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【授業紹介シリーズ「合唱」】 第2回 杉野正隆講師

杉野正隆講師

 

東京音楽大学の合唱の特色と魅力を解き明かすシリーズ。
第2回は2019年11月30日の「合唱合同演奏会」で、音楽教育専攻1年生の楽しいパフォーマンスを指導された杉野正隆講師です。プログラム選定や編曲などはすべて学生によるもの。学生の自主性を重んじる授業を通じ、歌うことの目的と音楽の真の楽しさを感じてほしいと語ります。

 

楽教育専攻の1年生の合唱を指導していますが、毎年演奏会では少し変わった試みをしています。というのも音楽教育専攻は専門実技が声楽ではない学生がほとんどを占めるため、モチベーションを上げパフォーマンスをよくするための工夫が必要だと感じたからです。この授業を10年以上受け持っていますが、初期は邦人作品を中心に歌っていました。しかし合唱経験者も少ない中で、「歌う」ということに対して学生たちがやや敷居の高さを感じていたように思いました。もっと積極的に、ポジティヴになってほしいとの思いから、最近では学生の希望を聞いた上で、ミュージカルなど誰もが聴いたことのある曲を演奏会で取り上げています。それと同時に、合唱の経験があまりない学生のために発声など基礎的な部分から指導しています。

 

毎年末に複数の合唱授業の集大成を発表する場として「合唱合同演奏会」が学内のホールで開催されます。ここには音楽教育専攻も学年ごとに参加していますが、演奏会の曲決めや構成、編曲などは、学生同士で十分に話し合いをしてもらった上で自主性に任せています。今年の演奏会ではディズニーメドレーを披露しました。編曲をやりたい学生が2人いて、前奏と間奏での楽器演奏も、振り付けも、当日のカラフルな衣装もすべて学生たちのアイデアです。自分たちが本当に歌いたい曲、あるいは演奏するスタイルを見つけることによって、自然に「歌」に向き合ってもらうことが狙いです。さらに「歌」や「合唱」から飛び出し、もう少し枠組みを大きくして、ひとつのパフォーマンスとして仕上げることを目指します。そうすることにより、学生同士の連帯感も生まれてくるのかなと感じています。

 

(2019/11/30「合唱合同演奏会」)

 

また授業では色々なスタイルの曲に触れる機会を持つため、ルネッサンス期の合唱曲からスタートします。もしも学生から要望があれば、レクイエムなどミサ曲を取り上げるのもよいと思っています。こうした曲は音楽大学だからこそ勉強できる歌ですね。

 

外国の曲を原語で歌うか日本語の訳詞で歌うかはむずかしい選択になりますが、歌でなにを表現するのか、その目的はなんなのか、どうお客さまに伝えるのかをこの合唱授業で感じ、学んでほしいと思い、今年の演奏会では全曲を日本語で歌いました。これがなによりも効果的でした。楽譜をきちんと覚え、声もよく出て、歌詞の意味に沿った感情を乗せて、楽しく表現できたと思います。

 

音楽教育専攻の学生の中には、将来教員や音楽の指導者を目指している人もいます。どの教育現場に行っても合唱は欠かせない行事です。実際の教育現場で今度は自分が歌を指導する立場になった時、たとえば子どもたちがクラスで出し物をする際、大学でみんなで企画を考えたり、パフォーマンスを作り上げた経験を役立ててほしいです。

 

声楽の学生にも音楽教育の学生にも「なぜここでこの歌を歌うのか」という動機を見つけてほしいと思います。
学生時代は与えられた環境が恵まれているので、特に目的意識もなく4年間を過ごしてしまうケースも散見されます。ただ単位を取らないといけないからというのではなく、歌うことを自分自身心の底から楽しいと思ってもらえればと思います。音楽をなぜやりたいのか、常に自分に問いかけてください。そこからきっと真の「音楽をすること」のよろこびが生まれてくるでしょう。
これからも学生の心から音楽をやりたい気持ちを、全力でサポートしていきたいと思っています。

 
 

(広報課)


▼ 過去の授業紹介シリーズ「合唱」の記事はこちら

 

・第1回 阿部純准教授

・第3回 伊達英二准教授

・第4回 菅野宏昭講師