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【新卒業生から新1年生へ ~熱いぜ、ザ・東京音大生~】第16回 大澤めいさん

大澤めいさん(作曲「映画・放送音楽コース」)

新卒業生から新1年生諸君へ

~熱いぜ、ザ・東京音大生~

 

時代に対応したさまざまな音楽ジャンル、メディアに。音楽業界で即戦力となれる人材に…作曲「映画・放送音楽コース」は設立以来、多くの人材を商業音楽分野に送り出してきました。大澤さんもそのひとり。作編曲の基礎をしっかりと叩き込まれ、幅広い活動を続けた結果、“音楽ではない畑”で自分の能力を生かせる道を見つけました。

(*作曲「映画・放送音楽コース」は2021年度より、音楽をめぐる状況の大きな変化に対応するため、作曲「ミュージック・メディアコース」として誕生し、時代に対応したセルフプロデュース能力のある人材を育成していきます)

 

第16回 大澤めいさん(作曲「映画・放送音楽コース)

【卒業後の進路】

バンダイナムコスタジオに就職

【出身高校】

東京学芸大学附属国際中等教育学校卒業

 

― どうして東京音大への進学に決めたのですか?

 

父が東京音大の講師だったこともあり、前から作曲「映画・放送音楽コース」(以下、映放)の存在は知っていました。でも、中学生の頃は、サウンドトラックとアニメソングばかり聴いて映像関係の方に興味が湧いていたので、その分野の大学を漠然と探していました。結局、映像の勉強をしてその後どうしたいのかがあいまいだったので、悩んだ末、期末テストで唯一満点をとっていた音楽を続け、作曲家になろうと決心して映放を受験しました。
 

― 映放に入って、一番印象的だったことは?

 

1年生の堀井勝美先生の作曲の授業です。ほとんどの映放の学生が同じことを言うんじゃないかと思います。もう5年も経つのに忘れられない。作曲・アレンジを週2回提出しなければならない、ある種の“修行”とも言える名物授業。この授業がなければ今の私は存在しないと断言できるくらい基礎を叩き込まれました。

 

― いきなり洗礼を受けたわけですが、その後は?

 

先述した堀井先生の授業は必修が1年生で終わってしまうのですが、2年生から選択で受講できる「4リズムヘッドアレンジ&コードプログレッションII」という授業では、1年生の時よりさらに濃いレッスンが待っていました。さらに、RECスタジオでプロの演奏者や先生方に自分の曲を演奏していただく機会にも恵まれました。
 

― 順調な大学生活が伺われますね。

 

そうでもないんです。私はいろんなことに目が向きすぎてしまったせいで、ほかの人のような得意な音楽ジャンルをもてなく、それがコンプレックスでした。そのことで悩んだ時期もありましたが、「ならば、なんでもつくれる人になろう!」と腹をくくりました。
3年間、さまざまな曲を模倣したり作曲したり、授業内のアレンジコンペでは、ほかの人が絶対にやらないジャンルにしようとネオソウルに挑戦したこともありました。それらの活動をとおして、結果的にいい評価をいただけたことで、自分はこの道を選んで正解だったと自信がつきました。

 

― 特定のジャンルをもてなかったがために「なんでもつくれる人になろう」。それが大澤さん自身の道を拓いたんですね。
 

1年生も終盤に差し掛かった頃、大学の中だけで作曲を続けていては視野が狭くなっていかないかと危惧し、学外での活動にも興味をもつようになりました。
その時、堀井先生から「とにかくやってみないと何もはじまらない」をことあるごとにご自身の経験談とともに教えていただきました。「ほどほどにね」とも助言していただきましたが、おそらくほどほどにはできていなかったと思います(苦笑)。でも、結果的に振り返ってみると、学外での活動にもあえて力を入れていたことが、私にとって音大の中と外をどちらも知ることができた貴重な経験になったと思います。

 

― さまざまな音楽ジャンル、学内外での幅広い活動が卒業後の進路に大きな影響を与えたそうですね?

 

いろんなジャンルのバンドをやったり、学生映画の劇伴を担当したりする中で、音楽だけではない畑で自分の能力を活かせることを知りました。知らない技術や知識が得られることが楽しくてしょうがなかったのもあって、ならばそれらを結集して、好きなゲームに生かせられないかと思い、ゲーム会社への就職を目指すように。

 

―  ひらめいたんでしょうか。その後、就活はどのように?

 

ゲーム会社に行きたいと決意してから、とにかく来校型の説明会に積極的に参加するようにしました。見落としがちなのですが、学内でゲーム会社の説明会が結構たくさん開催されていますよね。私も参加した学内説明会がきっかけのひとつとなって、バンダイナムコスタジオにデモを送りました。
バンダイナムコスタジオはサウンドチームの仕事の幅が広く、「バンナム」というだけで曲が思い浮かぶ人も多いほど“濃い会社”。「ここだ!」と直感し、死ぬ気でデモ制作に臨みました。

 

― 憧れの「バンナム」に就職してまもなく1年。今のお仕事の内容を教えてください。

 

会社のサウンドチームは、エンジニアリング、効果音制作、ゲームサウンドのディレクションなどさまざまなジャンルのスペシャリストが在籍しています。ですが、特定の仕事しかしないという方はいなく、新人の私ですらすでに曲作りからディレクションまで携らせていただています。あらためて学生時代にいろいろな活動をしてきたことが生かされていると感じています。
同時に、自分の得意な武器をアピールしておくことも重要だと感じています。大学で学んだ作曲のヴァリエーションを広げるスキルや、レコーディングディレクションの経験が特に今の仕事に役立っていて、自分の強みにもなっています。

 

― 大学時代での学びが形となっていますね。ところで東京音大のよさはなんだと思いますか?

 

最初にあげるべきことは、偉大な演奏家・作曲家でもある先生方に教えていただく機会が想像以上にたくさんあることだと思います。そして映放の学生にとって、4年間で何度もお世話になるレコーディングスタジオがあることが魅力です。
加えて、私のように学外の活動に熱をあげていたような“不まじめ”な学生も見捨てることなく、最後までしっかりと音大生として面倒を見ていただいたことには感謝しかありません。

 

― はい、安心して勉強できる環境だと思います。最後に、後輩たちへメッセージをお願いします。

 

私は自分の活動に力を入れた結果、学内の友だちは両手に収まるほどしかできませんでした。みなさんはしっかりと友だちをつくっておいて損はないと思います。
それから、フリーの演奏家や作家にこだわらなくても、音楽に携われるすばらしい仕事は世の中にたくさんあります!どんどん自分から調べてみてください!

 

― 力強いメッセージをありがとうございました。これからどんな「バンナム」曲が生み出されるのか、楽しみです。

 
(広報課)