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【在学生インタビューシリーズ】第24回 橘和美優さん(修士課程弦楽器研究領域 ヴァイオリン1年)を掲載しました

橘和 美優さん
 

修士課程弦楽器研究領域 ヴァイオリン1年
東京藝術大学卒業

昨年11月、「ロン=ティボー国際音楽コンクール」第5位に入賞した橘和美優さんは、東京藝術大学を卒業後、本学大学院に入学。違う環境に飛び込んで感じたことをお聞きしました。

 

 

― 橘和さんは、高校から大学まで東京芸大に通われ、昨年4月に本学大学院にご入学。きっかけを教えてください。

 

芸大には、高校から大学まで合わせて7年間通い、高校時代から大谷康子先生に習っていました。進路に悩んでいた時に、もっと大谷先生に教わりたいという思いから、先生についていく形で東京音大に進学させていただきました。

 

― 大谷先生に引き続きレッスンを見ていただいているのですね?

 

はい。大谷先生に加えて、東京音大に来てから、小栗まち絵先生と海野義雄先生にも見ていただいていて、レッスン回数がすごく増えました。先生方からは、それぞれ違う角度からアドヴァイスをいただき、コンクールに必要ないろんな曲をまんべんなく見ていただけてとてもありがたいです。

 

― 先生方のレッスンはどんな感じですか?

 

レッスンの仕方が先生によって全然違います。大谷先生は、本番直前まで都度演奏を止めて細かく見てくださるスタイルですが、小栗先生と海野先生は、一旦最後まで通してからかいつまんでレッスンしてくださることが多いです。私は、どちらかというと通すレッスンがあまり得意ではないので、通すと弾けないから通したくないなぁと思いながら(レッスンに)行っています(苦笑)。でも、通してやるからこそ「できない」とわかるところがいっぱいあるので、すごく鍛えられました。

 

― 環境も変わり、芸大時代とはなにか心境の変化はありましたか?

 

同じ環境・先生・友だちに囲まれて、7年間ずっと同じ生活をしてきたので、自分の中でも環境を新しく変えられたらいいなと思っていました。東京音大に来てから、自分の中で大きな変化がありました。今新鮮なことをいっぱい吸収していると感じています。
東京音大にはすばらしい学生がたくさんいて、ヴァイオリンにも、他の楽器にも。上手な人たちが周りにいる環境で揉まれているという感じで、すごく刺激的です。学校の施設もきれいで、練習しやすいです。

 

― 授業はどうですか?

 
室内楽の必修授業も、本当にすばらしい先生方に教えていただいています。鈴木秀美先生は、ベートーヴェンやモーツァルトなど古典の知識をいろいろ持っていらっしゃるので、授業の中では作曲家のこと、「この時代にはこういうことがあったんだよ」とか、「この本おすすめだから読んでみて」とか、自分のソロ演奏にも活きるタメになる知識をたくさん教えてくださいます。藤原浜雄先生は、いろんなジャンルや編成の曲を授業で取り上げてくださり、ソロのデュオのレッスンも授業の中でしてくださるので勉強になります。授業は毎回すごく楽しくて、新鮮なことばかりです。
 

― 芸大との違いを感じますか?

 

やはり大学によって、個性や違いがたくさんあると思います。それぞれによさがあって。先生方の雰囲気も違うんですよ。
 

― ちなみに東京音大はどんな感じですか?

 

東京音大の先生方は、華やかな方が多い感じがします。学校全体が明るいので、余計にそう思うのかもしれません。学生も個性いっぱい!違う国から来ている子はみんな日本語が上手で、授業中に母国のことを教えてくれたりします。クラシックギターの子も一緒に同じ授業科目を受けるので、自分の知らない世界を知れておもしろいですし、一般大学を卒業してから音楽を学びたくて音大に入学した方などいろんな人がいて、やりたいことも人それぞれ。いろんなお話が聞けて楽しいです。

 
― 東京音大の学生は、多様性に富んでいるとよく言われます。本当にいろんなことを目指していますよね。ちなみに、橘和さんが今目指していることはなんですか?
 

ソリストを目指しています。自分の中でソロをやりたいけど、安定しなきゃという迷いも一時期あったのですが、ロン=ティボー国際音楽コンクールで入賞したことで、ソリストへの道が少し明確になったような気がします。ソリストをやりながら、室内楽やオーケストラのコンマスもできる大谷先生のように、やがては私もいろんな分野で活躍できるようなヴァイオリニストになれたらと思っています。
 

 

― 橘和さんは、どんなヴァイオリニストを目指していますか?

 

聴いてくださる方の心に届くような演奏をしたいです。それには、自分にしかない演奏というのが大事だと思っています。よく大谷先生のコンサートを聴きに行くのですが、大谷先生には大谷先生にしかない演奏があって、私も「橘和さんの演奏だから聴きに行きたい、橘和さんが弾くから聴いてみたい」と思ってもらえるような奏者になりたいです。
ロン=ティボー国際音楽コンクールでは、予選では自分らしい演奏ができたのですが、ファイナルは、緊張で守りに入り、失敗しないようにと考えすぎてしまったので、後悔が残りました。もっと自分らしい演奏をしたかったなぁ、と。

 
― 気持ちって演奏に出ますよね。
 
本当に不思議で、失敗しないようにしなきゃと考えていると、そういう演奏になってしまうんです。もっと自信をもって、自分ならではの表現ができるように努力したいです。
 

― 橘和さんはとても前向きですね!最後に後輩たちへメッセージをお願いできますか。

 
「音楽をやる」って音を楽しむということなので、楽しむことを忘れてほしくないなと思います。練習はがんばらないといけないし、努力によって演奏が確実に変わるので、練習はもうこれ以上できないというところまでがんばって、本番では自分も楽しんで、お客さまにも楽しんでもらえるような演奏をできるようになりたいです。努力は本番まで!本番は楽しむ!そのことを忘れないで。私もそうします。皆さんにもがんばってほしいと思います。

 

 
(広報課)