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第5回 こどもの夢ひろば“ボレロ”

第5回
こどもの夢ひろば“ボレロ”

 

2019年7月27・28日
宮城県仙台市日立システムズホール

 
 

2019年7月27・28日、宮城県仙台市の日立システムズホールで「こどもの夢ひろば“ボレロ”」が開催され、2日目を取材してきました。
このイベントは仙台市出身で世界的ピアニストの小山実稚恵さんが発起人となり、震災復興の祈りを込めて「こどもたちが本物に触れて体験する場」を誕生させたのがはじまり。今年は5回目の開催でした。
そのメインイベントが「ボレロ大集合コンサート」。2日間で4回の公演が行われ、昨年に引き続き今年もオーケストラの団員として、本学学生10名が参加しました。

 

 

今年のテーマは“チャレンジ”。
全館を使いさまざまな体験型イベントが催されていて、会場にはたくさんの親子で活気に沸いていました。コンサート会場の入り口にも、開場を待ちわびる長蛇の列ができました。

 

いよいよ開演。
演奏は宮城教育大学交響楽団が主たるメンバーとなり、東京音楽大学、東北大学、宮城学院女子大学で学ぶ学生たちと、NHK交響楽団の横山俊朗さん(Vn、東京音楽大学兼任准教授)、同じくNHK交響楽団の本間達朗さん(Cb)、そして、オーディションで選抜された小学生から高校生の若きプレイヤーが加わったスペシャルな合同オーケストラ。

 

前半は、グリーグの『ペールギュント』組曲より「朝」と「山の魔王の宮殿にて」。
広上淳一(東京音楽大学教授)指揮のもとで、オーディションによりソリストに選出された子どもたちが、小山さんとのピアノ連弾でオーケストラ共演をしました。

 

後半は、ラヴェルの「ボレロ」を子どもが指揮に挑み、小学生による大合唱とダンスが加わる特別バージョンで。
徐々に盛り上がりをみせ、最後は会場が一体感に包まれる大合奏になりました。

 

「ボレロ」の振り付けを担当したのは東京音楽大学出身で今回が3度目となる竹田理央さん。
「自分もチャレンジしたいと思って“夢をつかむ”という歌詞の部分の振り付けをよりメッセージ性のあるものに変えてみたら、こどもたちが感じてくれて、どんどん盛り上がっていったのがうれしかった。チャレンジすることは勇気がいると思うけど夢に向かってチャレンジしてほしい」
と語ってくれました。

 

▲竹田理央さん

 

午前と午後の公演の合間には、ホールの舞台上に子どもたちが集まって、小山さんと広上先生とオーケストラ団員による「楽器体験」が行われました。
まずはピアノから。続いて順々に全部の楽器が紹介されていきました。
こどもたちはプレイヤーが奏でる楽器特有の音と説明に興味津々の様子でした。

 

▲楽器体験
 

楽器体験イベント全体を総轄しながら演奏をし、司会進行役をも務めて大忙しの小山さん。イベントの合間を縫って小山さんのチャレンジについてお聞きすることができました。

 

「まずは続ける。次に今までやってきたことを見直すのと、新しくはじめるものを取り入れてみる。せっかくやってきたイベントなので今までのこどもたちと一緒に歩むことも大事にしながら新しいことにもチャレンジするというのは自分にとっての課題だった。何より一番感じるのは、こどもたちの“一を聞いて百を知る意欲”と、“本番の集中力”。こどもたちの姿をとおして、自分を信じて最後までやりきることが大切だということに気づかされる。初心に戻るのは大切なこと。日常生活でもピアノでも」
と話してくださりました。

 

楽屋周辺の廊下では、宮城教育大学の学生が横山先生にヴァイオリンのアドヴァイスを受けていたりして、プロと学生の交流の場面も見られました。
先生は「普段はお客さまに演奏を聴いてもらって喜んでもらうのが基本だけど、誰でも参加できて一緒に楽しめるイベントはいいね」
とコメントをくださりました。

 

▲小山実稚恵さん、広上淳一先生
 

終演後、楽屋周辺に最後まで残っていた学生たちと広上先生が記念撮影。先生から学生たちに「交流を大切にして」というメッセージを送られ、名残惜しい中全プログラムは終了しました。
今回は地域の枠を越えた有意義な「大学間の域学連携」が生まれたのではないでしょうか。

 
 

インタビュー集

 

●参加したこどもたちの感想

 

今野裕太くん(小3) 28日午後公演で指揮にチャレンジ
「3年前に指揮をやりたい人と聞かれて手をあげたけど当ててもらえなくて、去年オーディションを受けた。今年は本当にできてよかった」

 

橋本千明くん(小6) 28日午前公演でピアノ連弾にチャレンジ
「緊張したけど小山さんやオーケストラと共演できたのはすごく楽しかった。これから受験などいろいろ行事があるので積極的にチャレンジしたい」

 

大津悠紀くん(小6) 28日午前公演でピアノ連弾にチャレンジ
「ボレロのイベントに参加したことが大きなチャレンジだった。自信になった」

 

菊地夢生さん(中1) 28日午前公演でピアノ連弾にチャレンジ
「ボレロの歌詞に感動した。オーケストラでひとつになって演奏するのはリハーサルでは難しかったけど、本番ではちゃんとひとつになって合わさった。将来は音楽関係の仕事をしたい」

 

冨田さくらさん(中1) オーケストラの第二ヴァイオリン 2回目の参加
「去年は小山さんとも広上先生ともたくさん話をさせてもらい、サインをもらったり写真を撮らせてもらったりしてうれしかったから今年も参加した。来年は指揮者にチャレンジしたい」

 

高橋瑠奈さん(小5) 合唱とダンスで参加
「オーケストラと一緒にやるのははじめてで楽しかった。ピアノをやっているけどもっと違う楽器もやってみたいと思った」

 
 

●お客様の感想

 

「すごく盛り上がっていておもしろかった」(小5)

 

「毎年来ている。ボレロは踊りもあって楽しい。普段オーケストラを聴ける機会があまりないのでこういうのが子どもの心に残るといいと思う」(小5のお母様)

 

「去年市報で知って今年はじめて来た。心に響いて感動した。ずっとやってきたと思うのでこれからも続けてほしい」(女性)

 
 

●本学学生の感想

 

野地多聞さん (大4ヴィオラ) 2回目の参加
「去年よりも地元の学生が多く参加していてよかった。広上先生とここでしか味わえないチャレンジをしたこともよかった。子どもたちには失敗を恐れないでチャレンジしてほしい」

 

大熊啓悟さん (大3ヴァイオリン) 2回目の参加
「去年よりも現地の方と触れ合う機会が多く、一体感というものを感じた。演奏も一致団結したいいハーモニーになったと思う」

 

山本健太郎さん (大4チェロ)
「他大学の方、小山さん、広上先生、N響プレイヤーの方と一緒に共演するというすばらしい体験ができた。会場のお客さまの顔を見たらみんな楽しんでくれていた」

 

清沢健生さん (大4コントラバス)
「コントラバスにはプロの方もいらして緊張したけど、ボレロに歌とダンスがついた音楽の楽しさを肌で感じられる演奏会だったから純粋にを楽しむことができた。楽器紹介に僕も参加できてよかった」

 

藤本翔太さん (大4ヴァイオリン)
「練習しながら日々上達していくこどもたちの姿を見ることができたのがよかった。自分のこどものころを思い出した。音楽は楽しくやるものなのでそれを忘れないでほしい」

 

三上まどかさん (大学院科目等履修生トランペット)
「去年参加した友人からよかったと聞いていたとおり、フレンドリーで溶け込みやすく、それが音楽にも表れたと思う。こどもたちのメキメキ上達していく姿からは学ぶものがあり、自分もがんばろうと思った」

 

増山穂香さん (大4打楽器)
「ボレロのスネアドラムを学生のうちにやれる機会はあまりないと思うので貴重な経験ができた。小さいころからオーケストラと演奏できるのは素敵なこと。ずっと音楽を好きでいてほしい」

 

松井直輝さん (大学院科目等履修生トランペット)
「こどもたちと一緒にできたことがよかった。指揮やピアノなど子どもたちのチャレンジが素晴らしい。お客さまの顔をみて、楽しんでくれているな、平和だなと思った。また一緒にやりたい。これからも続くといいと思う」

 

安田勘太さん (大学院科目等履修生トロンボーン)
「緊張したけど、こどもたちのことは視界に入っていて一緒に楽しくできた。ボレロはアレンジされていて歌が入っている。こどもたちからがんばろうという勇気をもらった」

 

保﨑佑さん (院2ファゴット)
「他大学の人がどんなふうに勉強しているのかなど、たくさん話を聞けてとてもよかった。教員になりたい人の現場の話は演奏家志望の人にも大切な話だった。今自分が相当に恵まれた環境にいることや、話を聞かないとわからないことがたくさんあることにも気づいてとてもいい勉強になり、意識が変わった。こういう交流は大切だと思った。ほかの人にも参加をお勧めしたい」

 
 

●他大学の学生の感想

 

中島瞳さん (宮城教育大学交響楽団院1 クラリネット)
「教育の単科大学なので、音楽の教育でこどもと触れ合うことはあっても、演奏をとおしてプロを目指す方と接する機会はあまりなく、交流できたのはよかった。東京音大生の演奏は、演奏をとおしてなにかを伝えようとする、その説得力がすごい。勉強になった」

 

川上陽之助さん (東北大学経済学部4年 コントラバス)
「こどもたちがダンスを踊りながら演奏するのを見て、自分の子どものころを思い出した。大学同士の交流で演奏の仕方や練習の仕方などいろいろ聞けて勉強になった。音大生は音楽を技術だけでなくどうイメージするか、この音をどう弾きたいか、感性を大切する、こういうところがすごいと思った」

 

及川ひなたさん (宮城学院女子大学1年 サクソフォーン)
「吹奏楽の経験しかなくオーケストラははじめて。ボレロもはじめてでテナーサックスでソロをやらせていただきありがたかった。音大の大学院生や留学から帰国した方のほか、たくさんの先輩たちから練習のことや教職のことなど聞けたのはうれしかった。音大生の音楽に対する志の高さを感じた」

 
 

広報課

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