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【新卒業生から新1年生へ ~熱いぜ、ザ・東京音大生~】第12回 大附仁美さん

大附仁美さん(声楽演奏家)

新卒業生から新1年生諸君へ

~熱いぜ、ザ・東京音大生~

 

10月も半ば。大学に学生たちの姿が戻り、少しずつですが、活気づいてきました。友達に会えてうれしい、寮に戻れてうれしい、こういった声を聞くとこちらまでうれしい気分になります。
さて、今回登場するのは、今年3月に行われた感動の卒寮生による有志コンサート(記事はこちら)で『カルメン』を歌い踊った大附仁美さん。情熱的だったキャンパスライフを振り返ります。

 

第12回 大附仁美さん(声楽演奏家)

【卒業後の進路】

東京音楽大学大学院に進学

【出身高校】

埼玉県立大宮光陵高等学校卒業

 

― 東京音大に進学したきっかけはなんですか?

 

小学生の頃に通っていたコーラスの先生が東京音大出身だったのが、今思えばきっかけだったのでしょう。ですが、本格的に進学を決めたのは高校2年の秋頃です。今はカリキュラム改編で違う制度になりましたが、声楽演奏家コースに合格することが第一目標でした。合格できた時は飛び上がるほどうれしかったです。

 

― 早くも小学生の頃から東京音大とご縁があったんですね。念願叶って入学して、授業を受けてみてどうでしたか?

 

役に立つ授業がたくさんありました。村田千尋先生の「楽譜学」では、主に楽譜の選び方を学びました。同じ曲でも出版社によって記譜に違いがあることを知り、楽譜選びに慎重になりました。
「イタリア語」のマリアンジェラ・ラーゴ先生の授業は、すべてイタリア語で行われ、そのおかげでひとりでイタリア旅行ができる程度にコミュニケーションが取れるようになりました。

 


▲ はじめてイタリアにひとりでレッスンを受けに行った時

 

また、「舞台基礎演技法」では、はじめてオペラの役として舞台に立ちました。歌と演技のバランスやアンサンブル、動作や役作りを基礎から学ぶことができました。根気強くご指導くださった先生方に本当に感謝しています。

 


▲ 「舞台基礎演技法」の試験の時

 

― ほかにも何かありますか?

 

大変苦労しましたが、イタリア語のディクションも受講してよかった授業のひとつです。東京音大ではイタリア人の先生とマンツーマンでイタリア語の発音レッスンを受けることができます。単位にはなりませんが、それを受ける前と後では、イントネーションに対する意識ががらりと変わりました。「イタリア人にも完璧に伝わる発音」を目指して、これからも歌詞と向き合っていきたいです。

 

― 授業以外で思い出に残っているキャンパスライフは?

 

寮生活でたくさんの出会いに恵まれたことが特に印象に残っています。みんなで夜な夜な寮の練習室で即興演奏をしたり、勉強を教え合ったり。ピアノ、作曲、管弦打の友人や、先輩、後輩たちと知り合うことができ、友達の輪が広がりました。 
卒業時に、同期の寮生たちと「卒寮生コンサート」を行いました。小編成ですが、仲間たちによるオーケストラの中心で歌えたことは、私にとってこの上なく幸せなことでした。
寮の食堂で友人たちと一緒に音楽史などの試験勉強をしたのもいい思い出です。

 

▲ 「卒寮生コンサート」

 
― 大変充実した大学生活でしたね。卒業後の進路は?

 

東京音大大学院(声楽専攻オペラ研究領域修士課程)に進みました。新国立劇場のオペラ研修所に合格できなかったことで改めて未熟さを実感し、心身共にさらに時間をかけて成長していきたいと思い、進学を決めました。
実技試験では、歌曲とオペラアリアを合わせて3曲歌いましたが、ありがたいことに奨学金をいただくことができました。また何より、いつも支えてくれる両親に感謝しています。

 

― 東京音大の魅力はなんだと思いますか?

 

一番は先生方に恵まれていることだと感じます。発声に悩んだら○○先生、外国語に悩んだら○○先生、着物の着付けは○○先生など、迷ったときに行くべき場所が私の中で決まっているので、問題が起きても素早く解決できます。それぞれの先生方が常に辛抱強く、真剣に私たちと向き合ってくださいます。

 

― 先生に言われて影響を受けた言葉は?

 

「しゃべることができれば歌えるよ」
今日はちょっと身体が重いな~とか、喉が痛い気がする、と過敏になって練習していいのかわからなくなることが多々ありました。そんな時、菅野宏昭先生に言われたのがこの言葉です。「歌はしゃべることと同じ。しゃべるように歌いなさい。しゃべることができないほど喉が不調なら絶対に歌ってはいけない」と。その日から迷うことはなくなりました。朝起きて、「あー。…よし、今日は歌える!」これが言えれば合格です。

 

― 前向きになれますね。最後に後輩の皆さんへメッセージをお願いします。

 

「菅野先生にレッスンしていただきたいんです!」
大学2年の春。この渾身の訴えが私の歌人生を180度変えました。レッスンに入ろうとしている学生に、「すみません、1分だけください」とお願いして、勇気を出して先生の顔を見て、「菅野先生にレッスンしていただきたいんです!」と申し上げました。先生は当然驚かれたと思います。でも、すぐに「いいよ」と言ってくださりました。その数日後の初レッスンで、自分自身でも聴いたことのないような声が出ました。発声に悩んでいた私はうれしくて、帰り道少しだけ涙が出たのを覚えています。
何より皆さんにお伝えしたいのは、大事なのはいざという時の決断力、そして行動力。4年間はあっという間です。お互いがんばりましょうね。

 

― パワーみなぎるメッセージをありがとうございます。これからの大学院生活もきっと謳歌することでしょう。今後の活躍を楽しみにしています。

 


▲ 「卒寮生コンサート」に出演した仲間たちと

 
(広報課)