2026.06.11
大学院修士課程声楽専攻(独唱)2014年修了
声楽演奏家コース 2012年大学卒業
令和8年度「奏楽堂日本歌曲コンクール」声楽部門で入選
今回、奏楽堂日本歌曲コンクールに挑戦したことで、母国語で歌うことの難しさと日本歌曲の奥深さに改めて気づかされました。
普段はオペラを中心に活動していますが、コンサートなどでリートやイタリア歌曲などを演奏することもあります。
ドイツ語やイタリア語等は私にとってネイティブのように話せる言語ではなく、一語ずつ意味を調べ、滑らかに詩を朗読できるようにするところから演奏の土台作りが始まります。今までの経験や、コレペティの先生の指導の下、言葉の山を何処へもっていくか、旋律との兼ね合いや、作曲家の書いたアーティキュレーションやダイナミクスをヒントに自分の中の完成を目指していくのが、私の歌曲との向き合い方でした。
日本歌曲を勉強する際も、詩の朗読から始めました。直接的な表現ではなく、情景描写の中に読み手の感情が込められてることが多い中、どの色で旋律を彩るのが美しいか、作詞家の意図に沿うのか、ということが最初によぎり、私にとって日本語は色彩豊かな言語なのだと気付きました。
声に色を出すということは、オペラの現場でも求められることですし、大学時代にレッスンの際に菅先生、釜洞先生から繰り返し指導される一つでもありました。
30代となり、発声も学生時代よりは安定してきた今、大学時代にうけたレッスンでの先生方の言葉がふと思い出され、こういうことかな、と理解できる瞬間が増えたように思います。
オペラの稽古では、もちろん自分である程度の形は作っていきますが、演出家の意図や指揮者との音楽作りがありますので、必ずしも自分の想像していた音楽になっていくとは限りません。去年私が出演したオペラ『こうもり』では、演出家がアンドレアス・ホモキというドイツ人で、私の歌ったオルロフスキー公爵はなんと女の子(!)という読み替え演出でした。まさか性別が変わるとは…という驚きから始まった稽古では、準備していたセリフ回しや、足運び、そしてもちろんクプレも歌い方を変えなくてはいけませんでしたが、自分が想像もしていなかった完成図に向かって役を作り上げていくことはとても面白い経験でした。
大学で学んだことが、今の私の演奏の中核をなしており、その周りをオペラ研修所や現場での経験が包んでいます。これからも精進して参ります、ありがとうございました。
(濱田千枝子先生、菅有実子先生、釜洞祐子先生、萩原みか先生、VesselinaKasarova先生に師事)
(総務広報課)