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【在学生インタビューシリーズ】第7回 坂田優咲さん

坂田優咲さん

(ホルン3年 筑波大学附属視覚特別支援学校卒業)

~ 学生でいられる時間はすごく貴重。興味あることはなんでも挑戦したい ~

 

2020年1月26日、君津市民文化ホールは熱気に包まれた。年に1回開催される市民のためのコンサートでオーケストラを指揮し会場に感動を与えたのは坂田優咲さん(ホルン3年)。本学初の点字受験で入学した。「興味あることはなんでも挑戦したい」。専攻のホルンのみならず、指揮や教職課程などにも意欲満々。ひとり暮らしにひとり旅、演奏会の企画・運営も精力的にこなす。大学生活を満喫するパワフルな坂田さんにインタビューしました。

 
 

-東京音楽大学を目指した動機を教えてください。

 

音楽に興味をもちはじめたのは幼稚園の時。ずっと鍵盤ハーモニカで遊んでいたそうです。子どものころから人一倍音楽が好きでした。ピアノ、吹奏楽、軽音楽などを経験して、真剣に音大に進学しようと決心したのは高校1年生の時でした。今こうやって音楽を続けている理由にもなっていますが、中学1年の時にホルンではじめて合奏した時にすごく感動した記憶が忘れられず、そのような経験をたくさんの子どもたちにさせてあげたい。もともと勉強と教えることが好きで、音楽大学に行って教員になりたいと思うようになりました。

 

いろいろな大学の情報収集をして、東京音楽大学のホームページを見て、教職課程をはじめカリキュラムが大変充実していて、さらに自由で活発な校風が自分に一番合っていると感じました。オープンキャンパスや講習会に参加して、学校の雰囲気を自分で実際に確かめ、ホルンのレッスンだけではなく、「室内楽」や「吹奏楽」、「オーケストラ」の授業も何回か見学しました。先輩たちの演奏にただただ圧倒されましたね。この大学なら充実したキャンパスライフを送れると確信しました。

 

池袋キャンパスは少し入り組んだ場所にあるので、ひとりでたどり着くのがちょっと難しいかなと不安でしたが、「入学後はひとりで通うことになるんだ」と通学の予行練習のつもりで受験講習会に、そして入学試験は全日程ひとりで参加しました。

 
 

-坂田さんは本学ではじめての点字受験者でしたね。

 

僕がこの大学ではじめての点字受験者だったので、受験前にはいろいろと不安はありました。「全力を尽くしてやるだけのことはやった、もしダメならこれが自分の実力」と覚悟を決めていました。学生支援課をはじめ大学からの手厚いサポートに支えられ、無事入学試験を終え、念願叶って入学できました。

 
 

-晴れて入学、大学生活はどうですか?

 

学生でいられる時間はすごく貴重だと思っています。だから、僕は興味があることはなんでも挑戦したい、できるだけたくさんのことを経験したい。高校時代の寮生活の経験を生かして、入学と同時にひとり暮らしをはじめました。去年の夏には名古屋、大阪、京都の3か所でお目当てのコンサートを巡る3泊4日のひとり旅もしました。学校ではこれまでの3年間、レッスン、授業を目いっぱい履修してきました。テストを受けるのも大変ですが、全部「自分のため」と思って、来年度もできるだけたくさんの授業を取りたいと思っています。東京音楽大学の先生はすごく丁寧に教えてくださるので、どの授業も履修してよかったととても満足しています。
特に管打楽器は団体で動くことが多いので横と縦のつながりがとても大切。いい仲間たちにも恵まれ、いつもたくさん助けてもらっています。

 


(学生有志の111(トリプルワン)オーケストラで演奏する坂田さん)

 

ホルンのレッスンは高校3年次から勝俣泰先生に習っていて、毎回充実した時間です。今は実技試験が先日終わったばかりで、ほっとひと息ついているところ。ですが、まもなく出身高校で開かれるシンポジウムでの特別演奏をはじめ、E.カニングハム記念(一般社団法人)青少年音楽協会80周年記念レセプションでの演奏など、いくつかのソロ演奏の機会をいただいていて、譜読みと練習をしっかりがんばっていかないと、と思っています。

 

去年、指揮にもはじめてチャレンジしました。そして指導してくださった坂本和彦先生のご縁で、今回オーケストラを指揮する機会をいただきました。

 
 

-はじめてオーケストラを指揮してどうでしたか?

 

はじめてオーケストラの指揮台に立つので、本番前はとても緊張しました。しかしいざ本番がはじまるとすごく楽しかったです。オーケストラのメンバーはよくついてきてくれました。腕は疲れましたが、あの感動というか感覚は一生忘れられないと思います。演奏会終了後のレセプションでは君津市教育委員会や合唱団の方々ともお話ができました。たくさんの方に「感動した」と言われ、とてもうれしかったです。

 


(千葉県君津市「きみつ 水と緑のコンサート」でシベリウス交響詩『フィンランディア』Op.26をはじめて指揮した坂田さん)

 

3年生の春から第2副科として坂本先生に指揮の個人レッスンを見ていただいて、それまでは音楽は指揮者がつくるものだと思っていたのですが、「主役はあくまで演奏者であって、指揮者は演奏者をサポートする役割」だと坂本先生から教えられました。先生の言葉の一つひとつが心に刺さると言いますか、すべてが新鮮で毎回感動でいっぱいになります。指揮レッスンは来年度以降も続けていきたいです。

 
 

-いよいよ4月から4年生、大学最後の年ですね。

 

はい、早いもので4月からいよいよ最後の年。教員採用試験があります。新年度には、まず新入生歓迎会で自分ではじめて作曲したホルン五重奏を演奏します。その後、いろいろな演奏会に加え、卒業試験とホルン科のアンサンブル演奏会もあります。忙しくてすごく濃い一年間になると思います。

 
 

-演奏団体も立ち上げているそうですね。どんな活動をしていますか?

 

出身高校の盲学校の仲間たちを中心とした音楽演奏団体「Dominant」を立ち上げ、半年に1回、公演を行っています。メンバーは盲学校の卒業生たちで、全員視覚障がい者です。高校の時から人を集めて演奏会を企画、プロデュースする活動をしてきました。演奏会は毎回ひとつのテーマに絞って、そのテーマに合ったメンバーに出演依頼をします。連絡を取り合うのは大変ですが、楽しいです。運営だけではなく、演奏ももちろんします。ちなみに第4回の公演は、3月29日にひびきホール(豊島区)で声楽をテーマにしたものです。今回自分はホルンを封印して、合唱のメンバーとして出演します。

 

企画する際にいつも心がけていることは、「お客さまファースト」です。自己満足ではなく、実際来ていただいたお客さまに、次はどういう演奏会を聴きたいか直接話を伺って、会場もお客さまが来やすい場所を選んでいます。テーマから曲目まで楽しんでもらうことを第一に考えています。

 

これまでのテーマは、第1回は「ロミオとジュリエット」をはじめとするシェイクスピアの作品に影響された作曲家に焦点をあてたもの、第2回は木管アンサンブル、第3回は声楽と管弦楽の室内楽、第4回は声楽をメインとした演奏会で、今年夏に開催する第5回は邦楽と西洋楽器のコラボレーションを考えています。ちなみに今第5回の会場巡りをいろいろしているところで、事前に調べていくつかの候補をしぼった上で実際に行ってみて、ホールスタッフに話を聞いて決めていくという段取りです。

 
 

-レッスン、授業、教職課程、オーケストラ活動…本当に忙しそうですね。1日の睡眠時間はどれくらいですか?

 

忙しい時期は、1日だいたい3時間くらいのことが多いですね。
僕の場合、普通の人が最低限やるべきことを終えてから暗譜をはじめないといけないので、人より時間がかかります。午前0時を過ぎたあたりから暗譜のための練習に取り掛かる日もあります。授業がない唯一の休日のはずの日曜日にも、家庭教師のアルバイトをしたり、「Dominant」の企画運営に充てたりするので、休みはほとんどありません。今もちょっと眠いです。でも楽しいから続けられます。かつて陸上部に所属して、短距離、跳躍の種目で国体に出場し優勝した経験があるんです。肉を食べるのも好きなので、体力はある方だと思います。

 
 

-では最後に、後輩たちにメッセージを。

 

音楽大学を目指すみなさんは、それぞれ本当に好きなことを見つけて、それを一所懸命やりとおしてほしい。やっているうちに芽がきっと出てくると思います。人と違うものがひとつあれば生きていけるのではないでしょうか。

 
 
(広報課)