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【在学生インタビューシリーズ】第11回 広田華奈子さん

広田華奈子さん

(指揮3年 千葉県立千葉高等学校卒業)

 

ピアノからオーケストラ、そして指揮の道へ。
「昔の私を知っている人は、今の私を見てきっとびっくりすると思います。もともと話すことが苦手で、人前に立つなんてとんでもない。最初のころはいつも、指揮台に登った瞬間に頭が真っ白になっていました。今は、緊張するものの“指揮するモード”に切り替えられるようになりました」と話すのは、指揮3年の広田華奈子さん。みんなと音楽をつくる楽しさを追求した先に指揮への道が開かれた。

 

- 音楽をはじめたきっかけを教えてください。
 
音楽をはじめたのは幼稚園の時。ヤマハのグループレッスンが最初でした。ピアノを習いはじめたのはその後ですが、とにかく練習するのが好きで、後から思えば自分でもびっくりするほど。キーボードからはじめて電子ピアノ、アップライトピアノ、そしてグランドピアノへとステップアップする度に親が買い替えてくれて。

 

- ご家族の熱狂ぶりがうかがえるエピソードですね。その後は?

 
中学に入ったころから思うように伸びなくなってしまいました。周りの上手に弾ける人たちを意識して、もっと頭を使って練習しなきゃ、とかいろいろ考えたのですが、鍵盤にひとりで向き合うことに行き詰まりのようなものを感じるようになりました。ずっと音楽大学を目指して、音楽高校への進学も考えていたのですが、迷った末に一般高校へ進学。もっと広い世界を見てみたいと思ったのです。
進んだ高校にはオーケストラ部があって、私はそこに入部してヴァイオリンを弾いていたのですが、ここでの経験が転機となりました。みんなで音楽をやる時間がとにかく楽しかった…「私はみんなで音楽をやるのが好きなんだ!」と高校3年間をとおして気がつきました。

 

- どうして指揮を目指すように?

 

高校でのオーケストラの経験に加えて、妹が合唱団員として所属する地域のオペラ団体の伴奏をしたこともきっかけとなりました。その合唱団のピアニストの先生は、ピアノ伴奏をしながら幅広い知識で歌手や合唱団員の表現力を引き出す音楽指導をされていました。それは作品の音楽のすべてを把握していなければなりません。オペラの音楽や声楽に対する知識はもちろん、語学、スコアリーディング、オーケストレーション、指揮の知識などすべて。私も将来先生のようになるためにはどうすればよいのかを考えた末に、指揮を学ぼう、という思いにいたりました。
とは言え、指揮はどういうことをするのかわからなく、不安しかありませんでした。いろいろ調べて、東京音楽大学創立111周年記念演奏会「ラ・ボエーム」を観に行き、公演直後の広上淳一先生の楽屋を訪ねて「東京音大の指揮科を受けたいんです」と言いました。
中学2年の時に、イベントに参加して、東京音大池袋キャンパスの100周年記念ホールでピアノを弾き、先生から講評をいただく機会がありました。あの頃から「なんていい大学なんだろう」と思っていましたが、入学の決め手となったのは、高校3年生の秋にオープンキャンパスに参加した時でした。ほかの大学も行ってみたのですが、東京音大の雰囲気が自分に一番しっくり来ました。指揮科でひとつ上の先輩の小林雄太さんや岡本陸さんからもその時直接話を聞くことができて、「まっすぐでイキイキしている学校。ここなら落ちついて勉強できる!」と確信して、東京音大の指揮科の受験を決心しました。

 

- 入学してからどうでしたか?

 

昔の私を知っている人は、今の私を見てきっとびっくりすると思います。もともと話すことが苦手で、人前に立つなんてとんでもない。指揮合同レッスン*では、最初のころはいつも、指揮台に登った瞬間に頭が真っ白になっていました。それも学年が上がるにつれて段々と慣れてきて、今はプロの先生方がたくさんいらっしゃる豪華な指揮合同レッスンのオケを前にすると緊張するものの、“指揮するモード”に切り替えられるようになりました。
いつも温かく、時に熱いご指導で見守ってくださっている先生方には深く感謝しております。
 
*(指揮合同レッスン)
学生有志がオーケストラを編成し、複数の指揮教員をはじめ、日本を代表するプロオケ奏者などが、時には学生オケに入りつつ特別アドヴァイザーとして多角的に指導するという本学ならではの指揮レッスン。

 

- 指揮にとって一番大事なことはなんですか?

 
この大学で指揮を3年間学んで、人間を大切にすることが指揮をする上で一番大事なことだと思うようになりました。指揮者のオーラや振り方からどういう指揮者なのかがわかります。人間を大切にする心をもっている指揮者は、たとえテクニックが少し足りなくても、いい音楽ができるような気がします。私はというと、自分だけで引っ張っていくような指揮ではなく、奏者の声をよく聴きながら方向性を決定していく、奏者と指揮者がバランスよく両立できるような指揮を目指したいと考えています。
 

- 広田さんはどんな音楽をつくりたいですか?

 
今年3月、私にとってはじめてのオーケストラを編成し、企画する演奏会「Trionfale Philharmonic Orchestra」を開催する予定でした。新型コロナウイルスにより残念ながら中止になってしまいましたが、仲間に助けてもらいながら、日程を組んだり音楽の方向性を話し合ったり練習を重ねていくなかで、たくさんの人とつながりをもつことができました。あらためて、みんなで一緒に音楽をつくる楽しさを実感しました。また同じメンバーであの演奏会を実現させたいなあと。
小学生のころ、アルド・チッコリーニというピアニストの演奏会に行って、「生きててよかった」と感じたことがありました。そのような瞬間がほかにも何回かあって、一昨年の広上先生指揮の東京音楽大学シンフォニーオーケストラ演奏会、ドゥダメル指揮のチャイコフスキー交響曲第5番など。そのような「生きててよかったと思える瞬間」を聴衆も、演奏する自分たちも感じられるような音楽を目指していきたいと思っています。
 

(広報課員のつぶやき)
とてもパワフルで頭のいい広田さん。内に秘める情熱を大事にして、これからもたくさんの仲間と一緒に感動を分かち合えるような音楽活動をしていってほしいと思います。応援しています。ありがとうございました。