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【第50回東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブル特別インタビューシリーズ】第1回 汐澤安彦名誉教授

汐澤安彦名誉教授に訊く

(特別演奏会(7/10)・定期演奏会(7/11) 指揮)

 

東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブルが今年で50回目の開催となりました。特別インタビューシリーズを全5回でお届けします。第1回目は、今年の指揮を執られた汐澤安彦名誉教授です。

 

ー 長いこと東京音楽大学の吹奏楽の指導に携わってこられましたが、その間、印象深かったことなどを聞かせてください。
 

思えば、1973年以来ほぼ半世紀ですよね。まずは毎年の定期演奏会。これはこのシンフォニックウインドアンサンブルが、その評価を世に問うという意味で、大学を代表する演奏会として実に重要な位置にあり、特に力を入れてきました。因みにこの半世紀は、日本の吹奏楽界が大きく変化し、発展してきた時代と言っても過言ではなく、管打楽器のレベルが上がり、そのまま日本のオーケストラの向上にもつながったと思っています。学生たちにとって、演奏の体験こそが何よりも貴重な場であり、各地で演奏旅行が行われました。中でも、最も印象深かったのは2011年秋の台湾への演奏旅行です。その年は夏に強化合宿を行い、練習に練習を重ね、万全を期して台湾公演に臨みました。現地、台湾では大いに歓迎され、その熱狂ぶりとも言える聴衆の反応ぶりに、こちらの方が刺激され、いやが上にも盛り上がり、演奏に熱が入ったことが忘れられません。

 

ー 去年、今年と2年連続で指揮されて、学生、授業、演奏会などはいかがでしたか?

 
私の在職当時、定期演奏会が何回目なのか、その数など考えてもみなかったのですが、今年が50回目の記念演奏会だったのですね。今年は真新しい代官山キャンパスというすばらしい校舎で授業が行われ、そういう意味では記念の年に相応しかったと言えます。学生たちは真面目で、特に最近は技術的にも秀れた人が多いと思います。ただ、基本的なことが出来上がった段階で、さらにその上を目指し、もっと自由で大胆な世界があってもよいのでは…と感ずることがよくあります。

 
ー 指導される際に大切にされていることを教えてください。

 
音楽って時間と空間の中に在るものですね。でも、私たちは楽譜を見ています。私が練習中に申し上げている事の殆どは、楽譜に書いてないことが多いと思います。それは、【聴衆は譜面を知らない…唯、聴こえてくる「音楽から」しか何かを感ずることができない!】という私の持論からなのです。奏者には不可欠の自発性、そして説得力のある演奏を常に求めていきます。

 
ー 東京音楽大学のよさはなんだと思いますか。

 

とても恵まれた大学で素晴らしい先生方が、心の行き届いた指導をしてくださいます。設備が整っていて、気持よく学ぶことができ、職員の方々も温かい心で接してくださいます。もうひとつ、この大学の大きな特徴は、社会人やその他の方でも、意欲さえあればこの大学で学ぶことができるという、他にあまり例を見ないシステムがあることです。まさに「学ぶに遅きとき無し!」ですね。

 
ー 音楽大学を目指す高校生たちにメッセージをお願いいたします。

 

今、私たちは沢山の情報や資料に恵まれています。与えられることに慣れ、所謂、受け身の文化に浸ってしまいがちです。しかし、それらに甘んずることなく、創造の文化として、それらを生かすことが大切です。どんなに文明が進化しても音楽は自動では生まれません。つまり、音楽とは手造りでしかできないものなのです。皆さんの一層の邁進に期待しています!

 
ー 汐澤先生、本日は貴重なお時間をいただきまして、どうもありがとうございました!
 

 

▼ 東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブル第50回定期演奏会のインタビューシリーズを掲載しています。
それぞれの思いや本学の魅力などを語っていただきました。

 

第1回 汐澤安彦名誉教授/指揮

第2回 津堅直弘教授/指揮・ユーフォニアム協奏曲『皇帝』作曲

第3回 外囿祥一郎教授/ユーフォニアムソロ

第4回 髙松真紀さん(クラリネット4年)/コンサートミストレス

第5回 西翔さん(サクソフォーン4年)/インスペクター
 
(広報課)