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【卒業生インタビューシリーズ~TCMの先輩たちの今】第21回 植松 亮さん(浜田市・吹奏楽指導者/ハイブリッドウインドオーケストラ トランペット奏者)

 

植松 亮さん

 

浜田市・吹奏楽指導者/ハイブリッドウインドオーケストラ トランペット奏者
吹奏楽アカデミー専攻(トランペット) 2025年大学卒業


吹奏楽の演奏家・指導者育成を目的とする吹奏楽アカデミー専攻の第3期生として巣立った植松亮さん。現在は島根県浜田市を拠点に、プロの吹奏楽団での演奏活動と地域の子どもたちへの吹奏楽指導を両立させる、ユニークなキャリアを歩んでいます。吹奏楽への情熱を胸に指導者を志した経緯から、東京音大での実践的な学び、そして現在の活動にかける想いまで、詳しくお話をうかがいました。

 
 

― まず、植松さんが音楽の指導者を志したきっかけと、数ある音楽大学の中から東京音大の吹奏楽アカデミー専攻を選んだ理由について教えてください。

 

音楽の道を志す原点は、小学校の金管バンド部でトランペットに出会ったことです。栃木県の出身ということもあり、オーケストラよりは吹奏楽が常に身近な存在で、中学・高校と部活動に打ち込む中で、自然と吹奏楽への愛着が深まっていきました。指導者になりたいと明確に意識しはじめたのは、小学生の時に後輩へトランペットを教えた経験から。顧問の先生に「君は教え方がうまいね」と褒められたことで、自分は教えることが下手じゃないのかもしれないと、その道に興味をもつようになりました。
 
大学進学を考えた時、「吹奏楽をとことん学んでみたい」という思いを抱くように。そんな時、テレビ番組「ららら♪クラシック」で創立して間もない東京音大の吹奏楽アカデミー専攻が紹介されているのを見て、「こんな専攻があるんだ!」と驚いたのを今でも覚えています。演奏技術はもちろん、作編曲やマーチングまで吹奏楽に関わるすべてを、深く専門的に学べるカリキュラムは、まさに僕が求めていたものでした。当時、吹奏楽アカデミー専攻は創立して2年目。新しい挑戦がはじまったばかりのタイミングでしたが、自分の中で「ここだ!」と直感して進学を決めました。
 

― 実際に吹奏楽アカデミー専攻で学んでみて、印象に残っている授業や経験はありますか。

 

在学4年間の学びは、どれも指導者としての今の自分を形づくる、実践的なものばかりでした。中でも特徴的なマーチングの授業は、音楽の基礎であるリズム感を養ううえで非常に役立ちましたし、その経験は母校の高校で後輩を指導する際にも生かすことができました。「吹奏楽」というひとつの世界の中で、“音楽をどう創るか、どう伝えるか”を多角的に学べたことは大きな財産です。特に、日本を代表する作編曲家である中橋愛生先生や天野正道先生といった著名な先生方から直接ご指導いただける授業は、ほかでは得難い本当に贅沢な時間でした。授業で学んだ“合奏での耳の向け方”、“編曲の構成力”は、今も地域の演奏活動や指導で生かされています。

 

そして何より印象に残っているのが、合奏の授業です。指揮者の先生だけでなく、楽器の先生方も第一線で活躍されているプロの方々。そんな先生がすぐ隣に座って、一緒に演奏しながら指導してくださることには、大きな意味がありました。音の出し方や息のタイミング、フレーズの創り方まで、言葉では伝わらない“音楽の呼吸”を、あの距離感で学べた経験は、今でも自分の音づくりの基礎になっています。この環境こそが、吹奏楽アカデミー専攻の最大の強みではないでしょうか。
 

- 在学中に中学校で指導する機会もあったそうですね。

 

はい、そうなんです。ワークショップという授業で練馬区の中学校に出向き、実際に吹奏楽部の指導を行ったことも忘れられない経験です。こちらのアドヴァイスにすぐ反応して、中学生たちの音が一瞬で変わる。その変化を目の前で感じた時「あ、教えるって面白いな」と思いました。さらに、その場には中橋愛生先生や荻原明先生もいらっしゃって、僕たち学生の指導を見ながら、すぐ横で声をかけてくださる。プロの先生方が生徒たちにどう接し、どのような声がけをすれば音が変わるのかも目の前で見られる、まさに実践の授業でした。この経験をきっかけに、自分も指導の道に進みたいという思いがだんだんと強くなっていきました。
 

- 卒業後は島根県浜田市に移住し、プロの演奏家として、また地域の指導者として活躍されていますよね。現在のユニークな活動スタイルについて詳しく教えてください。

 
在学中、求人サイトで島根県浜田市の「一般社団法人Biz.coopはまだ」が音楽家を募集しているのを見つけたのがきっかけです。演奏活動、指導、マネジメントまで一貫したサポートをしてくれる環境に大きな魅力を感じ、関東出身の自分にとっては大きな決断でしたが、移住を決めました。
 
平日の日中は学童職員として働きながら、土日に中学校や高校の吹奏楽部の指導を行っています。演奏活動としては、全国から集まった20〜30代の若手演奏家で構成される「ハイブリッドウインドオーケストラ」に所属し、月1回ほど地域の祝賀会やスクールコンサートなどで演奏しています。地域の方から「ハイブリッドさん、上手だね」と声をかけていただくこともあり、少しずつ地域に根づいてきた実感があります。


▲「ハイブリッドウインドオーケストラ」定期リハーサル ソロ演奏時
 
 
― 地域の小学生バンドでも指導をされているとうかがいました。

 

浜田市では、小学校で吹奏楽部の活動をすることが困難な状況にあります。そこで地域の子どもたちが楽器にふれられるように、「ジュニアオーケストラ浜田」という小学生バンドを立ち上げ、その音楽監督を務めています。10名ほどの小編成なので市販の楽譜では演奏が難しいことも多いのですが、そんな時は吹奏楽アカデミーで学んだ作編曲のスキルを生かして、バンドの楽器編成に合わせた楽譜を自分で編曲して対応。東京音楽大学での学びが、地域に音楽を届けるという今の活動を、確かに支えてくれていることを実感します。


▲ユースウインド(小学生バンド)本番にて、指揮姿(左が植松さん)
 
 
― 指導者として大切にしていること、そして今後の展望についてお聞かせください。

 

生徒が“音楽って楽しい”と思えること。それが、僕が指導する中で一番大切にしていることです。僕の周りでも、中学や高校の同期で今も楽器を続けているのはほんのわずか。吹奏楽経験者はコンクールで燃え尽きてしまいがちですが、“音楽が人生を豊かにする存在であってほしい”と僕は願っています。だからこそ、音楽の楽しさを伝えることが僕の指導の原点です。小さい頃から音楽にふれる機会を作ることで、浜田のまち全体に吹奏楽の文化を根づかせたい。そしていつか、自分の書いた曲を地元の「ハイブリッドウィンドオーケストラ」で演奏してもらいたい。そんな日を目標に、これからも“伝える音楽”を続けていきたいと思っています。

 

― 最後に、吹奏楽アカデミー専攻を目指す高校生へメッセージをお願いします。

 

吹奏楽アカデミー専攻には、この専攻ならではの魅力的な授業がたくさんあります。マーチング、作編曲、プロの先生との合奏など、実践的な学びが詰まった専攻。吹奏楽が好きで、将来は指導者やプレイヤーとして活躍したいと思っている人には、これ以上ない環境だと思います。僕自身、ここで学んだすべてが今の活動につながっています。東京音大の吹奏楽アカデミー専攻に入学し、これから日本の吹奏楽教育をリードする存在になっていくことを心から願っています。

 
 

(総務広報課)

 

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