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【私のお気に入りシリーズ 】第2回 田代俊文教授「バンベルク交響楽団」

 

「私のお気に入り」を紹介するシリーズ。対象は、古今東西、ソフト・ハード、ミクロ・マクロを問わず音楽に関わる事象すべて。さて何が飛び出すか?
2回目は作曲指揮専攻 指揮の主任教授、田代俊文先生にお願いしました。

 

 

田代俊文先生

 

『バンベルク交響楽団』

 
 『バンベルク交響楽団』、私がはじめて聴いた海外のオーケストラです。もう半世紀以上前の1968年、高校1年の時です。 
 
 会場は福岡市民会館。当時佐賀県に住んでいた私は演奏会に行くためとチケットを買うため、2回福岡に行く必要がありました。その頃作曲を学んでいた先生が、セミプロの佐賀交響楽団を指揮していたこともあり、手伝いとしてティンパニを叩くというようなことをやっていました。そんな状況で、はじめての本格的なオーケストラというのがいきなり『バンベルク』だったのです。 
 
 指揮は往年の名指揮者、ヨーゼフ・カイルベルト。演目はハイドン『交響曲第101番「時計」』、R.シュトラウス『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』、ドヴォルザーク『交響曲第9番「新世界より」』です。
 
 一曲目のハイドンで最初の音が出た瞬間、低弦の奏でる充実した響きにまずもってびっくりしました。低音がよく響いていて、その上に音楽が乗っている。あの重厚な音色は、私の音楽人生の原体験といってもいいでしょう。 
 
 バンベルクはドイツ・バイエルン州のすごく小さな町で、人口も10万人にも満たないくらいです。
 東京音楽大学のシンフォニーオーケストラの演奏旅行で2009年にバンベルクを訪ねたことがあります。ほんとうに小さい町なのですが、その町の『バンベルク交響楽団』が各国で演奏することにより、そのオーケストラの質の高さから世界中にバンベルクの名が知れていく。ちょうど当時の佐賀市はバンベルクと同じくらいの人口規模なので、「えー!」と驚きました。社会と音楽(文化)が結びついて、世界中に発信できるということにたいへん感動した覚えがあります。

 

▲ バンベルク旧市庁舎(田代教授撮影)
 
 当時は当たり前ながら、カセットテープもないし、ましてビデオなどもありません。生の演奏を、必死で目と耳に焼き付けました。
 
【閑話休題】
「バンベルクに行くとラオホ・ビール(燻製ビール)というのがあって、バイエルン地方の郷土料理シュヴァインスハクセ(シュヴァイネハクセ、豚すね肉を焼いたもの)をつまみにそのビールを飲むと、これがまた実に旨いんだ。」
 

田代 俊文(たしろ としふみ)  
東京音楽大学指揮科卒業。卒業後、東京音楽大学においてオーケストラ、オペラ、教職課程吹奏楽の授業に携わる。東京音楽大学教授、東京大学音楽部管弦楽団常任指揮者
 

 
(広報課)