達と恋バナなどに花を咲かせることも。仲よくなった人とは今でもメッセージアプリで連絡を取り合っています。
また、家族と離れて海外に行くのも初めてだったので、留学前の準備や現地での買い物、寮での洗濯など、さまざまなことに自立してチャレンジし、実りある2週間を過ごすことができました。
 


 

▲イタリア・エッパンの街並み
 

▲寮のお部屋からの風景
 
 
―いろいろなお話をお聞かせいただき、ありがとうございます!最後に、本プログラムへの参加を検討している方にアドバイスをお願いします。
現地青少年オーケストラの一員として活動した2週間は、想像以上に多くの学びにあふれていました。レッスンや日常のコミュニケーションにはドイツ語や英語が使われるため、ある程度の語学力は必要となります。事前に基本的な音楽用語や数字などのドイツ語を学習した上で臨み、レッスン中に英語で質問しつつ、時には翻訳アプリも活用して現地の先生や参加メンバーたちと積極的に関わるようにしました。
 
それでも、もっとドイツ語でコミュニケーションをとりたかったと感じたので、帰国後にドイツ語を勉強しはじめました。大変なこともありますが、そのぶん達成感があり自信もつきます。ほかでは経験できない貴重な機会ですので、ぜひ挑戦してみてください!

 
 

(広報課)