検索

よく検索される項目

【新卒業生から新1年生へ ~熱いぜ、ザ・東京音大生~】第5回 田中英純さん

田中英純さん(ピアノ演奏家コース)

新卒業生から新1年生諸君へ

 

~熱いぜ、ザ・東京音大生~

 
東京音楽大学はヨーロッパの由緒ある音楽大学と留学プログラムを設け、短期留学・交換留学を積極的に推進しています。海外での学びは視野を広げるばかりでなく、フィーリングの合う先生との出会いがその後の進路に大きな影響を与えます。田中英純さんもその中のひとり。短期留学を経て卒業後に本格的な留学へ…TCMから世界へ飛び立っていく「ザ・東京音大生」からメッセージが届きました。

 

第5回 田中英純さん(ピアノ演奏家コース)

【卒業後の進路】

海外留学(ショパン音楽大学)

【出身高校】

北海道札幌北高等学校卒業

 

― 卒業後は海外の音楽大学に進学されると聞きました。どちらですか?

 

ポーランド国立ショパン音楽大学です。4年生の秋に、東京音大の短期留学奨学金オーディションに合格して、ポーランドに1カ月間短期留学に行かせていただきました。そこで出会った先生に師事したいと思ったのが留学を決めたきっかけです。1カ月間の留学生活を体験したことで、漠然とした不安が払拭されました。
コロナウイルスの影響で渡欧を延期して今まだ日本にいますが、ポーランドでまた勉強できることを楽しみに、練習をがんばっています。

 

 

 ▲ ショパン音楽大学

 

― 田中さんはどんな大学生だったんですか?

 

演奏を磨くことに没頭した4年間でした。普通科の高校を卒業した私にとって、一日中音楽のことを考えて過ごせることがとにかく楽しくて仕方なかったんです。…その分、人付き合いをおろそかにしていたかもしれません。反省しています。

 

― 音楽に打ち込んだ4年間、思い出に残っていることは?

 

大学3年生の時にはじめて成績優秀者に選ばれ、カワイ表参道「パウゼ」でのジョイントリサイタルや、東京文化会館での「ピアノ演奏会~ピアノ演奏家コース成績優秀者による~」に出演できたことです。それまで失敗続きだったので、温かいお客さまの前で演奏できた時は本当に幸せでした。

 


 ▲ 3年生の時に、厚木裕香さん(当時学部4年)とカワイ表参道「パウゼ」でのジョイントリサイタルにて

 

― 苦節三年、苦労したことは?

 

実技の練習はもちろん、語学の勉強と読書にも苦労しました。
重要だとわかっていても、時間をかけてコツコツとやらなければならないことが苦手でした。家にいると気が散ってあまり勉強がはかどらなかったので、空きコマによく大学の図書館を利用しました。図書館の閲覧室はとても静かで集中できる上、周りにがんばっている人たちがいるので気持ちの励みになりました。
コロナウイルスが収束したら、皆さんもぜひ図書館を大いに利用してほしいと思います。今はオンラインでの勉強会なども開催されているみたいで、それもおもしろいかもしれません!

 

― おもしろかった授業は?

 

履修した授業はどれも興味深かったのですが、特に「ピアノ指導法特講」や「作品解釈」は、毎回大学の内外から違う先生が講義にいらっしゃるので、さまざまな考えや演奏に触れることができてとてもおもしろかったです。本当に豪華な先生方がいらっしゃるので、履修していない年も聴講していました。
また「古楽合奏」や「通奏低音」はフォルテピアノやチェンバロ、パイプオルガンなどの古楽器を演奏できるので、貴重な体験ができました。バロックや古典派の音楽へのイメージが深まって、それまであまり弾いてこなかったモーツァルトを受講をきっかけに好きになりました。
「ピアノ室内楽」や「ピアノデュオ」は授業の内容がすばらしいことはもちろん、共演者との出会いがその後の演奏活動につながることも多いです。自分も授業で共演した方と一緒にコンサートをやったりしています。
あとは、パソコンで楽譜が書けるようになる「マルチメディア演習」や、フライヤーのデザインや動画編集などが学べる「情報メディア」、「哲学」「憲法」「心理学」などの教養科目も視野が広がるのでおすすめです。

 

― こんなにたくさんあるんですね。キラキラして受講している姿が目に浮かびます。

 

はい、おもしろくて為になる授業が本当にたくさんあります!実技の練習とバランスをとりながら、皆さんぜひ授業もがんばってくださいね。

 

― 練習に勉学、大変まじめな学生生活だったことが伺われます。印象に残っている先生の言葉などありますか?

 

たくさんありますが、中でも特に、「作曲家や作品に対してリスペクトをもつこと」という言葉が大きかった!
それまでは、個性を出そうと我の強い演奏をしていましたが、この言葉で、作品本来の魅力を理解する大切さ、そしてそれを観客に伝えるということがいかに大事かわかるようになりました。
個性を消してしまうわけではなく、個性は無理に出そうとしなくても、作品の解釈をする中で自然と表現されるものだと考えるようになりました。まだまだですが、クラシック音楽を守って未来に伝えていけたらと思います。

 

― ところで東京音大の魅力はなんだと思いますか?

 

先生や施設のすばらしさはもちろんのこと、努力次第で誰にでも平等にチャンスがあるという校風が最大の魅力だと思います。
試験やオーディションの結果によって、コンサート出演や特別レッスン受講、留学などさまざまなチャンスが与えられます。
うまくいかないことがあっても、めげずに何度でも挑戦することで道が開けます。そして情報収集も実力の内。掲示板などをよくチェックしましょう。私も友人にいろいろ教えられ、何度も助けられました。

 


 ▲ 在学中何度も共演し、自主企画でデュオリサイタルも行った同期のチェロの山本健太郎さんと

 

― チャンスをつかむためにはチャレンジし続けることが大事ですね。新入生の皆さんへメッセージをお願いします。

 

もし好きな人ができたら皆さん勇気をもってアタックしますよね(笑)。それと同じで、やるかどうかを迷ったらなんでもやってみてください。一歩踏み出すことで世界が大きく変わることがあります。
ピアノの方には積極的にアンサンブルに挑戦してほしい。いろいろがんばってみて、そして楽しんでください!

 

― 迷わずに踏み出せ、ですね。最後に何か伝えたいことありますか?

 

コロナウイルスの影響で困っている方々のために何かできることはないかと、オンラインレッスンの仲介をする「レパートリーマッチング」という無料のオンラインサロンをオープンしました。仕事が減ってしまった音楽家とレッスンの機会を失った学習者や自宅で過ごす時間が増えた方々を結びつける活動で、ほんのわずかでも皆さんのお役に立てられたらうれしいです。

 

― すばらしい活動ですね。陰ながら応援しています。次回もどうぞお楽しみに。

 

(広報課)