検索

よく検索される項目

東京音楽大学シンフォニーオーケストラ 癒しの森コンサート

地域連携
東京音楽大学×長野県信濃町
 
小中学校との域学交流
東京音楽大学×信濃小中学校

 

第9回 癒しの森コンサート

 

2019年9月1日長野県信濃町総合体育館

 
 

朝晩少し肌寒くなり、夏の終わりを感じはじめる長野県信濃町。この季節の変わり目の時期に毎年行われている「癒しの森のコンサート」が今年で9回目を迎えました。

 

東京音楽大学シンフォニーオーケストラ合宿の最終日。集中強化練習の成果をご披露すべく、今年もたくさんの町民の方にご来場いただきました。
本学と信濃町がコラボレーションして一から築き上げてきたこのコンサートでは、いつも見慣れた体育館が、公演の前日に多くの町民の手でオーケストラのコンサート会場に様変わりします。

 

第1回目のコンサート以来、本学は地元の信濃小中学校と交流を深めてきました。
今年は信濃小中学校吹奏楽部から夏のコンクールで演奏するための楽曲制作の委嘱を受け、本学卒業生の原島篤史さん(作曲「芸術音楽コース」2015年卒業)が「黎明の少女」を作曲しました。
信濃小中学校吹奏楽部により、この日の第1曲目で披露され、その堂々たる演奏に町民からは大きな拍手が送られました。

 

続いては東京音楽大学の演奏です。指揮は本学特任教授の下野竜也先生。難曲が揃いました。
はじめは三善晃の「管弦楽のための協奏曲」、2曲目はベートーヴェンの「交響曲第2番第2楽章」、そして最後はバルトークの「管弦楽のための協奏曲」。
演奏を終えた会場は、町民からの鳴りやまぬ拍手の中、学生たちの合宿をやり遂げたという清々しい表情がとても印象的でした。

 

学生たちはコンサートで新しい課題を見つけたことでしょう。また、下野先生との距離もぐんと近づいたことと思います。
11月29日に行われる東京芸術劇場での定期演奏会まで下野先生との熱い授業はまだまだ続きます。ご期待ください。

 

 
 

▶「黎明の少女」を作曲した原島篤史さんにお話をうかがいました

 

信濃町らしいものをというオーダーをいただきました。自然が豊かな地域の子どもたちなので、壮大なスケールでファンタジック、かつストーリー性のあるものにしようと考えました。完全にオリジナルです。

 

夜の帳を下ろす役割をもった少女と、夜を明けさせる役割の少女がいる世界で、夜明けを司り太陽を上げていく少女の視点で制作しました。場面は、山々に光が差してくる、荒野に太陽が昇っていく、朝露が光っている、部族が太陽を崇めて踊っているなど、いろんな場面が出現します。

 

完成した曲を何も言わずに渡したのですが、子どもたちは「黒姫の山々を感じる」と言ったそうです、僕の思ったイメージを感じてもらえてうれしかったです。日頃から自然の情景とか生き物の躍動みたいなのに身近に触れているのでしょうね。都会では朝霧の光など感じることなく過ごしてしまっていますよね。

 

「黎明」は「はじまり」という意味。「少女」にモデルの設定はなく、演奏する自分たち自身が少年少女なので親しみやすく、自分にも接点があると感じてもらえるといいなという願いを込めました。ある人は自分に重ね合わせるでしょう。ある人は何も感じないかもしれないけど、なんとなく共感する部分があったりするのかなと。

 

みんな今は音楽が好きでやっていると思いますが、この先は音楽を続ける子もいれば、続けない子もいるでしょう。けれども、音楽をとおして身につけた感性とか考えたこととかはあとで生きてくると思うんです。この曲はいろんなシーンが想像できるように書いたので、僕からの押し付けではなくこれを最初の出発点として、自分で感じてもらいながら自分なりの音楽で感性を育ててもらえたらと思います。

 

技術面では少ない編成で演奏できるものというところに苦慮しましたが、曲が演奏されるのは作曲家にとっても本当にうれしいこと。町と作曲家と東京音楽大学がマッチングしてできたことだと思います。子どもたちもいい経験になったのではないでしょうか。僕にとってもとてもいい経験になりました。

 
 

演奏・東京音楽大学シンフォニーオーケストラ、信濃小中学校吹奏楽部
指揮・下野竜也(東京音楽大学特任教授)
主催・癒しの森コンサート実行委員会〔東京音楽大学×長野県信濃町〕

 

演奏曲目
♪原島篤史/黎明の少女
♪三善晃/管弦楽のための協奏曲
♪ベートーヴェン/交響曲第 2 番 第 2 楽章
♪バルトーク/管弦楽のための協奏曲

 
 

取材 広報課

参考ページ