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【在学生インタビューシリーズ】第18回 早坂眞子さんを掲載しました

早坂眞子さん

(ピアノ演奏家コース3年 東京音楽大学付属高等学校卒業)

  

早坂さんは、高校3先生の時に、音楽史上初の左手のピアノ国際コンクールとなる第1回ウィトゲンシュタイン記念左手のピアノ国際コンクールで第3位を受賞。高校時代に右手に局所性ジストニアを発症し、なお音楽に対して情熱をもち続けた。未曾有のコロナ禍において、自分のペースでがんばろうと後輩たちにエールを送ってくれました。

 
- 早坂さんの子ども時代から聞かせてください。音楽をはじめたのはいつですか?
 

ピアノをはじめたのは幼稚園の時でした。お遊びのような感じで母が習わせてくれました。ピアノを習う前から、ヤマハの音楽教室にも通わせてくれて、そこでは勝⼿に踊り出したり。⾔うことを聞かなかったそうですが、まったく記憶にありません(笑)。 

 

- それからずっとピアノを続けたんですか?
 

はい。中学2年の頃、伸び悩んでいた時もありましたが、ちょうどその頃に恩師の鷲⾒加寿⼦先⽣に出会いました。先⽣が東京⾳⼤におられたので、仙台から上京して東京⾳⼤付属⾼校の受験をしようと決心しました。⾼校受験のために仙台から新幹線で東京にある東京⾳⼤付属⾳楽教室に週1で通いました。
 

- 鷲見先生との出会いがピアノを続ける原動力となったんですね。どんな先生ですか?
 

スクエア型のメガネから丸メガネに変えてはじめてレッスンに⾏った時、「メガネ変えた?おもしろいわね」と⾔われました。それが“ツボ”にはまり、今でもよく覚えています。とってもユーモアがあって、チャーミングな先⽣です。レッスンは大変勉強になり、自分のできなさに泣きたくなることはしょっちゅうですが、愛のあるご指導に懸命にくらいついています。

 

- ほっこりしますね。高校での様子を教えてください。
 

友だちと“バカ騒ぎ”する日々のなか、⾳楽においては常に新しい発⾒の連続でした。レッスン室に⼊るタイミング、報告することの⼤切さ、奏法のみならず礼儀作法も一から学びました。わからないことだらけで、先輩からいろいろ教わりました。付属高校の先輩⽅は、いつもエネルギッシュに輝いていて、私の憧れでした。

 

- そして大学に進学。大学での学びはどうですか?

 

私は⼦どもの頃から、授業をきちんと受けて、テストでそこそこいい点数を取ることが勉強の目標だと思っていました。そのために、試験に向けてやみくもに“がんばる””⾏動する“を繰り返していました。しかし、⼤学で学んだのは、大学生にとって大事なことは、限られた時間のなかでいかに自主的に上手に⾏動するかということ。「試験に向けてピアノの練習をがんばる」だけではそこから先へ進めないのだということを実感しました。今では、実技試験前だからといって特別な練習をしたりしません。高校時代からの経験も踏まえて、⾳楽を学ぶとはどういうことかを学んだことのひとつです。
 

- 学ぶ姿勢に変化があったのですね?
 

はい、レッスンでは常に学びの連続です。教えていただく内容はもちろんのこと、毎回のレッスンを違うコンディションで受講するので、満足のいく演奏ができない日もあります。そういう時は、「体調の悪い⽇でも、最低限このくらいは弾ける」とか、「⾬の⽇は本当に無理」とか、⼩さな気づきが得られます。それらが積もることで、自分の演奏の糧になっていくのを実感できます。 
 

- 学びにムダはないということですね。ところで東京音大の魅力はなんですか?
 

親⾝になって学生に寄り添ってくださる先⽣がたくさんいらっしゃるところだと思います。
私は、左⼿のピアノをやっているのですが、先⽣⽅や周りの友だちは、それに対して腫れ物扱いすることなく、ほかの人と同じように接してくださります。また、初見法など両⼿を使ってピアノを弾く授業で若⼲⽀障が出る時は、右⼿の動きが少ない曲を当てたり配慮してくださります。とても恵まれた環境です。
左手のピアノをはじめ、多くの⼈を癒すさまざまなタイプの⾳楽をこの東京⾳⼤でこれからもっと⾝近に学べる環境ができればいいなと思います。

 

- はい。左手のピアノ音楽はもともと第一次世界大戦で右腕を失った人たちが発展させた音楽で、「どんな状況下でも音楽をやりたい」という強い思いのなかで数千という曲が作られたそうですね。ところで、昨年より続く新型コロナウイルスにより思うように音楽活動ができない方も多くいらっしゃるかと思いますが、早坂さんはどんな風に過ごしていますか?
 

今思うと、2020年4⽉から秋にかけて、⼼が崩壊⼨前ではっきりとした記憶がありません。⾃分は、コロナ禍だから通常ではできないことをしよう、と前向きにはなれなかったので、ピアノに触ることすらおっくうな時期もありました。そういう時は、素直になにもしないで、“がんばらないこと”をがんばりました。
秋からはすこしずつ状況に順応することができるようになり、以前制作したCDを通信販売したり、⾃分のできる範囲内で⾏動を起こすようにしています。
2020年2⽉17⽇に⾏った、初ソロコンサートを収めたCD『Mako HAYASAKA 2018-2019 Departure』発売もはじめました。詳しくはこちら → https://hayasaka-hidarite.jimdofree.com/

 
- できることから行動を起こしていけるといいですね。最後に後輩たちへメッセージをお願いします。
 

コロナ禍という経験したことのない環境下で、⾃分の意志をもって⾏動を起こすことはとても⾏動⼒と勇気がいることです。周りの⼈が活躍して⾒えたり、⾃分がなにもしていないように感じても、それは仕方のないこと。まずは⾃分のできる範囲内で行動してみて、⼼に余裕ができたら、次は⾃分ができる範囲よりもその先へ、少しずつなりたい⾃分へ近づいていきましょう。私も⾃分のペースでがんばります。

 
- 無理せずに、でも状況にくじけずに少しずつなりたい自分へ。貴重なお話をありがとうございました。応援しています。
 
 
(広報課)