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【新卒業生から新1年生へ ~熱いぜ、ザ・東京音大生~】第9回 滝澤みのりさん

滝澤みのりさん(作曲「映画・放送音楽コース」)

新卒業生から新1年生諸君へ

 

~熱いぜ、ザ・東京音大生~

 
ついにザ・夏が到来しました。気温がぐんぐん上昇していく中、皆さんこまめに水分補給するなどくれぐれも体調管理にお気をつけください。
さて、今回ご紹介する先輩は、滝澤みのりさん。中学時代から憧れだった作曲「映画・放送音楽コース」*に入学して、とてもハードな学生生活を送ったそうです。
*2021年度より作曲「ミュージック・メディアコース」に変更となります。

 

第9回 滝澤みのりさん(作曲「映画・放送音楽コース」)

【卒業後の進路】

作編曲家、本学助手

【出身高校】

東京音楽大学付属高等学校

 

― 滝澤さんは付属高校からの進学ですが、入学のきっかけを教えてください。

 

中学2年の時から東京音大の作曲「映画・放送音楽コース」に憧れていたので、高校から入学して作曲を勉強したいと思いました。高校時代では完全にクラシックをベースにする「芸術音楽」を学んでいたため、進路を決める高校3年の夏ぎりぎりのタイミングまで、作曲「芸術音楽コース」とどちらに進もうか迷いましたが、最終的に「映画・放送音楽コース」に決めたのは、大河ドラマのテーマ曲がとにかく大好きで、劇版を書きたいならこちらのコースだ、と思ったからでした。
 

― 憧れの「映画・放送音楽コース」に入学してどうでしたか?
 

「映画・放送音楽コース」は1年生からとにかく課題が多く、毎週異なるジャンルの課題を課されます。特に「打ち込み」での音楽制作は、パソコン初心者だった当時の私には、かなり苦痛でした。先生方は、現場の第一線で活躍されている作曲家・プレイヤーの方ばかりで、現場を知っていらっしゃるからこそ“学生扱いをしない”厳しいご指摘を多々くださるのでした。
音楽を仕事にする厳しさ、また商業音楽の厳しさを入学早々目の当たりにしたのを今でも覚えています。

 

― 現場で通用する力をもった人材の輩出のために、先生方が熱血指導を長年されているそうです。滝澤さんもビシバシ鍛えられたということですね。特に受講してよかった授業は?

 

ピアノコードワークや第二副科で受けた作曲「芸術音楽コース」の対位法やフランス和声の勉強など…どの授業も大好きだったので選び難いですが、ひとつ挙げるとするとポップスの作曲を実践的に学ぶ「4リズムヘッドアレンジ・コードプログレッション I・II」ですね。
Ⅰは1年生必修の授業で、土曜日13時から半日かけて行われる、堀井勝美先生による熱のこもった、とにかくハードで有名な「映画・放送音楽コース」の名物授業です。とても役に立ち、Ⅱを2年生でも選択科目として履修しました。今の自分の土台を作ってくれた授業だったと自信をもって言えます。

 

― なかなかハードな学生生活が伺われますが、励みとなった言葉はありますか?

 

卒業制作で行き詰まった時、小六禮次郎先生から「上手く書こうとするのをやめなさい」とレッスンの時に言われました。
恥ずかしながら、それまでの自分はどこかで「優秀だと思われたい、よく書けるねと言われたい」という思いが常にありました。それが自分を縛っているということに気がつきながらもどうにもできずにいました。小六先生のこの言葉がまさに核心を突く形となって、それから意識が大きく変わりました。

 

― 痛いところに命中したんですね。さて東京音大のよさはなんだと思いますか?

 

やりたいことを実現できる環境があるということです。
卒業制作の一環で行ったフルオーケストラのレコーディングでは、1曲のために70人弱もの演奏者を集める必要がありました。ひとりで手いっぱいになっている私を見た他専攻の友人が積極的に手伝ってくれて、話したこともない演奏者も大勢オーケストラに乗ってくれました。先生方やエンジニアの方も全力でサポートしてくださり、無事録音を終えることができました。
録音を終えたあと、土屋真仁先生から「今日集まってくれたすばらしい演奏者の皆さんは滝澤さんの財産です」と言われ、それが今も心に残っています。
友人、先生方、職員の方々、そして家族、たくさんの人に支えられて東京音大で学べたことにとても感謝しています。

 


▲ 卒業制作オーケストラレコーディングの様子

 

― 専攻を越えて積極的に協力する学生が多いですよね。授業やレッスン以外にもいろんなことにチャレンジできましたか?

 

はい、授業以外にも、東アジア文化都市2019豊島の豊島区東アジア文化プロジェクトに参加したり、自作曲初演のため有志のオーケストラを集めてコンサートを企画したり、音楽大学オーケストラ・フェスティバル2019のファンファーレを作曲するなど、さまざまなことに挑戦しました。
その過程でたくさんの失敗をしました。音にしてみたら思い描いていたサウンドにならなかったこと、演奏者にかける言葉を選びすぎて一番言いたいことが伝わらなかったこと、無理がたたって体調を崩したこと…その都度真剣に悩み、改善策を探りました。振り返ってみると、現場ではできないような失敗を学生時代にたくさんできたことが貴重な経験になったと思います。

 

― 失敗からしか学べないこともたくさんありますからね。今の仕事の内容を教えてください。

 

在学中からアレンジなどの仕事をいただくようになり、卒業してフリーランスの作編曲家として仕事をしています。また、今年は東京音大で助手もしています。まだまだ駆け出しですが、学生時代に師事した先生が声をかけてくださり、お仕事をいただいたり現場を見学させていただくなど、いろいろな経験を積んでいます。
先日、夢だったプロのオーケストラアレンジの仕事もさせていただけて、本当にうれしかったです。

 


▲ ストリングスレコーディングの際の集合写真。前列左端が滝澤さん

 

― 今後のご活躍を楽しみにしています。最後に後輩たちに熱いメッセージをお願いします。

 

ひとつでも「自分と言えばこれ!」と言える強みがあるといいと思います。音大に入ると周りにすごい人が大勢いるので、自分を見失うことも時にはあるかもしれません。そんな時、ひとつ軸をもつだけでかなり救われると思います。そんなに大きなことである必要はなくて、自分にキャッチコピーをつけるようなイメージでもいいと思います。
たとえば私の場合は、「オーケストラが大好き!」という一点だけにはとにかくこだわりました。自分にない魅力をもっている同期に囲まれた中でそれが自分のアピールにもなりました。学生時代に集中的に勉強した甲斐もあって、卒業後の仕事においてもプラスになっています。

 

― 夢のあるメッセージをありがとうございました!これからもがんばってくださいね。

 

(広報課)