検索

よく検索される項目

2021.03.05

【在学生インタビューシリーズ】第14回 髙橋茉椰さんを掲載しました

髙橋茉椰さん

(大学院修士課程声楽専攻オペラ研究領域1年 札幌市立旭丘高等学校卒業)

  

中学では放課後は毎日のようにカラオケに行ってアニメソングを熱唱していた高橋さん。高校から合唱を通じてクラシックに目覚め、のめり込んだ。大学卒業後はさらに大学院に進学し、幅広いジャンルを学んで音楽の楽しさを伝えられるように歌いつづけていきたいと話す。聴く人を楽しませる音楽を心がけるようになったのは、大学時代に出演したある演奏会が原点となったそうです。

 
- 歌をはじめたきっかけを教えてください。
 

もの心がついた頃から「おかあさんといっしょ」を観て踊ったり歌ったり。楽譜を読めるようになりたくてピアノを習いはじめたのですが、レッスンのなかで歌う時間があり、そちらの方が楽しくなって。ピアノを止めて、ヤマハ音楽教室のボイストレーニングのレッスンに通うようになったのは、小学校5年生の頃でした。
 

 

中学時代は、毎日のようにカラオケに行ってアニソンなどを歌っていました。学校が終わると私服に着替えてひとりでカラオケへ。それが日課で、3、4時間はあっという間でしたね。

 

- 歌うのが好きなんですね。その後は?
 

進学した市立旭丘高校は約100名の部員を誇る合唱部が有名で、全日本合唱コンクールやNHK全国学校音楽コンクールに毎年名を連ねる実力校。東京音大にいらっしゃる川原敦子先生もそこでボイストレーニングを指導されていました。
高校1年の終わり頃に、フィレンツェとの交流演奏会でイタリアに行き、サンピエトロ大聖堂で聖歌隊として讃美歌を歌う機会がありました。それからというもの、もうクラシック音楽にどっぷり。部活が終わっても帰らず、いつも最後までひとりで自主練に明け暮れていました。

 

- アニソンよりクラシックを歌うようになったんですね?
 

はい。人々の気持ちに深く寄り添うクラシックの魅力にのめり込みました。
 

- それで音大を目指すように?
 

もともと音楽大学というのが頭のなかになかったんです。高校2年の冬になっても進路をなかなか決められずに悩んでいた私に、部活の顧問の先生に音楽大学に行ってはどうかと勧められました。担任の先生には最初は反対されましたが、音大に行くと決心してからは応援してくださり、放課後はピアノの特訓までしていただきました。川原先生や東京音大に進学した高校の先輩の影響で、東京音大以外の音楽大学は考えられなかったですね。

 

- では大学生活について教えてください。役に立った授業は?

 

「舞台基礎演技法」です。オペラの基礎を習うのですが、なにもかもがはじめて。舞台での所作も一からです。相手との掛け合いなど表現の上で大切なことなどを、声楽の先生だけでなく、マエストロ、コレペティトールの先生、演出の先生方などからいろんな視点でアドヴァイスをいただきました。
 

 
ザルツブルク・モーツァルテウム大学教授のカロリーネ・グルーバー先生の公開レッスンを受講して、演技に対する姿勢を長い時間ご指導いただいたのも強く印象に残っています。
「ただきれいに歌っているだけではだめ。どんな思いで歌っているのかが見えないと」
「感情が先に動くから歌が出てくるんでしょう?」
「こう見せようではなく、心を静かにした時に自分の中から出てくるもの、それをどんどん引き出してね」
レッスンが終わって、号泣。それまで理屈で考えていたことがすーっと透明になって、考えずに自然に演技できた瞬間でした。
 

 
- 中からなにかが変化したのでしょうか?
 

釜洞祐子先生がその公開レッスンを見てくださって、「あなたの中から湧き上がってくる演劇性に人を惹きつけるものがありました。これは天から与えられたあなたの血の中にあるものです。大切に育ててください」とメールを送ってくださったんです。行き詰まりを感じていた時期なだけに「もっとがんばって勉強したい!」とまたまた号泣でした。

 

- こちらまでうるうるしてきます。大学で特にがんばったことは?
 

外部での演奏会も含め、できるだけ本番を数多く、そして思いっきり取り組むことを心がけました。小学校で読み聞かせコンサート、老人ホームでクリスマスコンサート、寮生コンサート、卒寮公演ではさまざまなアンサンブルを…。本番前はいつも緊張して落ちつかないのですが、乗り越えることで自分のやりたい演奏がだんだんとわかってきたような気がします。
 

▲ 芸術祭で「動物の謝肉祭」の絵本を曲に合わせて読み聞かせ
 
- 具体的に言うと?
 

観客の層に合わせて馴染みのある曲をプログラムに入れたり、楽しんでもらえるための構成や歌い方を考えたり。

 

- そういう企画はいつも誰と一緒に?
 

寮の仲間たちとはよく。他の楽器や伴奏の子もみんな寮で仲よくなりました。毎晩お互いの部屋に行ったり、実技試験が終わった日の夜行バスでUSJに行ったり(笑)。ルームメイトにも本当に恵まれました。寮生歌もいい歌なんです。

 

- 本当に仲がいいんですね。(大人気の寮生歌音源付き卒寮生コンサートのレポートはこちら
 

はい。寮生からいろいろな刺激を受けて、人間関係の幅が広がりました。大学では、伴奏者を自分から見つけないといけなく、寮の子にお願いしていました。息を合わせてひとつの目標に向かっていくこと、気持ちをひとつにすることの大切さを気づかされました。声楽の演奏はひとりではできないのです。

 
- 大切なことですね。音楽はひとりで完結するものではないですからね。

 

はい。あとこんな経験もしました。大学の地域連携活動の一環として「豊島消防署主催防火演奏会」に出演した時のこと。大きな演奏会ではなかったのですが、聴いてくれた方々が大変喜んでくださって、感謝状もいただきました。今も部屋の壁に大事に飾っています。凹んだり迷ったりする時にその感謝状を眺めていると「役に立っているんだ」という実感が湧いてきて、前向きになれるんです。楽しんでもらえるような演奏をつづけていきたいと思う原点です。
 

 
- その演奏会を覚えています!取材に行った広報課員の私まで「来てくれてありがとう」と感謝されました。東京音大は地域の方々向けに大小さまざまな演奏会を行っていて、学生たちも積極的に出演しています。聴きに来てくださるお客さまの笑顔がなによりうれしい励みになりますね。
ところで髙橋さんは学部を去年卒業して、今大学院生ですね?

 

学部時代はイタリアものばかりをやってきましたが、フランスものなどいろんなジャンルの歌もやってみたくて。東京と比べて地元札幌ではオペラ公演がまだ少ない。大学院に進んでもっといろんなことを勉強すればもっとたくさんのことを伝えられる…今はスタート地点に立ったばかり、これからだと思います。
大学院の勉強は求められるレベルが高くて専門的です。かかわるオペラの先生も多く、より多方面から勉強できます。先日、東京音楽大学コンクールにも初参加しました。10曲もの歌を準備するのは大変でしたが、外部の審査員の先生方からも講評をいただけて、大変勉強になりました。

 

- ありがたいですね。

 

はい。グサグサ刺さることをたくさん。気が引き締まります。

 

- 将来の目標を教えてください。

 

ずっと歌いつづけていたい。
これまで育ててきたものを大切にしつつ、音大で幅広く学んだことを活用して音楽の楽しさを伝えていきたいですね。

 

- ぜひそうしてください。最後に後輩たちへメッセージをお願いします。

 

東京音大はやる気があれば、その分いろんな機会があって先生も応えてくださります。技術面の向上ばかりでなく、思いがけない出会いも豊富!自分の環境を楽しみながら成長できる大学です。一緒に学んでいきましょう。

 
(広報課)