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【コンクール受賞者インタビューシリーズ】第10回 福田ひろみさん

福田ひろみさん

(指揮特別アドヴァイザー 2016年大学卒業、2018年大学院修了 兵庫県立御影高等学校卒業)

イザイ国際音楽コンクール 第2位

 

「いくつものコンクールでのチャレンジを経て、今が一番弾くことを楽しんでいます」

 

福田ひろみさんが第85回日本音楽コンクールで第3位を受賞したのは大学院1年の時、6回目の挑戦でした。卒業後もコンクールへの挑戦を続けています。「コンクールでステップアップする度に、自分の殻を破って新しい表現ができていく」と実感できるのだそうです。高みをめざして自己鍛錬を怠らない福田さんのチャレンジが続きます。

 

■ 6回目の日本音楽コンクールで第3位

 

3歳の時に母に楽器をやってみたい?と聞かれました。「やってみたい!」と答え、スズキメソードの見学に行き、講師の方のヴァイオリンを弾く姿に憧れて、ヴァイオリンをはじめました。本格的に音楽大学を目指すきっかけとなったのは、小学校6年の時、第59回全日本学生音楽コンクール大阪大会で第1位を受賞したことです。高校は普通科でしたが、原田幸一郎先生に導かれて東京音楽大学に入学しました。
大学4年間は優しい友人たちに囲まれ、練習室やすばらしいホールなど恵まれた環境の中で練習に打ち込みました。しかし、コンクールではあまり結果が出ずに苦しみました。「日本音楽コンクール」には高校時代から5回挑戦しましたが、最終予選での落選が続いていつも悔しい結果に終わってしまっていました。大学院1年の時に原田先生から「短所も長所になる。自分が想う音楽、自分にしかできない音楽を」と背中を押され、最後にしようと決めてチャレンジし、第3位をいただきました。やっとの受賞でとてもうれしかったのを覚えています。それがひとつの転機になり、自分はこれからどういう音楽を目指して演奏をしていきたいか、どういった道に進みたいかを真剣に探求する日々がはじまりました。

 

■ 今回の「イザイ国際音楽コンクール」での受賞

 

「イザイ国際音楽コンクール」にエントリーしたのは、さらなる高みを目指すための挑戦でした。1年前、私にとってはじめての国際コンクールとなる「ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール」にチャレンジをしましたが、準備不足もあり残念ながら受賞できませんでした。多くの国際コンクールは受けられる年齢に上限があるので、今年こそはという気持ちで今回臨みました。
このコンクールはベルギーのリエージュで開催されます。前回の優勝者がその後に大きな国際コンクールで入賞したことから、注目度が高く、私の他にも受けている日本人の方が何名かいました。課題曲はイザイはもちろん、バッハやパガニーニなど誰もがやるメジャーな曲が多く、前回の反省も振り返りながらよく準備をしました。コンクール期間は10日間でしたが、練習に集中できる環境でした。結果は第2位。国際コンクールで入賞したのは今回がはじめてだったので、大きな自信になりました。また、今回のコンクールで諦めずに挑戦を続けることの大切さを、あらためて感じました。

 
■ 演奏が変わったね、と言われます

 
最近、「学生の時と演奏が全然違う」とよく言われます。私は学生時代よりも今のほうが表現したい音楽を素直に外に出せ、演奏できていると感じています。振り返ると、学生時代は原田先生から教わったことを頭で理解はできても、音に表せなかった部分がありました。今は、このようなコンクールでの挑戦をとおして、先生から受けた指導を思い出し、咀嚼することで自分のものとして表現できるようになりました。卒業すると学生時代のありがたみがわかります。今は毎週のようにレッスンがあるわけでもなく、演奏や音楽について自分ひとりで考えなければならないことが多いです。その結果、自分の表現したい音楽はどういったものなのかをよく考えて、具体的に演奏で実践できるようになったのだと思います。コンクールでの入賞も大きな自信につながり、今は弾くことがとにかく楽しいです。そういった流れのなかで結果を残せたので、今後も国際コンクールに挑戦していきたいなと思っています。

 
■ 卒業後のいろいろな経験をとおして

 
現在、指揮専攻の特別アドヴァイザーとして学生の指導に携わっています。指揮の学生が学生有志のオーケストラで指揮を振り、プロフェッショナルのオーケストラプレイヤーの講師陣がアドヴァイスをする「合同レッスン」の現場は、特に多くの「気付き」があります。先生からの問いかけに対して考え、指揮をし、成長していく学生たちの姿はこちらも勉強になりますし、あらためて音楽について深く考える機会になっています。
また、高嶋ちさ子さんの12人のヴァイオリニストの活動もしていますが、多くの方々に音楽を届け、聴いてくださる方に音楽の楽しさやすばらしさを伝えることの大切さを学びました。これからもクラシックを核として、いろいろなことにチャレンジしていきたいです。
これから受験されるみなさまには、より高みを目指して挑戦し続けていただきたいと思います。東京音楽大学はがんばった人に必ずチャンスが与えられる大学だと思います。マスタークラスやコンサートの機会がたくさんあるのも魅力です。コンクールに挑戦する際はみんなが応援してくれるなどバックアップ体制が強力です。私は地方から進学したので寮に入っていましたが、試験前はお互いにノートを貸し借りしたり、苦手科目は得意な子に教えてもらったり、助け合って生活していました。アットホームな環境でした。
受験の時期は曲の難しさや技術のことで壁にぶつかることもあると思いますが、それを乗り越えた先に真の音楽の楽しさがあります。私も指導者として小さな子どもたちに楽器を教えながら、もっとヴァイオリンを弾く後輩が増えたらいいなと心から感じています。あきらめずに一緒に夢に向かってがんばりましょう。

 

(広報課)