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【授業紹介シリーズ「合唱」】 第6回 小林雄太さん

小林雄太さん

(指揮3年 中越高等学校卒業)

 

東京音楽大学の授業の特色と魅力を解き明かす「授業紹介シリーズ」。前回の声楽専攻の受講者に続き、最終回は指揮を専攻する在学生の話を掲載します。

 

~オーディションに合格すればプロのオーケストラと共演できること。これが本学の合唱授業の大きな特長です~

 

― 指揮が専攻ですが、合唱の授業を受講する動機はなんですか
 大学では教職課程、音楽学課程を含め、履修できるものはすべて履修しています。あらゆることを吸収したいと思ったからです。教職課程では「合唱」が必修となるので、1年生の時に履修しました。男子学生は1年次から「パート別合唱」の授業を受けることができ、オーディションに合格すれば、プロフェッショナルのオーケストラと合唱共演するチャンスがあります。

 

― 実際の授業はどうでしたか

 

 私は学校の音楽の授業でしか合唱をしたことがなく、歌の経験がほとんどありませんでした。声楽専攻ではないので、受講前は授業についていけるか心配でした。

 

 しかしはじめてみると、指導の阿部純先生のお話がたいへんユニークでおもしろくて・・・。西洋音楽史をはじめ、「ここは伝統的にこう演奏する」といった楽譜を眺めているだけではけっして理解できない演奏様式、合
唱の現場のこと、発声の基本など、声楽専攻でない私にとって、新鮮な知識を得ることができ、それはすべて財産になっています。

 

 繰り返しになりますが、オーディションに合格すればプロオケと共演できることが本学の合唱授業の大きな特長です。年末のベートーヴェン『第九交響曲』は定番ですが、年によってバロックから現代まで、幅広い時代の作品を学ぶことができます。

 

 合唱団のメンバーとしてオーケストラと共演するのははじめてでしたが、今まで経験したことのない声の響きに魅了されました。

 
 
― 合唱の授業で得るものは

 

 ひとことでは語り尽くせませんが、合唱の授業をとおして、音楽の本質について考える習慣を身につけられたと思います。合唱の授業は声楽専攻のみならず100名を超える学生が履修しているので、他専攻の学生のさまざまな考え方を知ることも魅力のひとつだと思います。

 

 中でも印象に残るのは、プロのオーケストラと合唱共演した2年生でのプロコフィエフ『イワン雷帝』と3年生では広上淳一先生指揮の日本フィルハーモニー交響楽団『第九』です。

 

 『イワン雷帝』はサンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団というロシアの一流オケとの共演で、リハーサルを間近に見ることができたことは大変印象に残っています。合唱席はオケ全体と指揮者を正面から見ることができます。私は指揮を勉強しているので、どうしても指揮者に目線がいってしまいます。指揮者がどのようにリハーサルを進めるのかという引き出しが増えたと思います。

 

 広上先生指揮の合唱本番に乗るのは今回がはじめてでした。すべてのリハーサルに参加し、ていねいでわかりやすく、しかし「眼から鱗」のユニークなお話の数々は今でも忘れられません。指揮の学生ということもあってか、リハーサルではよく私に話を振られました。何気ない会話の中に音楽のことのみならず多くのヒントを示してくださったのだと思います。弟子として先生の本番で歌った経験は言うに及ばず、一人の音楽家のあり方や、音楽を演奏することの本質など多くのことを教えていただきました。

 

 私は指揮の視点からですが、ほかの専攻の学生もリハーサルから得るところは多いのではないでしょうか。

 

― 1年から3年生まで合唱の授業を続けて、4年生ではどうしますか
 

 来年度も受講するつもりです。5月の日フィル公演のラフマニノフの歌劇『アレコ』は1月から練習がはじまっています。『イワン雷帝』に続いて、ロシア語に挑戦です。今から非常に楽しみです。

 


▲ 2019/12/14「日本フィルハーモニー交響楽団 第353回定期演奏会」合唱共演(男声1列目中央が小林さん)

 

(後記)
インタビューで小林さんは、専攻である指揮について、溢れんばかりに多くを語ってくれました。『授業紹介シリーズ「合唱」』の枠に収まりきらないので、改めて「広報課便り」で紹介したいと思います。

 
 
(広報課)