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【コンクール受賞者インタビューシリーズ】第6回 加納明洋講師

加納明洋講師

(作曲指揮専攻講師、本学卒業生)

第4回アルフレッド・シュニトケ国際作曲コンクール 第3位

 

本学の作曲指揮専攻講師である加納明洋講師(63歳)がウクライナで開催の「第4回アルフレッド・シュニトケ国際作曲コンクール」で第3位を受賞。作曲を専門的に習ったわけではなく、47歳の時から独学でオペラや現代音楽の作曲を手がけはじめた。作曲コンクールの情報サイトで情報を収集し「数撃ちゃ当たるだろう」と作品を送り続け、国内外合わせて7度の受賞歴をもつ。
あきらめずに続けること、限界を自分で決めないことで新たな可能性が拓かれると語る。

 
 
― コンクールは2度目の挑戦
 
アルフレッド・シュニトケ国際作曲コンクールにはじめて応募したのは2016年、初開催の年でした。その時は選外特別賞(1、2、3位に次ぐ賞)をいただき、相性のいいコンクールと感じて、今回2度目の挑戦をしました。演奏する課題があらかじめ決められていて、今年は弦楽オーケストラのための作品(Vn12名Va4名Vc4名Cb2名で編成)で、8分以上15分以内の曲が課題。本選に残ったのはイタリア人3名、スイス人1名、スペイン人1名、アルゼンチン人1名、日本人1名の計7名。第1位、第2位はイタリア人が受賞し、私は第3位をいただきました。

 

このコンクールは、ウクライナのリヴィウという街で開催されています。リヴィウはポーランドの近くに位置し、オーストリア・ハンガリー帝国の支配下にあった歴史からオーストリア文化の影響が強い。カトリック教徒が多い西部では住民のほぼ100%がウクライナ語を話します。コンクールの主催者は、リヴィウ・フィルハーモニックソサエティという共同音楽団体で、オペラハウスや二管編成の国立リヴィウ・フィルハーモニックオーケストラなども運営しています。

 
 
― 16分の25拍子、16分の60拍子……ゲネプロでやっと止まらずに最後まで演奏してもらえた
 
応募にはPDFでスコアを送り、本選に残ったらパート譜を送るという段取り。拍子の概念を変えてみて、16分の25拍子、16分の60拍子など考えると頭がおかしくなるような難しい作品に仕上げました。3回のリハーサルを経てゲネプロでやっと止まらずに最後まで演奏していただけました。指揮者や奏者のみなさんには、簡単な音楽用語をイタリア語や英語で指示できました。通訳がいなくてもなんとかなります。

 

▲リヴィウフィルハーモニックホールでのゲネプロの様子

 
1位がイタリア人32歳、2位が同じくイタリア人21歳、3位が私63歳(笑)。ほかのコンクールと違って、ほとんどの作曲コンクールには年齢制限が設けられていない。いくつになっても挑戦できるのです。

 
 
― 作曲の勉強は独学
 
学校で本格的に作曲を勉強したのは、東京音楽大学在学中に受けた指揮コースのカリキュラム中にある作曲の授業だけです。あとは独学。東京オペラプロデュース、藤原歌劇団、二期会でオペラの副指揮者、合唱指揮者の仕事をしてきました。ずっとオペラの世界とかかわってきたのでいつか自分のオペラを書いてみたいと思うようになって、台本を含めて自分で書いたりしましたがものになりませんでした。合唱曲なら書けるんじゃないかと、あきらめずに作曲したものを文化庁の舞台芸術創作奨励賞に応募したら創作奨励特別賞をいただきました。別の作品で朝日作曲賞の合唱に応募したところ佳作。日本交響楽振興財団作曲賞でも2年連続奨励賞をいただきました。もともと書くのが好きで苦にならないんです。

 
 
― 積み重ねにより、新たな可能性が拓かれる
 
作曲コンクールの情報サイトでコンクール情報を見つけて、そこから自分に合いそうなコンクールに作品をいろいろ送っています。あきらめずに続けていれば、自分の中に眠っている才能がどこかで目覚めるかもしれません。自分で限界を決めなければ新たな音楽表現がほかにも見つかるかもしれない。積み重ねていくことでさまざまな可能性が拓かれるのではないでしょうか。

 

▲教職課程管弦楽・吹奏楽の修了演奏会にて
 

(広報課)