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【新卒業生から新1年生へ ~熱いぜ、ザ・東京音大生~】第25回 佐藤実樹さんを掲載しました

佐藤 実樹さん(チェロ)

新卒業生から新1年生諸君へ

~熱いぜ、ザ・東京音大生~

 

突然ですが、皆さんの人生の目標はなんですか?今日ご紹介する佐藤さんは、音楽はもちろんのこと、自分を豊かにするために時間を使ってほしいと語る。
ちなみに、広報課編集部の目標は、「東京音大を感じていただく、音楽を感じていただく、音楽の力を感じていただく」ことです。我ながら熱い!

 

第25回 佐藤実樹さん(チェロ)

【卒業後の進路】

東京音楽大学大学院科目等履修生

【出身高校】

東京音楽大学付属高等学校卒業

 
― 音楽をはじめたきっかけを教えてください
 

私の通っていた小学校に管弦楽部がありました。そこで最初はヴァイオリンを弾いていたのですが、チェロの子が早起きが苦手で辞めてしまったため、私が代わりにチェロをやることになったのがはじまりです。そこで期間限定で経験した室内楽が楽しくて。それが忘れられなくて、室内楽を絶対に続けたい!と思ったのですよ。
「アンサンブルが好き」、「チェロを弾き続ける環境を求めて」、中学生になって県のオーケストラに入りました。オーケストラ演奏を続けながら、室内楽をやりたくてうずうずしていました。
「付属高校に入って室内楽をやりたいな、、、」。その想いが日に日に強くなっていき、「室内楽をやるためにまず個の力を上げなければ!」と、ほぼ未経験の状態で大がつくほど嫌いなソロの練習に励み、付属高校の試験を突破。晴れて入学することができました。
 

 
― 付属高校に入学して、念願の室内楽をたくさんできましたか?
 

はい!付属高校時代から大学の7年間は、本当にたくさんの演奏機会に恵まれました。溢れるほどのアイディアと引き出しを授かり多くのことを吸収できたと思います。高校では、同期に藤田真央くんや関朋岳くん、ひとつ下に太田糸音さんがいて、私はというと、いつも平均点より0.2点下あたりにいる本当に目立たない高校生。アンサンブルが好き、室内楽をやりたい!そればかり言っていました(笑)

 

― 佐藤さんはどうしてそんなに室内楽が好きなんですか?
 

オーケストラにも言えることですが、ひとりでは出せないサウンドになること、誰かとその時間を共有することができる喜びに取り憑かれたのだと思います。いろいろ気づいてアイディアが出るようになる自分の変化がうれしかったです。ソロでもこうやってできたらいいのになあ…なんて思います。

 

 
― なるほど。みんなで一緒に音楽するのが好きなんですね。
 

そうだと思います。東京音大はそれができる。室内楽に留まらず、在学生だけでオーケストラができるところは、実は限られているので、東京音大の環境はすごくいいと思います。新型コロナの影響で去年の前期はオケの授業も動画提出やオンラインの個人レッスンでした。
去年の秋学期からオーケストラの対面授業が再開。再開後すぐにSオケの合奏の臨時練習があったのですが、その初日に指揮者の尾高忠明先生がいらっしゃり、全員揃って演奏するのもその日がはじめてで、池袋キャンパスの100周年記念ホールにオケの音が響いた瞬間に、泣きそうになりました。「ひとりじゃ絶対にできないことをやっているんだなあ」としみじみして。メンバー全員がおそらくあの時同じ思いだったと思います。コロナ禍で精神的につらい時期でしたが、音楽を辞めなくてよかった!と思った瞬間でもありました。
 

― 音楽の力ですね!佐藤さんは学部の卒業演奏会にも選ばれて、ソロをしましたね?
 

ソロに関しては、高校入学時点では未経験に等しく、受験のために一曲を仕上げたようなもの。はっきり言って苦手分野でした。高校、大学時代をとおして毎週の個人レッスンと室内楽で鍛えられたため、今は負の感情はなくなり、やったことのないものが山ほどある、むしろ挑戦していきたい分野となっています。SNSで見かける練習内容を少し真似してみたり、身体の使い方を気にしてみたり、新たな気づきや刺激も受けています。ただ漠然と練習するのをやめました。最近は、闇雲にやるのではなく、自分の弱点や欠点を理解しプランを立てて練習しています。

 

 
― 大学生活を振り返って、おもしろかった授業は?
 

「管弦楽曲史」と「憲法」。音楽とは直接関係ないのですが、「憲法」は実際の判例を取り上げながら進んでいくのがおもしろくて、好きな授業として印象に残っています。「管弦楽曲史」は、単位を落とすんじゃないかと心配していた科目なだけに、必死に勉強しました。ひたすら演奏してきたオーケストラの話や楽曲が授業中にたくさん登場するので、自分のなかでの経験と知識が結びついていく変化を感じました。
 

― 特に印象に残っている行事は?
 

今年3月にチェロアンサンブルの企画代表を務めたことです。新型コロナウイルス関連の対策や開催条件が厳しいなど、手探りでの進行でした。紆余曲折を経て、無事終演した時は心からほっとしました。チェロ科全員の協力なしでは成り立たず、サポートしていただいた皆さまにあらためて感謝いたします。

 

 
― 印象に残っている先生との会話は?

 

「国内外の政治の話や社会問題、歴史」、「私が演奏家として演奏する理由と価値」は、先生方との会話のなかでよく話題に上りました。政治や歴史など時代背景を知ることで曲の側面が見えるばかりでなく、過去のことから、現在や未来のことまで考えるきっかけに。
また、レッスンの先生からよく、「みきちゃんはどう感じているの?」、「どう弾きたい?」と聞かれていました。その真意は、「正確に弾くだけなら巨匠が1人いれば事足りる。でも世界中たくさんの演奏家が存在する。それでよい、それがよい。何を感じ、何を考え、それをどのように伝えていくのか。そして楽器をとおしてそれを表現していくのが演奏家の使命なのだろう。当たり前のように聞こえることが実は一番難しいけれど、それを考え続ける旅なのではないか」と思います。先生方とのそうした会話の一つひとつの積み重ねが、私にとってかけがえのない教訓となりました。

 

― 佐藤さんの今の目標を教えてください。

 

今年の4月から大学院科目等履修生として、学生と社会人半々の生活を送っています。将来は、ソロができる室内楽奏者、室内楽ができるオケ奏者になりたいと思っています。人生の目標は、「幸せだったと気持ちよく寿命を終えること」。そのためには、日々の生活を楽しみ、美しいものを美しいと感じ、苦戦することがあれば解決するまでのプロセスを興味をもって試行錯誤してみる。自分が抱く感情を無視せず、気づきや実りを感じられるゆとりを忘れないことを大切にしていきたいと思います。

 

― 振り返って、東京音大の魅力はなんだと思いますか?

 

人がたくさんいること!
先生方には、現役の演奏家で全国のオーケストラの首席奏者がそろっていたり、在学生だけでアンサンブル授業ができたり。仲間がたくさんいて、みんなそれぞれ違うバックグラウンドをもっていたり。あちらこちらに知らないことがあふれていて、おもしろい!
 

 

 
― 最後に後輩たちへメッセージをお願いします。

 

学校の序列ばかりに意識がいってしまうと見えない恐怖を感じることがあります。どこにいても自分次第。常に自分との戦いに集中して、音楽を楽しんでもらえたら素敵な4年間になると思います。
また、コロナ禍で不自由も多いかと思いますが、学生だから見えること、コロナを経験して感じることがきっとこれからのあり方に大きく影響してくると思います。限りある時間を成績のためではなく、自分を豊かにするための時間に使い、幸多きものになることを願っています。

 

 

(広報課)