検索

よく検索される項目

【在学生インタビューシリーズ】第12回 大髙レナさん

大髙レナさん

(声楽演奏家コース4年 東京音楽大学付属高等学校卒業)

 

2020年度第19回東京音楽大学コンクール声楽部門1位を受賞した大髙レナさんは、この春、憧れの新国立劇場オペラ研修所第24期生として新しいスタートラインに立ちます。付属高校時代から大学までの7年間を振り返ってもらいました。

 

 

- 歌をはじめたきっかけは?
 
両親が東京音楽大学卒業生で、姉も付属高等学校に通っていたので、家では毎日ピアノの音で溢れていました。しかし、私はピアノではなく、ミュージカル歌手のレア・サロンガさんが好きで、いつもCDを聴いていました。そのうちクラシックのコンサートにも出かけるようになって、「私も歌ってみたい、習ってみたい」と思うように。

 

その後ご縁があって釜洞祐子先生にご指導いただくことになって、今現在も教えていただいています。最初はそれこそ挨拶もしっかりできなかった私は、歌以外のことも含めて、一から教えていただきました。生まれてから3分の1以上の年月を釜洞先生にご指導いただいていることになります。

 

- 付属高校に進学したのはなぜですか?

 
釜洞先生のいらっしゃる大学に進学したいという思いと、姉が通う付属高等学校の催しに出かける度に先輩方のすてきな演奏を耳にして、明るく楽しそうに音楽を学んでいる学校の雰囲気に惹かれて進学を決めました。

 

- どんな高校時代でしたか?

 

高校時代は本当に楽しい思い出ばかりです。先生方はいつも応援してくださり、好きなことをじっくり勉強できる環境のなかで、歌以外の器楽の友達からもたくさん刺激を受けました。
年に一度のオペラ発表会に向けて、みんなで力を合わせてがんばったことが特に忘れられない思い出です。「声楽演習」という授業ではじめてオペラを学んだのですが、先生方や先輩方の指導のもと、夏休み中もみんなで集まって稽古を重ね、転換の動きを特訓しました。叱られたり、大変だなと思うこともありましたが、舞台はひとりの力だけでは成り立たないことや、他人を思いやる気持ちと協力することの大切さを学びました。高校卒業後は迷いなく東京音大に進学しました。

 

- 大学生活を振り返ってどうでしたか?

 

1~2年生の時は、できるだけ単位を取得しようと、早起きをして弁当持参で通いました。時間的に余裕のない中で、練習時間を確保することと、体調を崩さないように注意することに必死でした。

 

3年生になると時間に余裕が出てきて、大好きな筋肉トレーニングに集中したり、レパートリーを増やすことに専念しました。2年生の時に全日本学生音楽コンクールで1位と聴衆賞をいただいた結果、演奏会や本番ではたくさんの方々に聴いていただけるよろこびを感じることができました。

 

4年生になってからは、新型コロナウイルスのため、リモートでのレッスンを希望しました。最初は慣れないことに戸惑いもありましたが、先生方が工夫しながら教えてくださるので徐々にコツを掴んできて、対面で受けているのと同じ感覚でレッスンを受けることができました。

 

- 先生方にどんなご指導を受けていましたか?

 
釜洞先生がレッスンの時に歌ってくださると、すばらしくて、戦意喪失するくらいの気持ちになることがあります。先生は楽譜を深く読みとること、レッスンにもっていくまでに最低限やらなくてはいけないことなどを基本から教えてくださいました。高校や大学一年生の頃は、むずかしい曲や高音まである派手な曲にもつい手を出したくなりますが、「慌ててはいけない、まだ早い」と止められました。目先のことではなくその年齢に適した勉強のやり方で、身体や声帯の成長の妨げにならないよう、常に注意深く長い目で見てくださっていたのだと思います。

 

ダブルレッスンで受講した藤牧正充先生はメソッドが確立されていて、うまく歌えない箇所を聴いたらすぐに原因を把握し、対処法を教えてくださいます。その指摘があまりにも的確ですぐに直してくださるので、「ドクター」とか「魔法使い」などと呼ばれているそうです。私も先生の「治療」のお陰で何度も救われたので、「スーパードクター」と呼んでいます(笑)。

 

- 去年、東京音楽大学コンクール声楽部門で1位を受賞しましたね。コンクールの時の心がけを教えてください。

 
卒業試験が近かったため、はじめは東京音楽大学コンクールを受けることは考えていませんでした。しかし、コロナ禍の影響で演奏会が次々と延期になり、去年2月に行われた3年生の実技試験以来、人前で歌う機会がまったくなかったので、受けることにしました。ずっと狭い防音室で歌っていたので、久しぶりのホールの響き方に戸惑い、反省点ばかり思い出しますが、たくさんの方々に聴いていただけてうれしかったです。審査員の先生方の講評もとても勉強になりました。

 

練習ではとことん細かく掘り下げて、本番では細かいことを考えずに役柄の気持ちになろうと心がけました。私にとって、コンクールはホールで歌えるのが最大の魅力です。ホールで歌うと、心も身体も解放されて、その響きが正しい方向に導いてくれると感じます。とは言え、声楽という分野において、私の年齢では勉強することがまだ山ほどあるので、コンクールを受けることを最低限に留めています。

 

▲ 2020年度第19回東京音楽大学コンクール声楽部門1位を受賞

 
- 目標にしている歌手は?

 
声楽は自分の身体が楽器なので、一人ひとり違う特徴と魅力があると思います。ですので、この人のようになりたいというのは特にありません。私の目標は、いくつになっても現役で歌える歌手を目指すことです。常に基本を忘れずに正しい発声を心がけ、決して無理をしなければそれが可能となると信じています。

 

- 大髙さんはご自身の強みはなんだと思いますか?

 

耳鼻科の先生に、分厚く傷つきにくく強い声帯だと言われたことがあります。実際に、声楽をはじめてから一度も喉の不調がありませんでした。

 

- 卒業後の進路を教えてください。

 
新国立劇場オペラ研修所の入所試験に合格することができたので、今年4月から第24期生として研修します。ずっと憧れていた場所で勉強できるのは本当にうれしい。先生方のご指導のおかげです。夢にまで見たオペラパレスで歌っている姿をイメージしながらウキウキ練習に励みました。
 
- 目に浮かびます。ところで東京音大の魅力はなんですか?

 
先生方の手厚いサポートと常に最高の環境で学べること、また切磋琢磨できる同級生、先輩後輩がみんなやさしく親切で協力し合えるところだと思います。先生方から、こんなに熱心に指導してくださる、こんなにも私のことを考えてくださっていると実感できます。おかげで、これまでたくさんのことを乗り越えられたのだと思います。

 
- 後輩たちへメッセージをお願いします。

 
思っていたよりもあっという間に卒業目前となりました。今になって振り返ると、あれも勉強すればよかったと思うことが結構あります。卒業すれば時間の制約も出てくると思うので、時間を大いに使って楽しく学んでください!
 

(広報課)