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【第50回東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブル 特別インタビューシリーズ】第3回 外囿祥一郎教授

外囿祥一郎教授に訊く

(特別演奏会(7/10)・定期演奏会(7/11) ユーフォニアム奏者)

 

~人生の1ページに残るすばらしい演奏会となりました~
ユーフォニアム奏者の外囿祥一郎先生にもインタビューしました。「大人数編成のよさは東京音楽大学ならでは」と話す。東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブルのこれからの時代を牽引するリーダーのひとりである先生の熱いメッセージが、吹奏楽の明るい未来を予感させます。

 

津堅先生が「LEGEND」という曲を僕のために作曲してくださったのは、1998年のことでした。沖縄の旋律を題材にした曲で、日本をイメージさせる代表的な曲として、これまでにアメリカやカナダ、イギリスなど世界各地で演奏させていただいています。「皇帝」は、それに続く津堅先生からの2作目で、「LEGEND」を上回る難易度の高い大作です。今回が29回目の演奏でした。津堅先生はトラペット奏者の傍ら、時代の需要に合わせた作曲も手掛けられ、創作意欲とこだわりがすごい方です。「皇帝」のレコーディングでは、随所に細かいご指摘を受けて、収録に4時間以上かかりました。この曲を今回演奏するということで、本番はもちろん、リハーサルからものすごく緊張しました。150名ほどいる大編成の楽団との共演ともあって、音が埋もれるんじゃないかという不安もありました。でもそんなことは言っていられなくて、とにかく津堅先生の思いに応えなくてはと、余裕なんてなくてリハーサル時から100%の力を出し切って臨みました。

 
シンフォニック ウインド アンサンブルとの共演は2回目で、学生のレベルは確実に上がってきているのを感じています。7年ほど前に僕がこの大学に着任したばかりの頃は、大人数の編成にはどちらかというと懐疑的でした。こんなに人がいたらみんな他力本願になってしまうんじゃないかと、指導にあたっている先生たちに意見をぶつけたことがありました。その時、津堅先生、水野先生、みなさん口をそろえて「これが東京音楽大学のやり方、これがいいんだ」とおっしゃっていました。今となっては、本当にこれがいいんだ、と心から思えます。
 

音を合わせて、ひとつになった音色が透明になるまでに磨きあげるためには、一人ひとりのレベルの高さが要求されます。普段の成績順でいうと1位から150位までの学生がひとつの楽団に入って、ひとつの音楽、ひとつのベクトルに合わせて練習に打ち込みます。すると、高いレベルに合わせて、みんなが成長していくんですね。それは先生が教えるんじゃない、学生の雰囲気、学校の雰囲気が育ててくれる部分が大きいと思います。その雰囲気が東京音楽大学にはあります。同じ学年に集う運命の出会いとも言うべき仲間たちみんなでひとつの音楽を作る、学生時代のこの経験は一生の宝物になると思います。学生たちは音楽に妥協は許さない、向かってくる姿勢をもっていてすばらしいと感じています。
 

僕にとっても人生の1ページに残るすばらしい演奏会となりました。千葉会場と東京会場、2日間ともに満席となりました。演奏会終了後に津堅先生から「祥ちゃんがいなかったらこの曲は生まれてないから」と言葉をいただきました。本当に感謝感激の瞬間でした。学生たちにとっても、満席となったお客様の前で演奏できたことは大きな自信になったのではないでしょうか。心が折れそうになる時、自分に負けそうになる時に、努力をして自分たちはあれだけのことができたんだと思えた今回の演奏会を思い出すことでしょう。
 

音楽に限らず、若い人にはバランスの取れた人間に育っていってほしいと思います。話が少し大きくなりますが、音楽を支える層が社会に存在しています。音楽を学んで社会の中でどうやって生かしていくのか、それを考えて役割を担っていけるのが東京音楽大学だと思います。創造して社会に貢献したいですね。

 

■ 学生に向けてのメッセージ

 
時は帰ってきません。学生のみなさんには悔いのない時間を過ごしてほしいと思います。中学高校で練習と再生を繰り返してきたことでしょう。大学では、技巧をさらに磨きながら、自分をどう表現していくかを考える第一歩だと思います。練習はもちろんのこと、人と会って食事でもして面と向かって話をすること。人の話に興味をもちましょう。演奏できればいいのではありません。どうやって自らを発信していくかが奏者として大事です。自分が楽しくなければ人は一緒に演奏したいとすら思ってくれませんから。人とのつながり、コミュニケーションを大切にしてください。

 
■ 高校生のみなさんへのメッセージ

 
反復練習は裏切らない。高校生の時は時間を見つけて練習してください。練習ではなにに重点を置いて練習するのか、時間の使い方を常に意識するようにできるといいと思います。大学に入るのがゴールではありません。大学では高校での練習の成果を花開かせていく4年間となります。東京音楽大学はほかにない熱い雰囲気があって、学生みんな幸せそうな顔をしています。充実した大学生活を送れると思います。

 
▲7/11東京芸術劇場

 

▼ 東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブル第50回定期演奏会のインタビューシリーズを掲載しています。
それぞれの思いや本学の魅力などを語っていただきました。

 

第1回 汐澤安彦名誉教授/指揮

第2回 津堅直弘教授/指揮・ユーフォニアム協奏曲『皇帝』作曲

第3回 外囿祥一郎教授/ユーフォニアムソロ

第4回 髙松真紀さん(クラリネット4年)/コンサートミストレス

第5回 西翔さん(サクソフォーン4年)/インスペクター
 
(広報課)