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【音楽学のススメ】第3回 村田千尋教授「歴史は苦手ですか?~その2」を掲載しました

第3回 村田千尋教授

「歴史は苦手ですか?~その2」

 

さまざまな観点から音楽を考察する「音楽学」。新シリーズ「音楽学のススメ」では4名の専任教員に執筆を依頼しました。皆さんの音楽学習に役立つおもしろい「ネタ」を発信していただけることでしょう。  
 

 2020年度は新型コロナウイルスの影響で、東京音楽大学でも音楽学関係科目はすべての講義がオンデマンド配信をすることになりました。1年生の必修科目「西洋音楽史概論」1回目の授業の最後に、僕はカメラに向かって、「暗記が苦手で歴史が好きでない人も、暗記など必要ありませんから、一緒に音楽史を楽しみましょう」と呼びかけました。
 

 皆さんは歴史に暗記はつきものだと思っているかもしれませんが、そんなことありません。いくらたくさん暗記していても、歴史を楽しむことはできません。必要なことは、歴史的なできごとについて、その原因や結果を考えたり、複数のできごとを関連づけ、それを比較するなど、想像し、考えることです。たしかに、考える基礎として多少の知識は必要でしょう。知らなければその先には進めませんから。でも、覚えることに時間を使うのではなく、考えることに労力を使いましょう。いくら覚えたって、年表や百科事典には勝てないのだから。覚えるのではなく、調べましょう。そして調べたことを出発点にして、いろいろと連想し、空想して楽しみましょう。それが歴史の楽しみ方です。
 

 でも、春学期も終わりに近づいた頃に、「試験対策はどうしますか?」と問いかけたところ、かなり多くの人から、「授業の内容を整理して覚える」という回答があり、とても残念に思いました。整理するのはいいです。それは考えることにつながります。しかし、覚える必要はありません。ノートに書いてあるはずですよね。書いてある場所を探して、そこから考えることができればいいのですから。

 

【村田千尋教授プロフィール】
本学音楽学主任教授。東京大学文学部美学科、国立音楽大学大学院音楽学専攻で学び、弘前大学教育学部専任講師、北海道教育大学札幌校教授を経て現職。シューベルト、ライヒャルトを中心に、18・19世紀のドイツ・リートを研究すると共に音楽社会史、環境美学、近代日本音楽教育史などにも関心をもち、さらに、カリキュラムを構築する責任者として、大学における音楽の勉強方法、教育のあり方の研究にも長年携わってきました。