2020.10.05
大変過ごしやすい気候になってまいりました。9月19日のオンラインオープンキャンパスはいかがでしたか?10月11日に実施する第二弾では、2021年度より改編リニューアルして誕生する作曲「ミュージック・メディアコース」のスペシャルイベントを企画しています。先生方や在学生の生の声を聞けるチャンスです。どうぞお楽しみに。
さて、本題ですが、本学では毎年多くの学生が大学院に進学して更なる研鑽を重ねています。伊舟城歩生さんもそのひとり。自分の興味ある分野を深く掘り下げていくのが大事だと痛感しているそうです。
― 振り返って大学生活はどうでしたか?
振り返ってみて、大変だなと思いながら過ごしている時もありましたが、それを苦労と思ったことはないです。よく言えば、自分のペースでさまざまなことに取り組めていたということかなと思います。
― 底強さを感じるコメント。一番がんばったことはなんですか?
クオリティを保ちつつ、なるべく多くの曲をレパートリーにしようと心がけていました。中でも印象に残っているのは、3年生の時に「リサイタル試験」でラフマニノフの『24の前奏曲』を全曲演奏したことです。一曲一曲が充実した作品なのでそれを自分のものにしていくのが非常に大変でした。一曲ずつの個性を生かしながら、24曲をツィクルスとしてどうまとめていくかを試行錯誤する中で、大きな学びを得ることができました。また、リサイタル試験ではフライヤーやプログラム、タイムスケジュールなども自分で作成するので、演奏以外の面においても貴重な経験をすることができました。
― 演奏スキルのみならず、演奏会を成功させるために欠かせないことがたくさんありますよね。受講してよかった授業は?
1年生の時に受講した「身体表現と音楽」です。この授業では、ピアノを弾く時の身体の使い方や、練習をした後どのようにして身体をリフレッシュさせるかなどを学ぶことができました。ピアノを弾くことと直接影響がなさそうにも思える身体の使い方や意識を少し変えるだけで、楽に弾けるようになったり音が変化したことをよく覚えています。
― 興味深い話ですね。ところで、東京音大への進学の決め手は?
中学2年生で東京音大の付属音楽教室に入り、その後、付属高校を経て東京音大に入学しました。一番の決め手は師事したいと思う先生方がいらっしゃったからです。途中で何度か先生が変わりましたが、音楽的にも人間的にも尊敬できる先生と出会えたことに感謝しています。
― そんな恩師に言われて心にささった言葉は?
高校時代に三浦捷子先生から、「高校や大学の授業は入り口でしかないから、興味のあるものは自分で掘り下げていきなさい」と言われたことです。当時、頭では先生の言葉を理解していました。大学に入って、実際音楽について学べば学ぶほど、先生の言葉の意味をより実感できるようになりました。大学4年間の授業で多くのことを学べたとは言え、あくまでも入り口に立っただけで、わからないことだらけ。これから長い人生をかけて、もっと深く掘り下げて勉強していかなければならないと痛感しています。
― 真摯に学ぶ姿勢がいいですね。東京音大の魅力はなんだと思いますか?
いわゆるポピュラー音楽をメインに学ぶコースも充実していること。また、中国のほかヨーロッパなど海外からの留学生も多く、多種多様な学生が在学しているので、積極的な交流をとおしていろんな経験ができるところも魅力のひとつだと思います。
― 最後に、後輩たちにメッセージをお願いします。
今はコロナ禍でこのような事態になってしまい、充実したキャンパスライフを送ることができていない方も多いと思います。しかし、このような時期だからこそ、なんのために音楽大学に入ったかを思い返して、例えば通学で空いた時間の有効活用などさまざまなことに取り組んでほしいと思います。
大学ではたくさんの課題に追われる日々が続くかと思われますが、自分のペースでこなしつつ、その中にひとつでも興味のもてる内容があったならば、本を読んだり曲を聴いたりしてみてください。もちろん音楽以外のことでもいいと思います。今の時期に学んだこと、考えたことが、今後の大学生活の質を大きく変えてくれるかもしれません。
― 「音楽を勉強しつづける人生以上に幸せなことがあるのだろうか。音楽の中に自分を見つけ、音楽を通じて自分の資質を追及して開花させる。決してやさしくないけれど、すばらしいことだと思います」野島稔学長(藤田真央さんとの師弟対談から抜粋)。
これからもたくさんのことを吸収して、深く掘り下げていってほしいと思います。心温まるメッセージをありがとうございました。
(広報課)