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【新卒業生から新1年生へ ~熱いぜ、ザ・東京音大生~】第15回 森山拓哉さん

森山拓哉さん(打楽器)

新卒業生から新1年生諸君へ

~熱いぜ、ザ・東京音大生~

 

今年度の卒業演奏会に出演した打楽器の森山拓哉さん。アフリカをテーマにした曲を演奏されました。曲の一部に、奏者が自由に演奏する部分(アドリブ)があり、自分なりの解釈で表現したのだそう。奏者のオリジナリティが多く発揮される打楽器の世界においては、クラシックのみならず、古今東西に渡るさまざまな音楽の知見が栄養となる。森山さんのメッセージからも興味範囲の広さを感じました。
【卒業演奏会の動画はYouTube「東京音楽大学演奏会情報チャンネル」に掲載中】

 

第15回 森山拓哉さん(打楽器)

【卒業後の進路】

東京音楽大学大学院科目等履修生

【出身高校】

大阪桐蔭高等学校卒業

 

― 東京音大に進学を決めた理由を教えてください。

 

中学生の頃、大阪で東京音大と某芸術大学が吹奏楽のジョイントコンサートを行っていたことがありました。それを聴きに行って、東京音大の演奏技術の高さと勢いに圧倒され、「東京音大に進学したい!」と思いました。
東京音大の打楽器の先生方はオーケストラに精通している方が多く、卒業生にも日本だけではなく世界中のオーケストラで活躍している方がたくさんいます。「オーケストラに入りたい!」という強い願いをもっていた私にとって、将来設計を立てる意味においても、東京音大に入るのは必然的なことだったように思います。

 

― 熱き想いをもって東京音大に進学。はじめての大学生活はどんな感じでしたか?

 

私は兵庫県の田舎出身なので、まず大都会・東京という環境に慣れることに必死でした(笑)。大学進学に伴って、自分を取り巻く環境の変化に戸惑いつつも、次第に仲間や知り合いが増えていきました。今ここまで来られたのもなんだか不思議な気持ちです。
両親の気遣いもあって、学校近くのアパートに下宿しているお陰で、毎日朝から晩まで練習に没頭することができました。両親にも本当に感謝しています。

 

― まずは環境に慣れることから。ところで授業はどうでしたか?一番印象に残っている授業はなんですか?

 

音楽学でしょうか。正直な話、高校生までは、音楽の歴史についてまったく勉強せずに演奏活動をしていました。大学ではじめて音楽学を勉強したわけですが、音楽をより深くとらえることができるというか、演奏に説得力が生まれることを実感しました。その当時の社会情勢や作曲家の置かれていた環境などを勉強していくことも大切だと感じています。勉強にはいつも大変な苦労が伴いますが、近道せずにこれからもコツコツと続けていきたいと思っています。
 

― 勉強には終わりがないですね。森山さんが受講した音楽学の授業にはなにがありましたか?

 

村田千尋先生の「楽譜学」、「西洋音楽史概論I」、藤田茂先生の「管弦楽曲史」、坂崎則子先生の「オペラ史」です。
 

― 音楽学は演奏の解釈や楽曲の分析に役立つと先生方もおっしゃっていますね。ホームページで「音楽学のススメ」シリーズこちらを連載中ですので、よかったら読んでみてください。
受講してよかった授業は?

 

音楽学以外では、阿部純先生の「独唱及び合唱」です。
これらの授業は私の音楽人生をよい方向に変えていってくれた、とてもよい授業でした。

 

― いい授業に出会えてよかったですね。ほかにもありますか?

 

はい、教職課程の授業内容や講師の先生が充実していることが、入学してから気づいた東京音大の魅力のひとつです。
教職課程の授業や教育実習をとおして多くのことを学びました。思い悩んだりしたこともたくさんありましたが、国内トップクラスの教職課程の先生方の時には厳しく、時には温かい指導のおかげでやり抜くことができました。教職課程で学んだことは私にとって一生の宝です。

 

― 教職課程は毎年多くの学生が履修する本学の強みのひとつでもあります。
【興味のある方はこちら。教職採用者メッセージ】
ところで先生から言われて印象に残っている言葉はありますか?

 

数え切れないほどあります!
私が東京音大で師事した先生方おひとりひとつあげるとすれば、
菅原淳先生「全然ベートーヴェンの音じゃないわ」
久保昌一先生「時代によってフォルテの音量が異なる」
神谷百子先生「楽器という媒体をとおして自分の音楽を伝えなさい」
どの言葉も、それぞれの先生の音楽観を非常によく表しているものだと思います。とても印象に残っています。

 

― 長年の経験から出た言葉の重みがずっしり伝わってきますね。卒業後の進路は?

 

昨年3月に学部を卒業して、今大学院の科目等履修生として在籍しています。
学部時代は授業や課題、合わせ、などに追われ、自分の勉強したいことや外部の演奏会を聴きに行くことがなかなかできなかったのですが、科目等履修生になってから自分の時間が少し増えました。今は勉強したいことをトコトン深くまで追求していけるので、大変満足しています。

 

― 入学当初からの目標を目指して邁進中!森山さん、後輩たちに伝えたいことがあるとか?

 

はい、今は携帯電話やパソコンが広く普及し、インターネットでできることがかなり多くなりました。演奏動画を見たり、わからないことはネットで検索すればなんでも出てきます。
便利な世の中に見えて、実はそうではないと私は思っています。誰が書いているのかもわからないネットの情報に左右されるのはあまりよくないことだと思います。それに、どれだけ高いスピーカーを買って動画の音を聴いても、コンサートホールで聴く生の音とはまったく比べ物になりません。
東京音大にはすばらしい先生方がいらっしゃいます。その先生方が本気で演奏している姿を観に(聴き)にいこうと思いませんか?
そして、立派な付属図書館があるので、利用しようと思いませんか?楽譜もさまざまな版があるので比べてみるのもおもしろくておすすめです。

 

― やっぱり生きた音楽に触れることが一番ですね。最後に後輩たちにメッセージをお願いします。

 

自分の専門としたい音楽だけを聴くのではなく、ジャンルの異なる音楽も聴いてみてください。興味が湧けば、東京音大の第2副科のレッスンなどを受けて、実際に勉強してみるのもよい経験になると思います。
私はオーケストラに入りたいのですが、ジャズも好きなので、リック オヴァトン先生の「ジャズ・アドリブ奏法」を第2副科のレッスンで受講していました。おもしろいことに、勉強していくと、実はジャズとバロック時代の音楽に共通点があることを発見できたりして、ますます興味が湧いてきています。
自分から勉強しようと思えば、さまざまな側面から音楽を勉強できる環境を用意してくれる東京音大に入学できた皆さんは、本当に幸運だと思います。ぜひ、やりたいことをトコトン追求していってください!

 

― 知見を深めて、世界を広げていただきたいですね。これからもがんばってください!

 
(広報課)