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【在学生インタビューシリーズ】第16回 老川鈴唄さんを掲載しました

老川鈴唄さん

(声楽特別演奏家コース2年 東京音楽大学付属高等学校卒業)

  

2020年度東京音楽大学コンクール声楽部門。3位に入賞したのは1年生の老川鈴唄さん。TCMホールいっぱいに響きわたった老川さんの歌声に聴く人を惹きつけるパワーがありました。インタビューをとおして、華奢な彼女の体に宿されたアグレッシブさを垣間見ました。

 
- 音楽をはじめたきっかけを教えてください。
 

3歳頃からピアノとバレエを習いはじめました。『くるみ割り人形』、『魔笛』、『ヘンゼルとグレーテル』など、母親によくバレエやオペラなどの舞台にも連れていってもらいました。原語で上演される舞台は意味がよくわからなくても、華やかだった記憶は鮮明です。家の中には、特にその分野に詳しい者がいたわけではありませんが、クラシック音楽のCDがよく流れていました。

 

- それからどうして声楽の道に?
 

ピアノの先生は声楽も教えていて、私が歌うのが好きだったこともあり、時々歌も教えてくださりました。やがて音楽高校に入りたいと思うように。東京音大の付属高校は実家から近かったこともあって、受験講習会に参加したり、パンフレットを取り寄せたりしていました。音楽が好きな人たちが集まってくる雰囲気のいい学校だと思いました。高校では、好きな歌の世界に入ってみたいと思い、声楽を受験することにしました。

 

- 声楽に進んでからどうでしたか?
 

あれは私が付属高校に入学して、横山恵子先生のレッスンをはじめて受講した時のことでした。ものすごく感動したんです。その感動が今もずっと続いているわけですが、横山先生との出会いが私にとって最大のターニングポイントだったと言っていいと思います。高校に入学してからというもの、どんどん声楽を好きになっていきましたね。
 

- どんなところに感動したんですか?
 

先生のすべての声は一瞬にして完ぺきを期する、私にとってまさに「正解の声」。たどり着きたい目標です。先生は一番美しい音を出すために、それを表現するためにはどうすればよいのかを途中で妥協することなく、私ができるようになるまで根気強く教えてくださります。先生に教われることはすべて教わりたい、先生についていきたい、その一心で今日まで必死に走ってきました。

 

- 運命的な出会いでしたね。

 

横山先生から発声法を一から教わったのですが、ちょっとずつ先生の言うことができるようになっていきました。昔の自分の録音を聴くと本当に成長したなあと感じます(笑)
 

- 習うのはイタリア歌曲中心ですか?
 

イタリア歌曲だけではなく、フランス歌曲、ドイツ歌曲、あと日本歌曲も習っています。発音するだけでもむずかしいのに、それを歌で使うとなると、口の開け方や発音との折り合いをつけないといけないのが大変です。演じる上で言語の意味も大事なので、辞書を片手に対訳と照らし合わせて勉強したり、オペラのシーンを観て研究したり、自分の中で登場人物の気持ちをわかった上で、最終的には楽譜を見なくても歌えるようにしていきます。

 

- どちらかというと日本歌曲の方が歌いやすいですか?
 

日本歌曲は言語の意味はわかるのですが、実は発音がすごくむずかしく、何を発語しているのかがわかりにくくなりやすい。日本語の曲も意外とむずかしいんです。発声法とリズムは、言語によっても違うので、言語の数だけ勉強が必要です。

 

- 勉強家ですね。さて、老川さんは昨年いくつかのコンクールに入賞されましたね。その話をお聞かせください。
 

昨年1年間で4つのコンクールにチャレンジしました。コンクールを受けるのは、高校時代からの一種の習慣のようなもので、毎年必ずいくつかのコンクールに挑戦するようにしています。

 
- それはどうしてですか?
 

コンクールは、人前で歌える場でもあり、いろんな先生方に聴いていただける絶好の機会であって講評も受けることができます。とても勉強になります。経験を積むためにも毎年欠かさずコンクールに挑戦しています。
特に去年は、パンデミックの中でせっかく大学に入学したのに春学期中は大学に来られなかったこともあり、このままなにもなく1年が終わってしまうのは嫌でした。こんな状況の中でもなにかできることをやっていきたいなあと。コンクールに関しては、感染症対策をしっかりと講じた上で中止せずに実施したところが多かったので、例年以上に気合いが入りました(笑)

 
- 4つ受けたコンクールの中で一番印象に残っているのは?
 

(東京音楽大学主催の)東京音楽大学コンクールですね。課題が多いコンクールなんです。一度にアリア5曲と歌曲5曲を出さないといけなく、ぎりぎりに仕上げた曲も結構ありました。このコンクールでは声楽部門の開催は隔年なので、毎年受けられるわけではありません。1年生のうちから受けておこう、また雰囲気や場を経験するのもきっとすごく勉強になると思いました。正直、本選まで進めるとは思っていなかったので、とにかく恥ずかしくないように歌わないと、と考えました。
予選から本選までの1週間は本当に緊張しましたね。レッスンで時間の許す限り、横山先生に発音など、たくさん教えていただきました。でも、これだけの曲を練習できたこと、憧れの先輩たちと同じ舞台に立って歌わせていただけること、当日は、そのことを思うだけで幸せな気持ちでした。

 

 
- 結果は3位入賞。初チャレンジで!どんな気持ちでしたか?

 

驚きました。支えてくださった先生方、家族、友人のおかげです。
これまでにもいろいろなコンクールを受けてきましたが、いつもいつもいい結果ばかりではなかったですよ。

 
-老川さんがはじめてコンクールを受けたのは?

 

高校1年生の時の東京国際声楽コンクールです。ものすごく緊張していたのを覚えています。同期と一緒に受けたのですが、楽しくもあり、とにかく緊張しました。
高校1年生には、全日本学生音楽コンクールにもはじめて挑戦しました。結果は、初戦敗退。2年生で再挑戦して、東京大会の本選まで行きましたが、そこで終了。そして、3年生で3度目の挑戦をしました。信じられない気持ちでどんどん進んでいき、結果全国大会と東京大会の両方で1位を受賞することができました。

 

- 挑戦し続けて、すごい成長ですね!そこまで成長できた理由はなんだと思いますか?

 
横山先生をはじめ、先生方が私の足りない点を力の限りたくさん教えてくださったこと、応援してくれる家族と仲間たちがたくさん練習に付き合ってくれたこと。先生方をはじめ皆さんが1位に少しずつ近づかせてくださったのだと思います。本当にありがたいです。

 

 
- 老川さん自身の努力も大きかったと思います。先生からどんな言葉をかけられましたか?

 
コンクールでは、誰が1位を取ってもおかしくないプロフェッショナルな方々ばかりなので、“お祭り”と思ってと言いますか、「あまり順位を気にせずに、楽しみながらできることをやるように」と何回も言ってくださりました。とても印象的で自分の中で大切な言葉です。受賞後は、「1位に恥じない自覚をもつように」と言われました。
 

- 深みのある言葉ですね。老川さんの将来の夢を教えてください。

 
道のりは遠いのですが、海外のオペラの舞台で活躍できるようなオペラ歌手になりたいです。声楽はきちんとトレーニングしていけば何十歳になってもずっと歌い続けることができます。チェコスロバキアのエディタ・グルベローヴァやフランスのナタリー・デセイもそうですが、その方々のようになりたいですね。いくつになっても私の歌やオペラを観ていただいた方に幸せな気分になっていただけるように、がんばりたいです。
 

- 楽しみです!最後に後輩たちへメッセージをお願いします。

 
東京音大の先生方は、親身になって指導を、また相談にも丁寧に乗ってくださります。一つひとつの機会を逃さずに、前向きに楽しめば、きっと学びの多い生活が送れる大学&高校です。ぜひいろんなことにチャレンジして、楽しんでほしいと思います。
 

 
(広報課)