大学院修士課程作曲指揮専攻(作曲)2024年修了
作曲指揮専攻 作曲「芸術音楽コース」2022年大学卒業
「令和8年度奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門 」第1位および大中恩賞を受賞
この度、令和8年度奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門第1位ならびに大中恩賞を賜り、心からうれしく光栄に思います。
今回作品を書くにあたり取り上げた詩人 志樹 逸馬(1917-1959)との出会いは2023年のことです。学部、大学院と在学当時からほぼ歌しか書いていなかった自分にとって、詩人の言葉や存在は音楽と並ぶ大きな力でした。同時に自分が心から共感したい、共鳴したいと思える詩人との出会いを望んでいました。そんな時に出会った逸馬の詩は自分を誇示することなく、控えめでありながらも生きることの核心を見つめ続ける深い眼差しを感じ、語られる言葉の一つひとつが内面に染みわたるような気がしたのを覚えています。
その後歌曲を1曲書き、この先も彼の詩で歌を書き続けたいと思ったものの、改めて詩を読み続けているうちに逸馬の詩作の原点───病による心身の苦しみ、社会との断絶、絶望、内面の葛藤、怒りと願い、信仰、希望・・・───と正面から向き合わなければならないと感じ、今回は敢えて厳しいテーマの詩を取り上げることを選びました。しかし詩の内容や自分の性格も相まって当然のように作曲は進まず、書き終えるまでに2年ほどかかってしまいました。そんな思うように作曲が進まない時、逸馬のある文章の一節に出会いました。「あなたも生きているように私も生きる。私も生きるようにあなたも生きる。」半世紀以上も前、既にこの世を去った人の言葉とは思えないほど詩人の実在を感じ、自分が音を書こうとする以上に詩から自分へ働きかけるものがあったことに気づき、強く励まされました。
歌は詩人の生きた言葉に支えられています。このような機会を通して、一人でも多くの方が志樹逸馬に出会い、詩を読み、味わっていただけたら幸いに思います。
最後に、演奏審査で本当に素晴らしい演奏をしてくださったバリトンの田中 雅史さま、ピアノの森 裕子さま、拙作を評価してくださった審査員の先生方と、これに関わるすべての方々に心より感謝申し上げます。
(糀場富美子先生、原田敬子先生、細川俊夫先生、野平一郎先生に師事)
(総務広報課)
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