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【コンクール受賞者インタビューシリーズ】第4回 平林遼さん

平林遼さん

(作曲指揮専攻 2011 年大学卒業)

第1回イタリア国際指揮者コンクール 第3位入賞
第4回ニーノ・ロータ国際指揮者コンクール 聴衆賞受賞・ファイナリスト

 
 
― わずか1ヶ月の間にふたつの国際コンクールで受賞という快挙、おめでとうございます。まずコンクールの概要について教えていただけますか
 
「 第1回イタリア国際指揮者コンクール」は、西イタリアの地中海に面するボルディゲーラで2019年9月3日から7日に行われました。書類選考から、現地では50数名16名8名3名とラウンドを進み、最終的に第3位を受賞することができました。少しばかりの賞金とボルディゲーラ交響楽団とのコンサートで指揮する機会をいただけることとなりました。
 
また、ニーノ・ロータ国際指揮者コンクール」の方は、10月1日から7日まで、イタリア南部のマテーラで開催され、聴衆賞を受賞し3名のファイナリストの1人となりました。ファイナリストは3名ですが、最高位以外は順位としては同着扱いとなり、実質上の最高位次点となります。それとは別に副賞がいくつかあったのですが、私はターラントという町でのファイナリスト3名での演奏会で聴衆賞を受賞いたしました。

 
 

― どんなところに苦労しましたか
 
コンクールの曲を勉強するのは、いつもどおりの作業ですが分量が多いです。大変なのは、音楽とは直接関係しませんが、旅の手配を自分ひとりですることです。行き方を調べ、ホテルを予約して……慣れないとこれがむずかしい。「イタリア国際」と「ニーノ・ロータ」の間の約一ヶ月半の間に、カザフスタンとルーマニアでのコンクールに参加したので、日本と大陸を3往復しました。156時間飛行機に乗り、時差があるので、体力的にも厳いです。
 
さらに コンクールで はだんだんと人数が絞られていくため、毎回の結果発表ではハラハラさせられます。また当然ですが、日本語でオーケストラのリハーサルはできません。原則は英語となるのですが、小節番号などの単純なことは簡単なイタリア語も使うようにして、リハーサルがスムーズに進むよう努めました。

 


▲第4回ニーノ・ロータ国際指揮者コンクール 表彰式
 

▲第1 回イタリア国際指揮者コンクール 表彰式
 

▲表彰状

 

― そもそもどのような経緯で、指揮者を目指すことになったのですか
 
ピアノは7才の時、習い事で始めました。ピアノを弾くのが好きで、中学2年の頃には音大に進学することを考えていました。ところが中学3年の時に部員であった吹奏楽部で顧問の先生の代わりに指揮をすることになりました。その時に、いわば電気が走るような感覚で、迷いなくすぐに「これだ!」指揮者になろう、と決めました。高校1年の冬に、広上淳一先生のレッスンを見学させていただきました。たいへん厳しく指導をされていましたが、その時には既に受験しようと思っていました。
 
 

― 東京音楽大学在学中はどう過ごしましたか
 
自分なりに必死でしたが、レッスンでは広上先生に怒られてばかりいました。そして東京音大で恵まれていたのは、実際のオーケストラを指揮する機会が数多くあったことです。まずは大変稀有で充実している「合同レッスン」です。これは器楽専攻の学生が自主的に集まって編成したオーケストラでレッスンを受けるものです。それとは別に、学生のオーケストラ公演を10回位は振りました。オーケストラと接する回数が多かったことが、指揮者としての財産となっています。
 
 

― 卒業後は?
 
アマチュア・オーケストラを指揮したり、広上先生のアシスタントや合唱指揮などをさせていただきました。海外でも勉強したかったため、2015年から2年間、ベルリンに居を移し、コンクールやマスタークラスを渡り歩きました。いろいろな国籍の指揮者から学び、さまざまな国のオーケストラを指揮し、良い経験になりました。
 
 

― これからの抱負を聞かせてください
 
今回の2回の受賞をひとつの契機とし、活動の幅を広げていきたいです。これには努力が必要ですが、簡単なことではないとも思います。
広上先生にもご相談させていただきつつ、一歩一歩精進して参ります。先生は常に、厳しいと同時に温かく弟子たちを見守ってくださり、感謝に堪えません。
 
また、人文系-政治・経済・宗教・哲学・文学のことに興味があり、音楽の勉強にも役立てることができればと思っています。たとえばベートーヴェンの「第九交響曲」 の元にあるのはフリーメーソンの思想ですが、音楽以外の分野を勉強していたことで、こうした関連性が見えてくることもあります。10年、20年越しの話になるかもしれませんが、そうしたことをいずれ本のような形でまとめられたらおもしろいかな、とも考えています。

 
 
― 今後ますますの活躍を期待しています

 
 

(広報課)