東京音楽大学は2018年に創立111周年を迎えました。2017年4月に世界で活躍できる人材の育成を目指して、「音楽・教養・英語」を融合型カリキュラムで学べる「ミュージック・リベラルアーツ専攻」を開設、2019年4月に吹奏楽に関するすべての知識を体系的に学べる「吹奏楽アカデミー専攻」を新設し、教育研究のさらなる充実を図っています。また同4月に中目黒・代官山キャンパスを開校し、最先端のデジタル技術を駆使して、新しい音楽大学の形を世界に向けて積極的に発信していきます。とどまることのない進化を推し進めるべく、2017年5月から2020年3月までの3年間にわたり、TCMは「創立111周年記念事業」としてさまざまな事業を展開しました。
創立112周年にあたる2019年4月に桜の名所・目黒川からほど近くの、緑豊かな好立地に「中目黒・代官山キャンパス」が開校しました。最新のデジタル技術を駆使した録音・録画スタジオや、用途に合わせた大中小のレッスン室、クリエイティブラボやレストラン風のカフェも併設。池袋と中目黒・代官山、2つのキャンパスでクラシック音楽を中核とした教養・英語・IT技術を融合した教育を実現し、学生が希望する分野に進み、そこで活躍できる能力を身につけるように、全学を挙げてサポート。2つのキャンパスでの学びが学生の感性を刺激し、豊かな音楽の創造につながることを目指します。
TCM ホール
数422席、最先端の録音・映像収録設備を有するホール。TCMが開催するコンサート等は地域に開かれています。壁・天井の形により様々な方向からバランスよく反射音が届き、音に包まれる空間となります。積層された帯で柔らかに包まれる様な内装デザインにより、視覚的にも包まれ感のある空間です。舞台に近い席を多く設ける座席配置により、迫力ある音を観客に届けると共に演奏者と観客の一体感を高めます。大空間の大きな壁や天井を心地良いスケールでデザインすることで、落ち着いた鑑賞空間となっています。
TCMスタジオ
7.1chサラウンドの音響システム、4K対応の映像収録といった最新鋭の録音・録画スタジオ。スタジオ内には、コントロールルームを囲むように楽器ごとのブースが配置され、収録した映像や音源はアーカイブや配信によって随時閲覧可能になります。音楽のエキスパートとして録音・録画の技術を学び、学生自らが発信するスキルを身につけていきます。全専攻の学生が音楽製作技術を習得する講座の開講も検討中です。
クリエイティブラボ
TCMは音楽はもちろん、異文化やビジネスなどを体験し、それを担う人々と交流することで、学生が新しい知見を身につけることができる新しいスペースを用意しました。他大学や世界の人々とのコラボレーションをとおして多様な挑戦が生まれることを期待しています。
練習室・教室
使用用途に合わせた大中小のレッスン室や練習室の他に、オーケストラ、吹奏楽などの合奏授業専用の特大教室があります。練習室数は池袋キャンパスと合わせて2倍以上に。音楽を研鑽する場がこれまで以上に広がり、より良い環境を実現しました。
レッスン室
最適な音響を実現するために壁や天井の形、素材を厳選し、オリジナルの吸音パネルのデザインとしています。
みどりの鎌倉街道
この「みどりの鎌倉街道」は、都市緑化機構/第一生命財団が主催する第28回緑の環境プラン大賞特別企画「おもてなしの庭」部門の大賞を受賞しました。
新キャンパス西側の目切坂が源頼朝の開いた幕府へ通じる鎌倉街道であったことと、かつてこの地が武蔵野の森だったことのふたつの歴史に着目し、キャンパス内に中目黒と代官山を結ぶ緑豊かな「みどりの鎌倉街道」を蘇らせました。
オーケストラ広場
キャンパスの中心に位置し、武蔵の森を再生した「音楽の森」がある静かな広場です。ここは、学生たちの憩いの場であるとともに、地域との交流が生まれる場でもあります。
TCMは公式ロゴを制定し、2017 年8月より使用しています。これは、本年5月に創立110周年を迎えたことを機に、本学の未来、次の100年に向けたメッセージのシンボルとして制定したものです。
東京音楽大学の英文略式表記である、「TCM」をベースにデザインしたコーポレートロゴは、「Tokyo=東京、College=大学、Music=音楽が、重なり合い、融合し、共鳴していく様」を表現したもの。本学が、音楽芸術のみならず、「様ざまな分野との垣根を払拭して多様性を許容」し、「現代社会と共存共栄」し、「培われた伝統を忘れることなく、新しい変化を迎え入れ」、「時代と共に進化成長していく」ことを宣誓し、「音楽への尽きることない探求と研鑚を通じて、未来の新しい価値を創造し続けていく決意」を表現しています。
これまでの東京音楽大学では、統一・体系化された、ビジュアルコミュニケーション活動をなかなか図ってこられませんでしたが、今後はルールに従ってあらゆるコミュニケーション活動において使用し、幅広く積極的に普及を推進することで、本学のアイデンティティをより確固にするものと期待しています。
東京音楽大学は、1907年の開学以来、建学の精神である「音楽を通して広く社会に貢献できる人材の育成」を目標に、演奏活動を通じて海外協定機関等との緊密で多様な音楽文化の交流を育みながら、演奏力を安定的に発展、成熟させるとともに、教育研究の世界展開に多くの成果を挙げてきました。
本学は、急速な技術革新やグローバル化が進展する現代社会にあって、伝統を継承しつつ、常に新たな教育と研究の道を模索してきました。2017年4月には、音楽を柱に、教養と英語の能力も身につけて世界のあらゆる分野で活躍できる人材を育成する「ミュージック・リベラルアーツ専攻」を開設し、2019年4月には、新たに「中目黒・代官山キャンパス」を開校するとともに、「吹奏楽アカデミー専攻」を開設するなど、教育研究の質の飛躍的向上と充実に取り組んで参ります。
新しい時代に向けて音楽文化を創造し、音楽により、また音楽を通して、急激に変化する社会の様々な要請や期待に応えていくことを目指して、「東京音楽大学ビジョン」を定めました。