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【在学生インタビューシリーズ】第1回 菅野桃香さん

菅野 桃香さん

(器楽専攻フルート3年、福島県立磐城桜が丘高等学校卒業)

第56回芸術祭実行委員長

 

音大生ならではの芸術性・創造性が自由に表現される「芸術祭」が、中目黒・代官山キャンパスで行われました。学生主体で企画・運営される活気あふれる行事のひとつとして、学生それぞれが心に抱く音楽への想いから、今年も独自性に富んださまざまなプログラムが企画されました。一切の運営を執り仕切るのは、1~3年生の学生約100名で組織される芸術祭実行委員会のみなさんです。スムーズな開催のために1年間かけて学内外関係者など多くの人とかかわりながら一大イベントを作り上げる経験は、よき思い出となるばかりでなく、実社会で必要となる能力も自然と身につきます。
今年第56回芸術祭実行委員長を務めた菅野桃香さんに話を聞きました。

 
 

■ 芸術祭ロス

 

1年生から3年連続で芸術祭実行委員をやらせていただきました。毎年終わった後に思うのは、委員のみんなが「芸術祭ロス」状態になることです。特に3年生。4年生は芸術祭委員になれないのです。頭ではわかっていましたが、本当に終わってみると、SNSでみんなの写真を振りかえってばかりしている自分たちがいます。すてきな青春の日々を経験できたことを考えても、この大学に入学して本当によかったと思います。表面上は大変さしか見えませんが、大変さゆえの達成感や満足感、人との絆の深まりを思えば、すべての苦労が報われて余りある経験でした。

 
 

■ イヤイヤ引き受けた実行委員

 

私は、1年生の時に先輩から芸術祭実行委員に誘われて、正直なところ、ほかにやる人がいないからイヤイヤ引き受けました。練習時間が削られることを思えば、私と同じ心境の人も多かったと思います。1年生の時はイベント係を担当して、右も左もわからない分、怖いもの知らず。楽しみました。その直後です。2年生で副委員長をやらないかと先輩から言われた時は困惑しました。なぜならば、副委員長になったら3年生では自動的に委員長に昇格するポジション。つまり新キャンパスに移って最初の年に委員長になることが決まってしまうから。これまでに培った運営マニュアルが通用しない、どう考えても大変、逃げたいと泣き喚きました。

 
 

■ 課題は山積み。何度も討論を重ねた

 

思い出しても苦労は数え切れません。最大の苦難は開催地選びでした。毎年芸術祭を楽しみに来てくださる池袋地域の方々にも引き続き応援していただきたいし、開校したばかりの中目黒・代官山キャンパス地域の方々にも楽しんでいただきたい。池袋でなら、設備環境も問題なく、すんなり進められたと思います。

 

一方で新キャンパスでとなると、マニュアルもなければ、電気系統の増強をはじめとした設備関係や、周辺住民に事前にご理解を求めることなど、クリアしなければならない課題が山積みなのが見えていました。委員会を何度も開き、「やりやすさではなく、今一番やるべきことは何なのか」を突き詰める討論を重ねました。結果、新キャンパスで開催することを決めました。委員会全員で出した結論です。
例年J館スタジオが満席になるオペラ「ダ・カーポ」のみ池袋にして、ほかのプログラムはすべて中目黒・代官山で行うことに。発表は夏休み明け。決まるまで本当に時間がかかりました。

 
 

■ 人と人とのつながりの中で実現していくイベント

 

新しいことをするためには、原動力、行動力、そしてそれを周囲に示していくことが非常に大事だと感じました。協力をいただくために時間があれば何度も何度も、自分たちのやりたいことと理由を説明して回りました。学生支援課、施設課をはじめ教職員の方々には本当にたくさんのご協力と応援をいただきました。それが伝わってきて暖かい気持ちになりました。

 

また芸術祭は委員だけではできない、学校の隅から隅まで人と人とのつながりの中で実現していくイベントだということを肌で感じました。開会宣言で「各方面から多大なるご協力をいただき開催することができました」とさらりと言いましたが、あれが本当に一番言いたかったことです。

 

トラブルがあればすぐに対策を打つ。また、少々強引でも、一度委員会で決まったルールは、心を鬼にして徹底的に守らせるようにしました。真剣な分、ピリピリすることもありましたが、だれも途中で立ち止まることがありませんでした。楽しい時はすごく楽しくできて、みんなで建設的な意見の出し合いを続けました。部署長の責任感は私同等に大きかったと思います。委員、委員長になると仕事に対して取り組む姿勢が自ずと変わるのがわかります。

 

準備期間に入ったら本番までの毎日、朝集合してみっちりの日々になりますが、不思議と本番が近づくに連れ、終わってほしくないと思うようになるんです。やっぱり楽しいから続けられるのだと思います。

 
 

■ もっとたくさんの学生たちに実行委員になってもらって、芸術祭を盛り上げていってほしい

 

芸術祭実行委員は新入生ガイダンスでも呼びかけします。コンサート、イベント、SR、模擬店、造形、渉外、編集、会計……、たくさんの部署があって約100名のスタッフで運営します。これまでスタッフは管打楽器の学生が中心のことが多かったですが、今年は他専攻からもたくさん参加してもらえたことがうれしかった。もっともっとたくさんの学生たちに芸術祭実行委員になってもらって、芸術祭を一緒に盛り上げていってほしいです。

 

委員長と副委員長の役割分担がうまくできたと思います。私は人と話したり思ったことを表現するのが好きです。副委員長の山田真陽くんは頭の回転がはやくチームをまとめるのが上手です。その彼が来年委員長になります。先輩が私を応援してくださったように、私もしっかりと彼を陰で応援したいと思います。芸術祭には、私の両親と姉が福島から遊びに来てくれました。いつも暖かく見守ってくれる家族にも心から感謝しています。

 
 

■ 自分の殻を一枚やぶって、人とつながる暖かみを感じてほしい

 

みんなで力を合わせて何かを成し遂げる経験はかけがえのないものです。音大に入学したみなさんは自分のしたいことが叶って、すでに幸せなはずですが、もうひとつ殻をはずして仲間となにかと作り上げ、人とつながる暖かみを感じれば、“この大学に入って本当によかった”と改めて実感すると思います。どうしてこの大学に入ったのかと迷うような瞬間があったら、芸術祭実行委員に手を挙げてみてください。芸術祭は人とのつながりを感じられる、人とのつながりをもてるすてきなイベントですよ。

 

▲第56回芸術祭実行委員のみなさん

 
 

(広報課)