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【授業紹介シリーズ「合唱」】 第5回 津田雛子さん

津田雛子さん

(声楽演奏家コース4年 北鎌倉女子学園高等学校卒業)

 

京音楽大学の授業の特色と魅力を解き明かす「授業紹介シリーズ」。
今回は合唱授業の魅力に迫ります。指導者に続き今回は受講生の話を掲載します。

 

~本学の合唱の大きな特徴はプロのオーケストラとの共演が授業の中に組み込まれていること。そのため毎年の授業は同じプログラムではありません~

 

― 合唱の授業から学んだこと、得られたことは、どんなことでしょうか

 

■インスペクターの経験

 

 合唱の授業では学生の中から数名がインスペクターと呼ばれる役職を務めます。私は3年生から2年間務めました。仕事内容は主に椅子出しやピアノの移動などで、授業の15分前には集合し定刻どおり授業が開始できるよう迅速に準備します。そのほか本番での衣裳のことや身長などのデータ管理を行い、客席から合唱団がきれいに見えるように工夫して配置を決めます。また、当日は楽屋~舞台袖~舞台合唱席までの導線を前もって確認し、その導線の要所に立ってメンバーを案内します。一つひとつは細かな仕事ですが勉強になることばかりで、インスペクターを経験したことで得られたことは、たいへん多かったように思います。

 

■はじめての重圧感 その感動

 

1・2年生は女声3部合唱を勉強します。3年生にあがると男子学生と一緒の混声合唱になります。私は中高共に女子高だったので、3年ではじめて男声を交えた合唱を経験しました。今年取り組んだ「メサイア」も高校生の時に女声3部で歌ったことがあるので、女声だけの繊細な響きとはまた違って、男声が入ることの音の厚みや響きの重圧感を身をもって体験し、感動を覚えました。

 


▲ 『第九』合唱授業風景(指揮者練習)

 

■プロオケとの共演、多彩なプログラム

 

 本学の合唱の大きな特徴はプロのオーケストラとの共演が授業の中に組み込まれていることです。そのため毎年の授業は同じプログラムではありません。「第九」は定番ですが、その年によって宗教曲・オペラ・ゲーム音楽など多彩な曲にチャレンジできます。またその合唱は声楽専攻だけでなくオーディションに合格した他専攻の学生も参加できます。本番で他専攻の学生は歌いながら、指揮者やオーケストラのプレイヤーを観察していたり、それぞれの視点で楽しんでいるようです。

 


▲ 『第九』本番にて。合唱一列目向かって左端(インスペクター席)が津田さん

 

― 最も印象に残る演奏会は

 

 3年生の時に歌ったプロコフィエフの「イワン雷帝」も印象的ですが、ひとつ選ぶとなると昨年の広上淳一先生指揮の「第九」です。「第九」の合唱は男声が先に歓喜を歌いはじめ、民衆に呼びかけます。男声の低音がホール全体を響かせるので、その響きに乗って「私たちも共によろこびを作り上げていこう」という気持ちになります。また今回の合唱は女声が前列、男声が後列という配置で、後ろから迫力ある声が飛んで来て不思議な感覚ですが、とても歌いやすかったです。

 

 今まで合唱では声が溶け込むように自分は目立たないようにと考えていたのですが、この「第九」では自然と全員がひとつの気持ちになっていると感じ、これこそが合唱のあるべき姿なのではないかと思いました。

 

 これら多くの貴重な経験ができたのも、たくさんの先生方の手厚い指導があってのことです。合唱の授業を受けられたこと、本当に幸せに思います。

 

 また、東京音楽大学で合唱をやっていたからこそ、「イワン雷帝」のようなロシア語の曲を歌う機会に恵まれました。今年5月には日本フィルハーモニー交響楽団とラフマニノフのオペラ「アレコ」(ロシア語上演)を合唱共演する予定です。聴いていただく方々の心に残る演奏ができるよう、さらに気合をいれて練習に励んで参ります。

 

― 4月からは本学大学院に進学するとのこと。これからますます音楽に励み、貴重な音楽体験を積み重ねてください。

 
 
(広報課)